「いや、全然構わないよ!
むしろ、楽しそうだなあと思ってさ」
「ですよね!そしたら早く行きましょう!」
「…まあ、面倒なことには変わらないんだけど」
「もう!早く行きますよ」
「わかったよ、楽しそうだねえ…」
ハンジさんは部屋に自分のシャワーを持っているけれど、今日は二人で入るということで、大浴場に来た。
分隊長権限で普段は入れない時間帯に入れさせてもらってるから、人はいない。
お互い恥ずかし気もなく服を脱ぎさって、浴室に行く。
「ハンジさーん、髪洗いますからそこ座ってください」
「えっ!?なまえが洗ってくれるの?やった!」
「ほら、早く座ってくださいよ」
「はーい」
ハンジさんの髪を濡らしてから石鹸でわしゃわしゃと洗う。
最初は楽しそうにはしゃいでいたのが、いつの間にかなんだか複雑そうな表情になってきた。
よくわからないけれど、聞いても私に洗われるのが嫌なわけではないみたいなので、とりあえず洗い続ける。
何度か洗った最後にお湯で髪を流してから、髪を絞る。
「終わりましたよ。…どうしたんですか?」
「いや…なまえさ、誘ってるんじゃないよね?」
「え?何で…」
「さっきから胸が背中に当たってるんだよね」
「…い、言わないでくださいよ……」
「えー?」
「仕方ないじゃないですか、頭洗うには、ある程度くっつかないとなんですから…」
「いや、それにしても当たるんだよね。さすが巨乳」
「はっ!?」
「いや、ずっと思ってたんだよね。
なまえってすげー胸でけえなって」
「そんなことないですよ…」
「あっはは、照れてるの?かーわいい!……えいっ」
「ひゃっ!」
振り返ったハンジさんに胸をわしづかみにされた。
「ちょっ、やめてください!」
「いいじゃん!減るもんじゃないし」
「減る減らないじゃなくて……。
私も髪とか洗わなきゃなんですから!」
「ちぇー」
お互い身体を洗い終わってから、お湯に浸かる。
胸を守りつつ、じゃああなたはどうなのよ?という気持ちになってじーっとハンジさんの胸を見つめる。
「…小さ」
「え、何いきなりひどい」
「あっ、す、すみません…」
「いや、いいんだけど。何いきなり?」
「いえ、ハンジさんが私の胸をからかってくるので、私もからかおうかと…」
「上司にはっきりからかおうかと思った、って言えるのすごい度胸だよね」
「相手がハンジさんだからですよ」
「褒めてるんだか貶してるんだか」
「褒めてますよ」
「まあいいか、なまえの胸がでかいから許す」
「…ねえ、ハンジさん私の胸が大きいから選んだ、とかじゃないですよね?」
「目をつけるきっかけになったのは事実だよ。
けど、君以上に胸の大きい子が迫ってこようと、今君がいきなり貧乳になろうと、気持ちは変わらない」
「……かっこいいんだけど、内容がなあ」
「不満?」
「強いていえば私は胸の大きさ気にしてる方がかわいいと思います」
「え、だって実際胸ない方が訓練とか楽だし」
「まあ、そうなんですけどね…」
……つまらない。
「あっ、そういえば胸って小さい方が感じやすいって言いますよね…」
「迷信だと思うけどなあ。
なまえ、でけえ胸してるくせにすっげえ感じるじゃん」
「ハンジさんだけですからね!?」
「少なくともここ最近、私以外の人で感じた経験があるなら、私今すぐ君を閉じ込めるよ」
「最近じゃなくてもないですよ、怖いこと言わないでください…。
…ていうか、私のことはいいんです!
ね、試してみましょうよ!本当に迷信かどうか」
「…いいけど?やれるものならね」
「やりますよ!えいっ」
「えい」
「ひゃあ!私の触るのはだめですって!」
「えー、それは不公平だよ」
「や、ひゃっ、っもう!」
「っ」
「感じました!?」
「大好きな子に触られたら、そりゃあね」
「照れてもいいのにつまんな…っあ!」
「あれー?これお湯じゃないよね」
「え、まっそっ、そっちはまだ…っんぁ!」
「いただきます!」
「え、ひ、ああっ!」
これは一種の野外プレイなのでしょうか。
とにかく、私はこの人によく考えもせず手を出そうとしたことを、枯れた喉と痛い腰とともに後悔しています。