青柳様よりキリ番9000リクエストの「現パロで行きつけのバーでヤンデレハンジさんに一目惚れされたあげく監禁される」です。
私はまともにバーに行ったことがありませんので、おかしな描写もあると思われますが、よろしければお持ち帰りください。






突然だが、私はお酒が好きだ。

そして、いつも行っているバーが好き。

バーといってもどちらかといえば格式高い感じではなくて、アットホームな感じだし、家から近いのもあって、行きたいときにふらっと寄れるのが魅力だった。

あと、もちろんだがお酒が美味しい。

それで、私はそのバーにいつか通いつめるようになって、マスターとも親しくなって、常連さんともちょこちょこ話すようになってからは、さらに通う頻度が上がった。

普段は、仕事帰りの比較的早い時間に行って、酔いもそこそこに帰って寝て、朝シャワーを浴びて、また一日頑張る、というサイクルを繰り返していたのだが、今日は違った。

仕事でミスを連発し上司に怒られ、それだけならともかく他の上司に自分の失敗を擦り付けられてさらにこっぴどく叱られ、ちょうど同僚が私の悪口を言っているのを聞いてしまい、帰りの電車では痴漢にあい、駅を降りた瞬間ヒールを折る。

とにかく踏んだり蹴ったりで、バーになんて立ち寄る気分にもなれなかった。

家に帰って、ベッドに突っ伏してしばらくひたすら泣いた。

だが、そうしているうちにふと、あのバーに行きたくなってきたのだ。

散々な一日で、唯一運がよかったといえば、今日が金曜日で明日が休みだということ。

もう夜中といっていい時間に差し掛かっていたが、ひとしきり泣いたら少し元気が出たと同時にミス処理のせいで昼から何も食べていなかった腹も空いてきて、とにかくこの空きっ腹を酒で埋めてやろうという気になった。

涙でぼろぼろになったメイクは直すのも面倒で適当に落とし、服もぎりぎり外行きな簡素なものに着替えて、財布だけ持って家を出る。

バーに着けば、時間的に本番なここは大いに盛り上がっていて、ちらほら出来上がってる顔見知りも見えつつ、客層はいつもと違うようだった。

カウンターに座るなり、すっぴんで部屋着のような格好で来た普段とは明らかに様子の違う私を見てマスターが心配してくれたが、「今日は潰れるまで飲むから!」と宣言をし、つまみもそこそこにひたすら強い酒を煽った。





行きつけのバーで会った人に監禁された





「私何も悪くないでしょ!?ねえ!!」

自分のことは棚に上げて、ひたすらに愚痴を溢す私の話を、マスター黙って聞いてくれた。

私を見た顔見知りや、全然知らない人も、「元気出せ!」なんて声をかけてくれて、また涙が出てくる。

そろそろ酔いが回ってきて、普段ならやめるところだが、私は誰かに迷惑をかけようと、今日だけは記憶がぶっ飛ぶくらい飲んで、酔いつぶれる気でいたのだ。

遠慮なく何杯でもおかわりする。

そうしていると、ふと隣に誰かが座った。

「君、大丈夫?」

「大丈夫れす、お酒強いです」

あ、呂律回ってないな、と自分でもわかった。

れす、なんて本当に自分が言う日がくるとは思わなかった。

「そうじゃなくて、泣いているみたいだったからさ。
目元もメイク落ちきってなくて黒いし」

「うう…っ!」

なんとなく、この人私のことちゃんと見てくれてる!と泣きたくなった。

「お姉さん、名前なんですかあ!?」

がしっと彼女の手を掴む。

酔った頭でどこか冷静にびっくりするだろうな、と思っていたが、そんなことはなく、彼女は笑みを浮かべたまま一言、「ハンジだよ」と答えた。



そのあと、カウンター席から離れて、ハンジさんに端の方のテーブル席に連れられて、二人でどんどんお酒を頼んで、ひたすら飲んだ。

「今日は私奢るからさ、たくさん飲みなよ。
潰れちゃっても、私が介抱してあげるから」

「ハンジさあん!好き!」

「あはは、ありがとう」

今日は散々だったけれど、本当にバーに来てよかった。

マスターのお酒は美味しいし、ハンジさんは優しいし。

これは私だけじゃないと信じているのだが、バーや居酒屋って、いるだけで多少性格が変わったりすることがあると思う。

さらにお酒の力が働けば、より命知らずになったり、妙に積極的になったり、恋人でもない異性や、また同性にまで絡んでしまったり、そういうことが起きてしまうこともあると思う。

私は今まさにその状態にあって、普段の私は決してこんなことはしないのだと、誰に言うでもなく釘をさしておきたい。

「ハンジさあん、ちゅーしましょ!」

「えー、うん、いいよー!」

ちゅー!と言いながらハンジさんの唇に自分の唇を重ねる。

「ハンジさんの奪っちゃったー!」

「なまえに奪われちゃった!」

一応言っておくが私は女、ハンジさんも女。

しかし、こういう場だし、女同士だし、ノーカウントとしておきたい。

初対面だが私は盛り上がり、それとともに酒も進み、いつしか記憶もなくなってしまった。



目が覚める。腕に違和感。

何かと思って寝ぼけたまま腕を目の前に持ってこようとするが、一向にそれができず、がちゃん、がちゃん、と音が鳴るだけ。

さあっと顔が青ざめるのがわかった。

頭痛のする頭も一気に覚醒して、ばっと上を見ると、そこには二つの手錠で両手首とベッドの柵に繋がれた自分の腕だった。

しかも私は真っ裸で、ところどころ身体に赤い痕があるし、何より膣に違和感があった。

これはやばい、と思って、腕がどうにか抜けないかと暴れるが、上手くいくはずもない。

見知らぬ散らかった部屋、もしかしたら誰か見知らぬ人に、酔い潰れたところを連れ去られたのかもしれない。

どうしよう、どうしよう、とパニックになって、傷つくのも気にせず腕を引っ張って手錠を鳴らす。

「…どうかした?」

「えっ!?」

昨日聞いた覚えのあるハスキーな女性の声。

「…おはよう。お目覚めかな」

私の横に立って、コーヒーを飲んでいるのは、彼女だった。

「ハンジさん…!?」

「あ、私の名前覚えててくれたんだ、ありがとう」

「ハンジさ、ハンジさん!
これ、どういうことなんですか、説明してください!」

腕をがちゃがちゃ鳴らす。

痛いが気にならなかった。

「ああ、やめなって、ちゃんと説明するから」

そう言って彼女に手を軽く押さえられ、一先ず動きを止める。

まずは話を聞かなくては。

「酒は飲んでも飲まれるな、ってね。
ずいぶんと昨日は酔っぱらっていたね、なまえ」

ハンジさんがベッドに腰掛け、少し振り返って私の頬を撫でた。

「っふざけないでください!」

「おっと、怖い怖い」

ぱっ、と手を離し、彼女がその手を下に置いた。

「ねえ、なまえってどこまで覚えてるの?」

「……ハンジさんと、お酒飲み始めたあたりから、ですけど」

「なまえがキスねだってきたのは?」

「…あれは、酔ってたしノーカウントですよ」

「そのあと私に抱きついて離れなくなったのは?」

「……え?」

「ずっと一緒にいようって言ったのは?
眠いっていって私の膝で眠り出したことは?
私が酔いつぶれた君を、ここまで連れてきたのは?
君が暑いって言うから服を脱がせてあげたのは?
えっちしたいって言うから抱いてあげたのは?」

「え、えっ!?」

「覚えてないの?
まあ仕方ないけど、少し悲しいね。
私はあんなに嬉しかったのに」

「何…っ!?どういうこと…!」

「君を見た瞬間ね、私天使だって思った」

「天、使…っ!?」

「まさかって顔してるね。
でも、本当に思ったんだ。
どこを気に入るとか、何してくれたとか、そういうのじゃない、あ、この子私の天使だって、そう思ったんだよ。
だから、逃がすまいと思った」

「何、言って…!?
ハンジさんは、女性でしょ…?」

「そうだよ。昨日あんなに私の裸見たじゃない」

「嫌…見てない、覚えてない」

「自分から触ってきたりさ」

「してない…っ」

「舐めたりもしてきたのに」

「やめて!」

「だから、こんな上手く行くと思わなかったんだ。
まさか一目惚れした子がさ、いきなり好きだとか、ちゅーしようとか、ずっと一緒だとか、まして抱いてだなんて言ってくれば、これはもう運命にしか思えないよね」

「違う…、言ってない…」

「覚えてないだけでしょ。
それに、ちゅーしようって言ったのは覚えてるんじゃないの?」

「あんなの…!酔っぱらいの、戯れ言ですよ…」

「全くひどいなあ。
私はあんなに嬉しかったのに、君は全部覚えてない、酔ってたから仕方ない、戯れ言だ、って言うの?」

「だって…っ!」

「だって、じゃないよ。
あ、スマホでビデオ回したけど見る?
はっきり、君がいろーんな思い出したくないこと言ったの、ばっちり録れてるけど」

「やめてっ!」

「…そう、じゃあやめよう。
聞きたくなったら、また聞けばいいしね」

「ねえ…っ、あなた何が目的なんですか。
私にこんなことして、何がしたいんですか…!」

「そうだな、目的はなまえそのもの、したいことはなまえの監禁」

「監、禁っ!?」

「だってずっと一緒にいるんだもんね?」

「嫌、嫌です!嫌っ」

「昨日はずっとここにいる〜って言ってたじゃない。
ハンジさんと離れたくないー、って甘えた声出してくっついてきたくせに」

「してない!やめて!」

「なら、証拠を見せるまでだよ。再生する?」

「い、嫌っやめて、それはやめて…っ!」

「もう、わがままだなあ。
そうだ、じゃあ、私が直接思い出させてあげるよ」

ハンジさんがベッドにのし掛かってくる。

やばいと思って暴れるが、自由な足さえ簡単に押さえつけられて、無理やりキスされる。

「んんんっ!」

逃げようとしても逃げられない。

舌が入ってきて、噛んでやろうとするが、その瞬間ずるりと舌が抜かれて敵わなかった。

「昨日は、キスするだけであんなに悦んでたのにね…」

「嫌、しらない…」

「なまえ…もう一回シようよ。
昨日のくらい、すっげえの…」

「い、嫌だってばあっ!」

「自分の言葉に責任を持つんだね。
さあ、なまえ。気持ちよくしてあげるから」

「や…やだ、やめて!」

「大丈夫、力抜いて?」

「嫌、嫌、やめてよ、やだっ!」

「……この期に及んで、私が君を手放すと思うの?」

「離してえ…」

「ああ、泣いちゃってかわいいね。
だめだよ、離さない」

「おかしいよお…っ!」

「いいよ、おかしくて。
私はなまえを手放さない。
その代わり、未来永劫君だけを愛し続けるよ。
ね、だから大丈夫。
安心して、私のものになって」

「嫌あ……」

「……なまえ、これからもずーっと、」

よろしくね?





青柳様、私の未熟な文章では上手く表現できないのが残念でなりませんが、素敵なリクエストをありがとうございました。


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