アルミン誕生日記念ですが、内容はほとんど関係ありません。
むしろ私が試験監督をやってみた記念です。
あえて設定に無理があったりします。


※現パロ



最近お金ないな、でも長期でバイトとかやるのは嫌だな……なんて考えていた今日この頃。

友人のペトラに、じゃあ一緒に試験監督やろうよ、なんて言われて、時間は?給料は?なんて聞いたらまさかの半日のみ、日給7000円、当日払い

こんないい仕事はないと、私は即刻飛び付いた。

「会場色々選べるけど、うちの大学が選べるからそこでいいよね。
交通費出ないけど、これなら定期券内で行けるし」

「うん、いいよー」

そんなこんなで私はペトラと共に週末に試験監督、というバイトを入れたのだった。




試験監督のバイトをしてみたらタイプすぎる子に会った




朝5時という寝坊な私には凄まじい早さに起きて、スーツに着替えて電車に乗り、途中駅で乗ってきたペトラと合流して、大学に入っていく。

説明やら何やらを受け、教室をセッティングして待つ。

何やらこの試験は受付した順に受験番号が決まるらしく、私はあとの方の番号の教室だったので、しばらく誰も来なかったが、試験開始の20分くらいになると、一気に人が押し寄せてきた。

大体10分くらいで席がほとんど埋まって、だがなぜか3つ連席で空いている。

空いているってことは、受付で受験番号はもらっているはずなのだけれど、大学内で迷ったのだろうか。

一応、最初20分は受験票の記入だったりするから、多少遅れても平気なのだが、少し心配になる。

もうあと1分で説明を始めなきゃ…なんて他人事なのに自分までそわそわしながらいると、その瞬間に外国人風の三人がばたばたと入ってきた。

黒髪の、年のわりに背の高いイケメン君が、同じく黒髪の美人さんと一緒に黒板を見て、自分の席を確認している。

「っ、あの!」

「は、はい?」

三人のうちの一人で、綺麗な金髪をしたかわいい感じの男の子が話しかけてくる。

……え、何この子ちょータイプ。

「僕、受験番号1103なんですけど、この教室で合ってますか?」

「ええと、そうですね、その空いている席です」

「あ、ありがとうございます!」

金髪の子がぱたぱたと黒髪の二人の元に行って、そのまま三人が席に着いた。

ちょうどチャイムが鳴って、説明を始める。

その際も、思わず教室を見渡すふりをして、その金髪の男の子を見てしまった。

そう、詰まるところドタイプだったのだ。

かわいい見た目も、かわいさのなかに見え隠れするかっこいい声も、ちょっと眉を下げて申し訳なさそうに席を聞いてきた姿も、今座って真剣に説明を聞きながら志望校を選んでいる姿も、……びっくりするくらい好みだった。

彼の席はちょうど一番前で、問題用紙等を配るときも、にこ、とはにかんでわざわざ手で受け取ってくれるから、もうときめきは止まらなかった。

これは高校受験の模試だから、彼は中学生。

中学生相手に何考えてるんだ、と思いはしたが、別に手を出すわけでもなし、この半日だけなら勝手にときめいていても、誰も私を咎めはしないだろう。

最初の試験が終わって問題用紙を集める。

そのあと枚数とか、名前の書き忘れがないか確認をするのだが、思わず1103の名前を確認する。

……が、その1103番に名前がない。

なので、名前を書いてもらいに彼のもとへ行く。

「これ、あなたのですよね?
名前を書き忘れてるみたいなんですけど…… 」

「え、あ…すみません!」

そういって、彼が名前欄に名前を書いていく。

アルミン・アルレルト。

ああ、やっぱり外国人だ、なんて思いながら、その問題用紙を回収して、確認作業に戻る。

アルミンくんの後ろに座っていた彼が「珍しいな、お前が書き忘れとか」と声を書ける。

そんな彼は、…エレン・イェーガーくんだ。

アルミンくんが、顔を赤くして、小さい声で何か言っていた。

エレンくんがくすくすと笑っている。

すると、エレンくんの後ろに座っていた…ミカサ・アッカーマンちゃんを呼んで何か話した。

アルミンくんが顔を真っ赤にして何やら止めているようだったから、おそらくエレンくんがアルミンくんをからかってミカサちゃんに何か言ったんだろう。

微笑ましいな、なんて思いながら、私は仕事に戻った。

だが、面白いことに次の時間はエレンくんが、次の時間はミカサちゃんが名前を書き忘れた。

そのたびに三人は集まって笑っていた。

さすがにその次からは書き忘れはなくなったが、もう完全に三人の名前と顔を覚えてしまった。

特にアルミンくん、彼は本当にかわいい。

ずっと試験続かないかな…なんて思いもしたが、まあそういうわけにもいかず、試験は終わってしまった。

「お疲れさまでした。
気をつけて帰ってください」

マニュアル通りの挨拶をして、試験を終了させる。

アルミンくんたちも、荷物をまとめ始めている。

ああアルミンくんばいばい、おばさんに癒しの時間をありがとう。

そんなことを思いながら私も教室の片付けをし始めると、荷物を持ったアルミンくんがあの二人と一緒に、私の目の前に来た。

「今日はすみませんでした。
僕たち、時間に遅れたり、名前書き忘れたりして」

「えっ…ああ、大丈夫ですよ。
よくあることですから」

…いや、知らないけど。

「なら、よかったです。
今日はお疲れ様でした」

「お、お疲れ様でした…」

金髪を揺らして少し頭を下げるアルミンくんにどきっとして、少しどもってしまった。

アルミンくんはそのままにこっ、と笑ってエレンくんとミカサちゃんに着いて帰っていった。

……やばい、恋に落ちたかも。



「エレン・イェーガーくん?
私知ってるよ」

「嘘!?」

給料を貰ってほくほくななか、帰り道でスマホを弄るペトラに今日あったことを話すと、まさかの反応だった。

まあ、ペトラが知っていたのは私お目当てのアルミンくんではなく、エレンくんの方だったのだが。

「あ、アルミンくんは…?」

「うーん、エレンの幼なじみだってのは知ってるけど、詳しくは…」

「そっか……。
…っていうか、そもそも何でエレンくんと知り合いなの?」

「あー、ゼミの関係で」

「…リヴァイ班?」

「そう!」

リヴァイ班というのは、リヴァイ教授のゼミメンバーの通称であり、なぜか教授は兵士長だとか略して兵長だとかで呼ばれている。

意味はわからないが、ペトラに聞いてみたところ、リヴァイ教授のゼミに入れた人たちがみんな凄まじい出世街道を辿ることと、軍隊レベルの厳しさから、尊敬と畏怖の念を込めてリヴァイ兵長と呼び、メンバーをリヴァイ班と呼ぶようになったらしい。

ペトラが気になって兵長と呼ばれることについて嫌じゃないのか聞いてみたらしいが、その答えは一言「慣れた」だとか。

「…で、なんでエレンくんはリヴァイ班なの?
中学生でしょ」

「ああ…それは、ちょっと彼のプライバシーに関わるから、やめておくわ。
ちょっと事情があるのよ」

「そっか…」

「そういえばさっきエレンにから連絡きたんだけど、そしたら駅にいるから、いいお店教えてくれ!だって。
アルミンくんが今日誕生日なんだって」

「えっ!?」

「元々ファミレスでご飯とケーキ奢るだけの予定だったんだけど、帰りに私を見て、私が近くにいるなら、どうせならいいお店教えてもらおうって思ったみたい。
だから、今から会いに行くけど、なまえも行くよね」

「ペトラ様…!!」

何やら話ながらスマホをいじっていたのはそういうことか…!

少し感動しながら、ペトラにぎゅうっと抱きついた。

離れてよー、なんて笑いながら私をペトラは押してきたけど、私は気にせず抱きついていた。



「あ、ペトラさん!」

エレンが手を上げてペトラを呼ぶ。

ペトラが手を振り返すと、ミカサちゃんとアルミンくんが頭を下げた。

「エレン、お疲れ様。
アルミンくん、誕生日おめでとう」

「あ、ありがとうございます」

アルミンくんが慌てて頭を下げる。

私もペトラと同じく、「おめでとう」と言うと、同じようにアルミンくんが頭を下げてくれた。

「あ、私ペトラ、エレンとはリヴァイ班の関係で知り合ったの」

ミカサちゃんとアルミンくんがああ、といった顔をする。

…中学生にもリヴァイ班で通じるのか。

「で、こっちは友達のなまえ」

「よ、よろしくね」

「よろしくお願いします」

「よろしくお願いします!」

「よろしく、お願いします…」

エレンくん、アルミンくん、ミカサちゃんがそれぞれ頭を下げてくれる。

「俺、エレン・イェーガーです。
こっちが、幼なじみのミカサ・アッカーマン」

知ってる。

「僕は、アルミン・アルレルトです」

アルミンくん、もちろん知ってる。

「じゃあ、行こうか。
私も、そんないいお店を知ってるわけじゃないんだけど、ちょっと豪華に食べるくらいならちょうどいいと思うよ」

「はい、ありがとうございます!」

ペトラの言葉に、エレンくんがそう言って着いていく。

エレンにぴったりとくっついて、ミカサちゃんも行ってしまった。

少し出遅れた私はアルミンくんに「行きましょうか」と言われて、少しときめきを覚えながら二人で歩き出した。



結局、ペトラはお店だけ紹介して後は幼なじみ三人で水入らず、というつもりだったらしいのだが、どうせなら一緒に!と他ならぬ本日誕生日のアルミンくんが行ってくれたのもあり、ランチをご一緒することにはなった。

揉めたのは支払いで、ペトラと私は年上なのだから私たちが、エレンくんは男だから俺が(誕生日のアルミンくんは除外)、ミカサちゃんは元々の予定通りエレンと私で、アルミンくんはじゃあ割り勘にしよう!とそれぞれ言い張ったが、結局私とペトラが自分の分だけ払い、あとはエレンくんが払ってミカサちゃんが端数を払うことになった。

支払いは俺に任せろ!というエレンくんのお財布はマジックテープ…ではなく中学生にしてはしっかりしたお財布で、それを見ながら「エレン…」と呟くミカサちゃんを見て、ああこの子はエレンくんが好きなんだな、なんて思っていた。

お店から出て、ペトラがエレンくんとごめんね払わせちゃって、いいんですよ、なんて会話をしているのを尻目に、エレンと知り合いなペトラはともかく、全く関係なかった私までいてよかったのかな…なんて思っていると、アルミンくんが私に話しかけてくれた。

「あの、今日はありがとうございました」

「あ、ううん。
むしろごめんね、私全然関係ないのに」

「いえ、なまえさんとお話できて楽しかったです。
……あの、失礼かもしれないんですけど、いいですか」

「え?いいよ、何かな」

「えっと…よかったら、連絡先教えてくれませんか!」

バッ、と彼が頭を下げる。

ああ何回今日彼は頭を下げているんだろう。

「え…え…」

「あ、あの、すみません…、いきなり……」

「う、ううん…えっと、私のなんかでよければ…」

「えっ!いいんですかっ?」

「う、うん…」

「あ、ありがとうございます…」

照れるアルミンくんに、私までどきどきしながら連絡先を教える。

今度連絡しますね…!なんて顔を真っ赤にしてアルミンくんが言ってくれて、私も顔を赤く染めながら頷いた。















「なんかものすごく上手くいったな、アルミン」

「うん、二人ともありがとう」

「別に…私は何もしていない」

「ううん、ミカサじゃないか。
遅れた方が印象に残るって言ってくれたの」

「よく思い付いたよな、大体そういうの考えるのアルミンなのに」

「私は、何もしていない……。
それより、盗聴だけで机の位置を正確に割り出したアルミンの方が、すごい…」

「本当だよな、あれどうやったんだ?」

「ああ、それは、なまえさんが席の数数えているのを聞いて、予測したんだ。
まさか当たるとは思わなかったけど…」

「やっぱすげえな、アルミンは」

「そんなことないよ。
それよりエレン、さっきはありがとう」

「あ?」

「ペトラさんのことだよ」

「ああ、別に構わねえよ。
どっちにしろ、もしペトラさんを見かければ、声掛けただろうし」

「うん、でもエレンがああしてくれなければ、なまえさんに連絡先は聞けなかっただろうから。
本当にありがとう」

「へへっ。
だけどよ、名前の書き忘れとかも、アルミンよく思い付いたよな」

「ああ、うん。
あれは、二人ともありがとう。
二人が同じことやってくれたおかげで、模試中もなるべく側にいれたし」

「いいんだよ、そのくらい」

「それよりアルミン…なまえさんとはどうなの?」

「ああ、最近連絡してみたんだ…。
脈ありだといいんだけど」

「なまえさんは…試験中もアルミンを見ていた。
きっと、上手くいく」

「ありがとう、ミカサ」

「俺はそういうのよくわかんねえけどさ、アルミンのことは応援するぜ」

「ありがとう、エレン。がんばるよ」



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