リクエスト12.「嫉妬して避けていたハンジさんと仲直り」
※同棲中の彼女シリーズ
「待って!」
「中々帰ってこないと思ったら…!」
「違うってば!」
「何が違うんだよ、もう部屋入んな!」
「いっでええええっ」
「ふん!」
なぜこんなに私が怒っているのかといえば、ハンジが中々大学から帰ってこない(もちろん連絡はあった)ので、サプライズで大学を訪れたときのことだった。
…ハンジが、女の子に押し倒されてた。
それだけじゃなくて、ハンジは抵抗するでもなく、彼女の頭を撫でていた。
それを見てむかっ、ときて、あれだ。
部屋から追い出してやった。
家賃はハンジ持ちとか、そもそもハンジの家で私は居候に近いなんてことは忘れて、その日は怒りに任せて彼女を追い出し、号泣し、眠った。
次の日が休みでよかった、あんな子供っぽく怒ったって、私だって大人だ。
起きて、横にいたはずのハンジがいないのが悲しかったし、単純に反省した。
せめてハンジの言い分を少しでも聞くべきだった。
彼女にだって、何か事情があったかもしれないのに。
そう思って、ハンジにメールを打つ。
昨日は一方的に怒ってごめんなさい、今日会いに行ってもいい?と。
すぐに返信が帰ってきて、今日の十二時、研究室に来て、とメールが来た。
まだ十時前、全然間に合う。
自己満足だが、せめてもの償いに、お弁当でも作っていこう。
「ミカサ・アッカーマンです」
「ああっ!あのときの!」
「…すみませんでした」
「え、えっと…」
ハンジの研究室に行ってみると、そこにはいつにかのエレンくんに、アルミンくんさそしてハンジと、昨日ハンジを押し倒していた女の子。
「昨日、みんなが学内でお酒を飲んでたらしいんだよね。
もちろん、ちゃんと規則に乗っ取って。
だから、面白そうだと思ってちょっかい出しに行ったらさ、珍しくミカサが酔ってリヴァイに文句言ってたから、おもしれえええと思って、声かけたらさ…、あはは」
「…申し訳ありませんでした」
話を聞くところ、めったに酔わないミカサちゃんが酔って、エレンくんを蹴ったり実験したりするリヴァイさんやハンジに突っ掛かったのだとか。
ミカサちゃんがものすごく申し訳なさそうにしている。
「あの…ハンジ、ミカサちゃん、ごめんなさい」
「いいんだよ」
ハンジが来て、軽く抱き締めてくれた。
これ、これが恋しかったの。
「今回は、ミカサが悪ぃだろ。
人の恋人に手出したり、そもそも教授に手出しちゃ」
「ごめんなさい、エレン」
アルミンくんが二人を少し苦笑しながら見ている。
エレンくんのもう一人の花はミカサちゃんだったのか、と納得する。
「…確かに、エレンくんをハンジみたいのに好き勝手されたら、彼女としては腹立つよね」
「ハンジみたいのって何、ひどいな!」
「……家族です」
ミカサちゃんが頬を染めてく。
「ミカサちゃん、かわいい!」
「ちょっと!浮気しないでよ!」
「……しないよ?」
「何、その間!」
「ミカサちゃん、これお弁当なんだけど食べる?」
「それ私のだよね!?ねえっ!?
いつ渡してくれんのかな、って楽しみにしてたのに、ひでえよおお!」
「ふふ」
「笑い事じゃないって」
やっぱりこの人が好きだなあ。