リクエスト11.「油断してたらアルミンに襲われた」
「君が僕をもうかわいいと言わないようになるまで」
「……アルミン、私」
「君をここに閉じ込めようと思う」
「ごめんなさい、そんなつもりじゃ…」
「昨日まで君は、僕が嫌だと言っても、やめなかったよね」
「違うの、そんなつもりじゃなかったの」
「僕は何度も言ったよね。やめてって。
でも、君はやめなかった」
「…ごめんなさい」
「謝ってほしいわけじゃないんだよ、もう。
謝るなら、もっと前に謝ってほしかった」
「ごめんなさい…っ!」
「だから、僕は君がもう僕に逆らわないと、僕が判断するまで、ここから出さない」
「ごめんなさいアルミン、それだけはやめて…。
こんなの私の知ってるアルミンじゃないよ…」
「? 当たり前でしょ?
君にこういう態度をするのは初めてだから、知っているはずがないよ」
「戻って…前のアルミンに戻って」
「戻るもなにも、僕は変わってないからね。
君が知ってる僕だって、知らない僕だって、僕だよ。
自分の知っている僕の方を気に入っていたからって、知らない方を否定するなんてひどいよ」
「……っ」
どうしてこうなったのか、それはひとえに私がやめてと言われても、アルミンをかわいい、かわいい、と言い続けてもやめなかった。
……私はアルミンのことが好きで、そうからかって彼が嫌がる(といっても本気じゃないと思っていた)のを、私は彼にじゃれつく行為だと思っていたのだ。
まさか、こんなに嫌がっているとは思わなかった、それは反省した。
心のそこから申し訳ないと思った。
だけど、こんなのってない。
今日、私はアルミンに呼び出された。
期待して、落ち込むのは嫌だったから、まさかそんなはずないと自分に言い聞かせていたが、…それでも、私は期待してた。
なのに、彼がしたのはこんなこと。
無言で、私に襲いかかってきて、何かを飲まされた。
どこで手に入れたのか知らないけど、眠気が襲ってきて、起きたらここにいた。
油断してた。
かわいい男の子だと思っていたのに。
格闘術だって、同じ女の子でもミカサやアニには到底及ばなかったけど、アルミンよりは強かった。
そりゃ、座学じゃ絶対彼には叶わない。
知も力だ、それは認める。
だけど、まさか非力で優しい彼に襲われて、こんなことになるなんて…。
「私、アルミンのこと、好きだったのに…」
ふと、涙ながらにつぶやいてしまった一言に、アルミンが少しビックリしたような顔をした。
「そうなんだ、ありがとう」
すごく簡素な返事だった。
やっぱり、アルミンにとって、私はそんなものだったのか、と落ち込む。
「だったら、僕の言うこと、聞けるでしょ」
「……?」
「聞けたら、好きになってあげるのに」
…俯いた。
アルミンが私を好きになってくれるかもしれない。
たったこれだけのために、私がこの状況に甘んじる理由はない。
ないはずなのに、俯いて、唇を噛み締める私を、今アルミンはどんな目で見ているんだろう。