サシャの場合




さっきはひどい目にあった…。

ミカサがあんなことを、するとは思わなかった。

今頃、エレンは大丈夫だろうか。

そんな心配をしながら、ラスクを片手に歩いていると、何かを食べながら歩いてくるサシャを見つけた。

思わず口にラスクを放り込む。

案の定、サシャがこちらに向かって走ってくる。

「あああ…っ!私のラスク…!」

「サシャのじゃないよ!
…っていうか、その距離からよくわかったね」ラスクだって」

ごく、っとラスクを飲み込む。

サシャが絶望した!といったような顔をする。

「っ!そうだ、サシャ。
手に持っているそれは何?」

「飴ですけど…あ、あげませんよ!」

「トリックオアトリート!
お菓子くれないといたずらしちゃうぞ!」

「ええ!なんですかそれ!」

「ハロウィンだよ。
仮装して、お菓子をもらうの!」

「あ、それアルミンが言っていました!」

みんなアルミンから聞いているな。

「でも、それが今日だなんて聞いてないですよ!
知っていたら、私も仮装したのに!」

たぶん、それを恐れてアルミンは日にちを教えなかったんじゃないかな。

「とにかく、その飴ちょうだい?
じゃないといたずらしちゃうよ!」

「うう…仕方ありませんね…。
どうぞ……」

心底悔しそうにサシャが飴を手渡してくる。

せっかく盗んだのに…なんて聞こえてきたが、無視しておいた。

さすがにサシャの前で食べるのは悪いから、後で食べよう。

そう思って、飴はポケットにしまった。

しばらく、ものすごく落ち込んでいたサシャだか、ふと何かを思い付いたように、サシャが目を輝かせた。

「なまえ、トリックオアトリートです!」

あ、やってしまった、ラスク残しておけばよかった。

どう乗りきろうか、なんて思っていたら、サシャがいきなり唇を押し付けていた。

「んっ!?」

一瞬の隙に、べろりと口の中を舐められた。

「甘い味がします!
なまえ、まだ足りません!
もっと食べさせてください!」

「え、ちょ…だ、だめーーー!!」

私はサシャの呼び止める声も無視して走り去った。




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