人魚島 4 |
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数ヵ月後、未だにルークはイファと共に暮らしている。
なんとかイファにこちらの言葉を覚えさせようとしたが、一向に覚える気配がなかったため、諦めてルークがイファの言葉を学んだ。
イファと会話をしながらなんとか学んだため、カタコトではあるがある程度の会話ができる様にはなった。
そして知ったことだが、ここは小さな島で、港どころか住んでいる人間はイファだけしかいないという。昔、イファの両親がやってきて、ここで二人だけで生活を始めたそうだ。
そこで生まれたイファは、両親が早くに亡くなってしまったため、一人で生きてきたそうだ。
それを聞いて、船で出て行くということはすっかり諦めていた。それに、今では愛する人と一緒に暮らしたいと、ずっとここに住みたいとさえ思っている。イファも同じようで、ずっと一緒にいたいと、よく言っていた。
しかし、最初はその気持ちは、ルークを人魚だと思っていたからだという。
外部の人間をルークで始めてみて、海からやってきたところから、大好きだった童話の人魚姫だと勘違いしていたらしい。
『僕のために、人魚のルークが人間になって来てくれたと思ったんだ、だから、ルークは僕と結婚してくれるんだと思ったの』
ニコニコと語ったイファに脱力し、額を押さえる。
『俺、人魚違う。イファ同じ、人間』
カタコトで説明し、なんとか分からせたが、イファは人魚も人間も関係ないと笑った。
『今は人魚のルークが好きなんじゃなくって、ルークが好きだから。だから関係ないの』
可愛いことを言われ、思わずキスをする。直ぐにイファの瞳が潤んで、強烈な欲求が襲ってきた。
やはりイファは人を誘う天性の才能があるのだろう。ルークはそう思いながら、イファの身体を優しく押し倒した。
「人魚はイファの方かもしれないな」
欲情を煽る不思議な魅力のある人魚。イファの方がぴったりだと思った。
『え?』
ルークの国の言葉が分からず、イファが聞き返す。
『なんでもない』
ルークはそう誤魔化し、深く唇を奪った。