「ただいまなまえ!」

「お帰り、ハンジ」

「家族会議しよう!」

「……は?」





同棲中の彼女と家族会議してみた





「え?いきなり何?」

「ほら、私たちついこの前婚約をしたわけだ」

「…そうだね」

「エルヴィン覚えてる?」

「え、覚えてるけど」

「エルヴィンがさ、結婚するなら、改めて色々話し合っておいた方がいいんじゃないか、って言うんだよね。
恋人同士だった今までは許せていたことでも、将来を誓い合う仲となると許せなくなることもあるだろう、ってさ」

「ああ…。
で、ハンジは何かあるの?」

「いや、特には思い付かない。
……とりあえず、私紅茶でも淹れるからさ、腰を据えて話そう。
確かに、今我慢して将来大喧嘩するよりは、きちんと話しておいた方がいい。
耳が痛くてもさ、それを避けて後で別れることになんてなったりしたら、…私耐えられないよ」

「……そういう、いきなり真顔でかっこいいこと言うところは、嫌い」

「嘘、好きなんでしょ」

「……そういうところも嫌い」

「はは、あんまりからかったら、本当に嫌われちゃうかな。
じゃあ、ソファーにでも座って待ってて」

「うん」

言われた通りにソファーに座ってハンジを待つ。

紅茶と、どこから出したのかお菓子の詰め合わせみたいなものを出される。

「何これ」

「もらった。学生に」

「……狙われてるの?」

「違うと思うよ。
なんか旅行のお土産らしいし」

「にしても箱ごとはあげないでしょ」

「……そうだね、ちょっと狙われかけてるかも。
でも大丈夫だよ、思わせ振りな態度なんてしないから。
それでも告白されたら…誠意を持って断るまでだね。
その前に、指輪ができるかもしれないけど」

「そうしたら、さすがに告白してこないかな」

「なら愛人にして、なんて言ってくるかも」

「…そんなに好かれてるの?
っていうか浮気したら出てくから」

「なまえが二人いても浮気はしないよ」

「…だからモテるんだよ」

「嫌う子もいるよ。
なまえと一緒にいるところとか結構見られてるみたいでさ、レズ疑惑とかあがってるし」

「事実じゃない」

「まあね。
まあ、そもそも性別を私は明らかにしていないんだけど…、やっぱり隠してもないから、ちょこちょこバレてるかな」

「同姓愛者なのはわざわざ言わなくてもいいと思うけど、性別はよくない?」

「はは、そうなんだけど面白いんだよ。
ちょっと戸惑った態度がさ」

「悪趣味」

「ごめんよ。
ま、そうやって悪いふうに噂をする子たちっていうのは、なぜか自分がレズビアンの変態教授に狙われてる!って思うみたいだね」

「…私がハンジを落とすのにどれだけ苦労したと思ってるの」

「……え、これ私が一方的な片想いからどうにか実らせた恋じゃないの」

「私だって……色々努力したの」

「後で詳しく」

「後でね」

「…ベッドの上で」

「いいけど」

「マジで!?何使おうかな!」

「…会議って不満言っていいんだよね」

「え?うん、何かあるなら言って」

「……それ、すぐに道具みたいなの使いたがるの、嫌」

「だってなまえがすげえよがるんだもん」

「馬鹿っ!」

「痛ぇ!」

「…というか、買いすぎ。
ペニバンとかいくつ持ってるの」

「今、四つ」

「そんなにいらないでしょ!」

「太さとか全部違うんだよ!
…それとも、なまえってそういうの嫌いなタイプだった?」

「え?」

「いや、私も元々そういうコミュニティとかにいたわけじゃないからわからないんだけど、男嫌いが原因で女の子を好きになるような子たちもいるらしくて、そういう子は嫌がるらしいよ。
こういう、男性器を思い起こさせるようなもの」

「…私は、結構好きだけど」

「じゃなきゃあんな気持ち良さそうにはしないよね」

「相手がハンジだからだよ。
…ハンジじゃないなら、男も女も嫌」

「なまえはさ、私にちん……睨まないでよ。
そうだな、本物が生えてたら、どう?受け入れてくれた?」

「もしものことはわからないけど、今ここでハンジの身体にそんなものが生えたりしたら……そうするかもね」

「……ねえなまえ。
会議切り上げて今ここでヤろうか」

「だめ」

「ちぇっ」

「でも、話が終わったらいいよ」

「……今日どうしたの、なまえ」

「私だってたまにはそういう気分になるんだって」

「…ソファーでいいの?」

「いいよ」

「……カメラ」

「だめ」

「…ちぇ」

「今まではね、ハンジのお金だから、ハンジが好きなものを好きなだけ買うのは構わないと思っていたの」

「…うん」

「その考えは、変わらないけれど、結婚して、子供まで引き取りたいって私たちは考えてるんだから、今までみたいに自分の収入を自分で管理するんじゃなく、二人の収入を二人で管理した方がいいかな、って思うの」

「ああ、それはそうかもね。
今まで何気に私たちきっちり出費分けてたし」

「家賃はハンジ持ちだけどね…」

「だって、私が元々一人で住んでた家だし」

「うん……そうなんだけど。
でもさ、ハンジが私のためにお金使うの、今はよくても、いつか何かあったときに、不満になるんじゃないかな」

「あのさ、なまえ。
私の財産は、あなたのものでもあるんだよ、家族になるんだから」

「うーん…そうかもしれないけど」

「収入差で割合決めてさ、共同財布作ろうよ。
基本の生活費は、そこから払うってことで。
あとは、貯金だね」

「うん、いいかも」

「……私は、なまえには不満はないけど、なまえが私に不満を覚えるんじゃないかな、って思っていることがあるんだ」

「何?私には心当たりないけど」

「…家事、大体なまえに任せちゃってる」

「……ああ、まあでも、面倒なときは手抜いてるから」

「確かに最近スーパーのお惣菜多いなって思ってた」

「…ごめん、本当に最近は多いかも」

「いいんだよ、なまえだって仕事してるんだから。
……私もさ、なまえに甘えてばかりじゃなくて、色々やらなきゃなって」

「いいよ、ハンジは忙しいんだから」

「まあ、それでも大半はなまえに任せることになると思う。
やっぱり就業時間が全然違うし…でも、私だってできることはあるからさ。
二人でやってできないなら…それはもう手を抜こう。
毎日外食でもいいし、ホームキーパーみたいなのを頼んだっていい。
どうせ金はあるんだから、気軽に行こう。
……とはいえ、私ももうちょっと部屋を汚さない努力をしなきゃね」

「ほんとだよ」

「ところで、掃除専門のホームキーパーなら、いいやつ知ってるんだけど、どう?」

「いいね、じゃあ一回その人に頼んでみようか、お試しで」

「うん、そうしよう」

「……なんか、家族っぽいね」

「何言ってるのなまえ、家族でしょ?」

「ハンジがね、好きなの」

「何いきなり」

「わかんないけど、好きなの」

「うん」

「好き」

「…うん」

「大好き」

「……あの、さ」

「…何?」

「…ムラムラした」

「は?」

「ヤろうか、なまえ」

「えっ、まだ話…っ!」

「いいよ、また明日にしよう」

「ん、あっちょ、こら舐めないでっ」

「時間はあるんだから」

「ふ、ぅ」

「家族になるんだよ私たち」

「あっ、もう!押し倒さないで、よっ」

「ずっと一緒にいよう」

「んっ、そんなの、当た、り前…」

「愛してる!」




「……で、何で俺は呼ばれたんだ」

「一週間昼飯奢るから掃除してよ!」

「えええ……」

つっこみどころが多すぎてすぐに反応できなかったが、状況を整理しよう。

今日は日曜日で、ちょうど二人とも何もすることがなかったので、だらだらしながら遅めの昼食を食べていたところだ。

そこに、なぜかお掃除ルックのリヴァイさん。

食べているものも冷蔵庫の余り物で作った適当なものだったから、正直恥ずかしい。

「なまえ、この前言ってたお試しのお掃除のおじさん」

「誰がおじさんだ」

「痛ぇ!」

「……私の専売特許」

「あ?」

「そんなことまで嫉妬しちゃうとかなまえマジかわいい!」

「リヴァイさんもっと殴ってやってください」

「了解だ」

「いでででで」

「……にしても、本当に汚れてんな。
お前らは掃除というものができないのか」

「ええと、この部屋は昨日掃除したばっかりですけど」

「そうだよ私の部屋はともかくさ」

「全然なってねえ、すべてやり直しだ」

「リヴァイさんって潔癖症なの、ハンジ?」

「そう、気持ち悪いくらいにね」

「黙れくそが。
お前ら、その飯を早く食え、早急に取りかかるぞ」

「えっ!?私たちもやるの!?」

「当たり前だろうが、一週間の昼飯だけでやってやるんだ。
言っとくが、俺は不味い学食の飯は食わねえからな」

「わかってるよリヴァイ」

「ねえハンジ…一週間昼食奢るって…」

「ああ、大丈夫。私の小遣いの範囲でやるから」

「そうじゃなくて…。
それって、これから一週間一緒にご飯食べるってことでしょ?
それって…」

「嫉妬?ねえ嫉妬!?
やだなあ、私はリヴァイなんて興味ないって!」

「テメェなんざ俺の方から願い下げだ」

「まあ、それでも気にはなるよね。
リヴァイはこれでも結構人気ある方だし、私は君にとって愛する婚約者なわけだし?」

「…馬鹿」

「あれ、叩かないの?」

「……」

「いって!」

「…するって、嫉妬くらい。
なんにもないのはわかってるけどさ」

「まあ、そうだよね。
もし不安なら、駅前でご飯食べるから、会社のお昼休みになまえもおいで。
仲良しのペトラでも連れてさ」

「…うん、そうする。
でも、ペトラは来れるかな、忙しいし…。
連絡してみよう」

「うん、そうしてみて」

「……。
…あ、返信」

「ずいぶん早いね」

「来るって。
……なんかすごい誤字ってる。
りぅぁいへいちなゅう、だって」

「だってよ、リヴァイ」

「勝手にしろ」

「じゃあ、そうしよう!」

「ところでお前ら、頼むから早く食ってくれ。
掃除ができねえだろうが」


結局リヴァイさんに手伝ってもらって掃除してもらった私たちの住み処は新築のようにピカピカになった。

ということでハンジの奢りで行くことになったランチだけれど、ペトラ以外にもオルオやらエルドさんやらグンタさんやらまで着いてきて、色々ひどいことになったのは、また別のお話。



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