!注意
こちらは「XXX」(管理人:千夜様)とのリンク記念短編です。
千夜様に一方的にプレゼントさせていただきます。
「XXX」の長編のハンジさんを参考にさせていただいていますが、一番大事な「男以上に男らしい」部分が完全に駆逐されています。
男らしいを履き違えてただのひどいやつです。
夢主もあんなに頭よくないです、どちらかと言えば頭悪いです。
というか二人とも完全に頭がおかしいです。
ので、本当に「XXX」様のハンジさんとは全く違います。
もとよりないであろう期待は捨て去ってください。






上司のハンジさんが好きだった。

大量の書類を溜め込んで私にそれが回ってきても。

例え提出日が明朝と言われても。

女の子たちを抱き散らかしていると知っても。

その女の子たちに自分の友達が含まれていても。

それでもそれでもずっと好きだった。

……のに。

「なまえ、セックスしよう!
大丈夫、全部たくさん女の子使って練習してきたから!
え?抱いた女の子?
知らないよ、興味ないからね!
だって私は常になまえのことしか考えてなかったからさ!
うん、てことでシよう。
大丈夫、大丈夫、私もうすっごく上手だから。
技術だけはあるから、ね!
言ってたじゃない、私が好きだって!
ペトラだっけ?同室のあの子と話してたじゃない。
ああ、大丈夫、彼女には手を出してないからね。
私を好きになって恋愛ごっこしたがる子は、他にもっといたしさ!
ああでもわかっていたよ、君は私を好きになってくれるってね!
だけど見てよ、結果好きになってしまったのは私の方さ。
もう骨抜きだね、夢中だよ!
いつ思いを伝えるべきかずっと迷ってたんだけど、君がペトラと話してるの聞いちゃってさ!
もう今しかないでしょ!って思ったんだよ!
この際、性別なんて関係ないよね!
告白してきた女の子に、私女だけどって伝えるとそれでもいい、ってみんな言うんだよ!
それの意味が今までわからなかったけど、君に恋して確信した。
恋に性別は関係ないよ!ああ、ないね!
だからシよう!セックスしよう!!」

……どうしてこうなった。





男以上に男らしいはずの上司に恋したら彼女は頭がおかしかった





「え、は、え……!?」

情報量が多すぎて混乱する。

相変わらずハンジさんは色々話しているけれど、とりあえず無視して今までの情報を整理しよう。

ええと、まずハンジさんは私とせ、セックスしたがっている。

……なんだか知りたかったような知りたくなかったような情報だけれど、とりあえず置いておく。

次に、ええとこれは本当は喜ばしいことのはずなのだけれど、ハンジさんは私を好き、でいてくれている。

そして、私がハンジさんを好きなのを知っている。

……そして最後に大問題なのが…、ハンジさんは女性かもしれない。

「……ってことで、私はなまえが好きなんだよ!」

「…すみません、聞いてませんでした」

ひどい!とハンジさんが叫ぶ。

散々女の子たち抱き散らかしておいて、それをあんたが言うか、あんたが。

「ハンジさん、あの…色々確認したいことがあるんですけど」

「え?ああ、構わないよ!
何かな」

「……ハンジさんは、女性なんですか」

「ああ、そうだよ。
言ってなかったっけ」

「はい、…初めて聞きました」

「へえ、そりゃあ悪いことしたね。
でも性別なんて関係ないさ!
私は君を愛してるよ」

「そのことなんですけど…。
ハンジさんは、女性が好きなんですか」

「いや、特には。
というか、元々恋愛感情みたいなのが希薄なんだよ。
だから、君を好きになるまで恋なんてしなかった。
……いや、希薄なんじゃなくて、私の愛は全てなまえに捧げるために、今まで恋をしなかったのかもしれない!
いやそうだよ、絶対そうだ!!
つまり、私の恋愛嗜好みたいなのは、要は君の性別によって決まったんだよ。
君が女性なら同性愛者、男性なら異性愛者ってね!」

「あ、あの…っ!
じゃあ、じゃあ何で女の子たちを、だい、抱いたりして……」

「え?だって君言ってたじゃないか。
付き合うなら、えっちが上手い人がいいって」

「……は?いつ?」

「一年くらい前かなあ。
食堂で真夜中に同期の女の子たちと酒盛りしていたじゃない。
そのときに、言ってたよ」

……全く覚えていない。

一年も前のことらしいし、ハンジさんが言うには酒が入っていたらしいから、覚えていないのも無理はないかもしれない。

んー…と頭を捻って考えるが、検討もつかない。

「あの、派手な見た目したリーダー格っぽい女の子が、君に聞いたじゃない。
『付き合うなら、えっちは上手い方が良いわよね』って。
そしたら、君頷いて、『上手いにこしたことはないよね』って」

……言った。

思い出した、言った。

でも、 別に自分が経験ないから上手いにこしたことはないと言っただけで、別に上手い人が好きだなんて言ってない。

「そ、それと女の子を抱くのは…一体なんの関係が?」

「練習だよ。
だって私もさすがに女の子を抱いた経験なんてなかったからね!
だから、それまで告白されても断ってたんだけど、身体だけの関係でもいいっていう馬鹿な女の子たちを練習台にしてみたんだ。
大事にしようなんて気は更々なかったから、膣に傷をつけちゃったり、最悪炎症起こしちゃったりした子もいたけど、まあみんなさすがだね。
何されても健気に耐えていたよ。
それはさすがに私もひどいことしたと思ったけど、それ以上にそのときの相手がなまえじゃなかったことに心底安心したよ。
大事な大事ななまえを傷つけるわけにはいかないからね。
ってことでなまえ、セックスしよう」

……分隊長、意味がわかりません。

私の、たったあれだけの一言のために、あれだけたくさんの女の子が犠牲になったというのか。

私は、分隊長の補佐官という立場にあったから、彼女の部屋を訪れることは多かった。

その分、彼女が女の子を部屋に連れ込むのを見る回数も多かった。

最初は悲しくて、彼(そのときは男性だと思っていたから)は私じゃない女の子を選んだんだって、同室のペトラに気づかれないよう、声を押し殺して泣いたものだが、あれだけたくさん見ると、段々感覚も麻痺してきて、いつしかまたか、としか思わなくなってしまっていた。

それでも私は彼女(彼)が好きだったし、この際一晩で捨てられる女になるくらいなら、長年の付き合いの部下でいようと思っていたのだ。

でも、まさか私のために、みんながそんなひどい目にあっているだなんて、思ってもみなかった。

一夜限りなら一夜限りで、きちんと優しくされていると思っていた。

だから、自分の友達が、分隊長の部屋に入っていくのを見ても、朝まで出てこないのを見ても、見てみぬふりができたのに。

思わず涙が出る。

「っ、どうしたのなまえ?
どこか痛い?誰かに何かされた?」

……胸が痛い。

なんて言うわけにもいかず、涙をぬぐってから「大丈夫です」と答える。

「ハンジ、さん……」

「なあに、なまえ」

「私…どうしたらいいの……」

「…あ、もしかしたらなまえ、嫉妬してる?
私がなまえ以外の女を抱いたから。
もう、かわいいなあ!
大丈夫だよ、私は君以外誰にも興味なかったから。
抱いてたってちっとも楽しくなかった。
まあ、支配欲とか、そういうのは満たされたけどさ。
考えてるのはいつだって、君のことだった」

ぎゅっ、とハンジさんに抱き締められる。

違う、そうじゃないの。

私は、優しいハンジさんが好きだった。

書類を溜め込んでは私に押し付けるし、女癖は悪いし、そう聞くと最低に聞こえるかもしれないけど、でも誰より人類のことを考えていて、優しくて利発的で、きっと一晩限りのたくさんの女の子たちにもそうな、あなたが好きだったのに。

これ以上、幻想を崩さないでほしかった。

勝手かもしれないけれど、彼女にこれ以上ひどい人になってほしくなかった。

ハンジさん、私も馬鹿な女の子のうちの一人なんだよ。

一晩で捨てられる女になるくらいなら、長年の付き合いの部下、って言ったけれど、でも求められれば、一晩限りの女になるつもりだった。

私には、今まで吐いて捨てられてきた女の子たちの思いを背負う覚悟なんてない。

汚い自分を、受け入れる覚悟なんて、ない。

「ねえ、なまえ」

ハンジさんが私を抱き締めたまま聞いてくる。

「君は、私が好きかい」

「好き…ずっと、ずっと前から好き……」

「じゃあ」

そういうと、彼女は私から離れて、二、三歩下がる。

彼女の横には珍しく綺麗な彼女のベッド。

きっと、たくさんの女の子たちが、この上でハンジさんのおもちゃにされてきた。

「おいで、なまえ。
友達をひどい目に合わされて、悲しいんだろう。
たくさんの女の子たちが、自分と同じ思いの女の子たちが、弄ぶだけ遊ばれて、捨てられたのが、苦しいんだろう。
なのに、私に選ばれて嬉しいのが、自分のために私が他の誰のことも省みなかったのが快感な、そんな自分が汚く思えて仕方ないんだろう。
なまえ、そんな馬鹿でひどい君も愛してるよ。
私なら、すべて忘れさせてあげられる。
全身全霊をもって、君のいいところも悪いところも愛してあげる。
その代わり、こっちに来るなら君はもう戻れないよ。
私と一緒に堕ちるんだ。
ねえ、なまえ」

どうする。



ハンジさんが私に向かって手を伸ばす。

この手をとったら、私は本当に地獄行き、彼女と共犯。

わかっているのに、私は彼女の手をとってしまった。

ぼすっ、と、ベッドに投げ出されて、彼女が覆い被さってくる。

「…浮気しちゃ、だめですよ」

「まさか。せっかく君を手に入れたのに、するもんか」

ちゅーっと唇を吸われる。

それだけなのに、頭が真っ白になってとろけそうになる。

なるほど、確かに技術はあるようだ。

そのまま口のなかを思う存分荒らされて、息も絶え絶えになる。

「なまえ、愛してるよ」

そのまま影が一つになって、私たちは堕ちていった。







千夜様へ
リンク記念だというのに、胸糞悪い話で申し訳ありません。
いらなければ、どうぞお捨てください。
よろしければお持ち帰りをば。
このたびは、リンクありがとうございました。


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