*ほんのちょこっと捏造有り




ヒューン

突き刺さるような北風が肌に感じ、身を縮込ませながら灰色の雲が浮かぶ夜空を見る。途端はぁっと白い溜め息を吐く。

この数日間、特に今日は散々であった。
何故だか女クラスメートに追いかけられ、小野田や鳴子たちは諸事情と理由をつけて休み(巻島先輩も箱学の東堂さんに連れ去られたらしい)、俺が部長に怒られるは、準備がいつも以上にかかり、挙げ句の果てにはお気に入りのマフラーを何処かに無くしてしまい、結局見つからず時間にだけ食ってしまった。
…なんだか今日はいつも以上に疲労が溜まった気がする。
(……早く帰るか。)

再度溜め息をつきながら、街灯で青く映える自転車に乗る。ようやく慣れた自転車での登下校が苦痛になるとは思わなかった。

疲れきった体をおもいっきり自転車に身を乗り出そうとした時だった。

「あっ、今泉くん!」

聞き慣れた声が聞こえ、ふと振り返る。

「寒咲」

そう言うとニッコリと微笑みながら「良かったー、まだ残っていたんだね!」と言い俺の前に何か差し出される。

「はいっ!プレゼント!」

「プレゼント?……あぁ、クリスマスのか。」

「うん。さすがに覚えてるよね。」

本当に大変だったね。お疲れ様。と苦笑混じりに言う。

「ハァ…全くだ。」

あんま思い出させないでくれ。疲れが溜まる。と付け足すと、アハハ……本当に疲れてるね。と苦笑を返される。

「あれ?そういえば、今泉くんマフラーは?」

首、寒そうだね。と自分の首を指し、そう指摘する。

「ああ、それが何処かいってしまって………。」
その時ふわっと良い香りが鼻を擽る。見ると首元にチェック柄のマフラーが。

「使って」

「はっ!?やっ、これお前の……」

「いいから!」

うさぎさんじゃないけどね。とマフラーを見ながら目を細める。その動作に

「それに部員に何かあったら困りますからね!」
そう言い、再度ギュッとマフラーを締める。…少し苦しいぐらいだ。

「ふぅ……これで良し!」

「苦しいんだが……」

「今は我慢」

自転車で暖かくなったら取って良いよ!と言い、くるりと体を反対方向に向ける。

「じゃ、気をつけてね!」

私、荷物まだ部室に置きっぱなしだから!
と言いながら、部室の方向へ走っていってしまった。

「あ……」

(有難うって言いそびれちまった……)

どうしたものかとグッとプレゼントを持つ手に力を込める。仕方がないとプレゼントを鞄に入れ、ペダルを踏み込む。

(後から返そう。マフラーとプレゼントのお返しを。)


Merry Christmas!!
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