※超絶美少女主
※学パロ




美人すぎるのがコンプレックスだった




…自分で言うのも難だけど、私は容姿はいい方だと思う。

小学生くらいまでは、変に大人びた性格もあって、友達はできなかったが、中学生くらいから、話したこともない同級生や先輩に、時々だが告白されるようになり、かといって好きでもない人と付き合うことはできないので、断ってきた。

すると、高校に入った頃には、私だって年頃の女子高生で、恋だって合コンだって、興味がないわけじゃないのに、いつの間にか高嶺の華扱いをされていた。

やっと、誰かと付き合ってもいいな、なんて思ったのに、「なまえさんは美しすぎる」「俺らなんて相手してくれないよ」と、勝手に萎縮してしまうようになった。

もちろん、また中学生のときみたいに知りもしない人から告白してほしいわけじゃない。

そうじゃなくて、男友達もちゃんと作って、そこから恋が始まれば素敵だな、と思っていたのに、そのスタートすら、彼らは私に踏ませてくれなくなった。

それに、高校生になれば、男子生徒はより性に踏み込んだ話題をするようになる。

私は、たまたま聞いてしまったのだ。

昨日、なまえさんの隠し撮り写真で抜いた!と。

何を、一体何をしてくれているのだ。

そのあと、私をこんなふうに犯したいとか、奴隷にしてほしいとか、そんなことで盛り上がる彼らを見て、私はすっかり男性不信まで起こしてしまった。

それから、私は恋に憧れつつも、男性とはなるべく関わらないように努める、そんな矛盾した態度でいるようになってしまった。

私のこの態度は、女生徒にはお高くとまっているように見えたらしい。

もてるくせに、いかにも男に興味無さそうなふりしてムカつく、と。

さらに、私は人見知りだった。

だから、私に好意的でいてくれた子とも、なかなか仲良くなれなかった。

結果、女友達すらほとんどできなかった。

だから、私は数少ない友達と話すか、誰も都合がつかなければ一人で読書するか、そんな寂しい高校生活を送っていた。

そんな私の姿さえ、彼らには凛としていてかっこいい!と思わせたらしい。

一人で静かにいるのが好きな、クールな女だって。

そんなことないのに、私だって寂しいのに。

男性不信を起こしたって彼氏はほしい、いくら嫌われたって同性の友達がほしい。

「まあ、なまえは確かに彫刻レベルで美人だからね」

「…ハンジ先輩」

先輩は、私の数少ない友人のうちの一人で、よく私は彼女に相談事をしていた。

「みんな、そう言います」

「あは、事実とはいえ、自分でもやっぱりそう思うんだ?」

「ううん…、ただ、みんな私を何か、それこそ彫刻か何かだと思っているような気がするんです。
私だって、人間なのに」

ハンジ先輩は、最初私に話しかけてくるとき、こんなふうに言った。

「すっげえ!こんな美人な子始めてみたよ!
ねえ、あなたで実験させてくれないかな!?」

意味がわからなかった。

結局、話を聞いてみれば私の容姿があまりに人間離れしているので、中身がどうなのか見てみたかった、とのことだった。

そして、美しいことで何か人と違ったり、逆に変わらないことがあったりするのか、気になった、と。

なんとなく、私はぽつりぽつりと、美容には人並みに興味はあるし、太らないための軽いダイエットはしているけれど、特に私はなにもしていない。

ただ、美しいというだけで、妬まれたり敬遠されるのが嫌だ、という話をしたのだ。

それに対し、ハンジ先輩は一言、「見た目も個性のうちだよ」といい、何かあったら自分のところに来るよう言ってくれた。

ハンジ先輩だって、私を見た目で判断しているかもしれない。

それでも、彼女は内面も判断してくれた。

そして、私の相談相手は、いつしか先輩になった。

「ハンジ先輩くらいですよ。私を人間扱いしてくれるの」

「あはは、こんなにうじうじ悩んでいる子が、人間じゃないはずないんだけどね」

ハンジ先輩が私を後ろからぎゅうっと抱き締めてくる。

最近、こういうスキンシップが多い気がする。

私は異性と付き合ったことはおろか、同性とだってくっついたりしてじゃれたことはないから、慣れていなくてどきどきする。

「ハンジ先輩…」

「相変わらずいい匂い…」

「へ、変態じゃないんですから」

「なまえ」

「は、はい」

より強く抱き締められ、首もとに彼女の顔が埋めれて、恥ずかしい。

「…君は、同性愛には、偏見がある?」

「えっ?い、いえ…無いですけど…」

「……私は、君が好きだ」

「…先、輩」

「最初は、本当に美しすぎるあの子はどんな子なんだろう、って気になっただけだったんだ。
でも、話を聞いているうちに、この子中身は誰より人間らしくてかわいいな、って思ったんだ。
私は、君と同性だし、君が男嫌い治して恋してみたいって思ってるのも知ってる。
だから、私なんかが告白なんかしていいのかな、って、迷ったんだけど…」

「……う、ん」

「でも、やっぱり好きなんだよ。
なまえがいい、なまえが好き。
だから付き合ってよ、今すぐ返事しろなんて、言わないから……」

「先輩、あの…」

「…なあに、なまえ」

「そっち、向いていい…?」

「…うん」

ハンジ先輩が腕を緩めて、私は彼女の方に振り返る。

「…ぷっ」

「先輩!」

「あはは、顔真っ赤じゃん!」

「だって…っ」

「うんうん、すげえモテるくせに、なまえってば、実は純情なんだよね!」

「…ハンジ先輩」

「何?」

「私、ずっと美人じゃいられないよ」

「いいよ、別に。
私は君の見た目も好きだけど、それだけじゃない」

「たぶん、重い。
恋愛には、慣れてないから、夢見がちだと思う」

「構わない。そこも含めて、なまえがいい」

「先輩…」

「うん?」

「私、先輩と…付き合いたいな」

「なまえ、本当に?」

「本当、です」

「よっしゃああああ!!」

「先輩?」

「やった!なまえ愛してる!」

ぎゅっと正面から抱き締められる。

「ハンジ先輩…っ!」

「大好きだよ、なまえ!」

「…私もです!」





「…で、付き合うことになったの」

「……なまえ、私何を言ったらいいかわからないんだけど」

ペトラが心底面倒くさそうな顔をする。

彼女は私の数少ない友人のうちのもう一人で、彼女は自分自身がかわいいのもあるのか、私を妬んだりしないし、単純にコミュ力みたいなものが高くて、人見知りする私に、たくさん話しかけてくれる。

今では、お互い(少なくとも私は)、ハンジ先輩に対してと同じくらい、気兼ねなく話せる相手だった。

「あの、なまえ?
別にあなたの恋愛に口出しする気はないんだけど、どうしてハンジさんなの?」

「だって、私あんなふうに告白されたの、初めてだったから…」

「中学のときは、告白されてばかりだったんじゃなかった?」

「……あれは、私の見た目だけ見てた人たちだもん。
でも、ハンジ先輩はちゃんと私を見てくれたの」

「…なまえって、見た目はクールで美人ですっごいかっこいいんだけど、中身は本当に純粋で乙女だよね」

「そうかな?」

「……うん」






「美人で近寄りがたい子って、意外と純粋で告白され慣れてないから、計算なしの直球勝負で簡単に落ちたりするよね!」

「…ハンジさん」

「なんだい、ペトラ」

「まさか、ハンジさんは本当になまえが好きで、告白したんですよね?
興味本意とかじゃ、ないんですよね?」

「まさか!本当に愛してるんだよ!
だからこそ、汚い手を使ってでも、なまえを落としたかったんだ!
もちろん、ルール違反するつもりはないからね。
あのくらい、考えたっていいだろう」

「…なら、よかったです」

「大丈夫、君の大事な友達は私が幸せにするよ。
添い遂げるくらいの覚悟はあるからね!
にしても、他の男どもは馬鹿だなあ。
あんなに純粋で男の手がついてなくて落としやすいのにさ、実は。
もちろん、落としにくくても私は全力で落としにいったし、他の誰かに落とされても困るんだけどね。
あの子は純情だから、顔目当て身体目当ての馬鹿に告白されても、はいって答えちゃうかもよ。
事前に中身も見てますアピールしとけばさ。
ああ、ペトラそんな嫌そうな顔しないでよ。
私は確かになまえを落とすために、そういうアピールもしたりしたけど、それは本心だ、嘘は言っていない。
言わなくてもいいことを、あえて口に出していただけだ。
だってなまえがほしかったんだよ。
ね、わかるだろ?」

「わからないですけど…。
結果、なまえが幸せなら、私は構いません」

「そう?ありがとう。
君も、彼女の良い友人でいてあげて」

「はい」





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