私には、なまえという名前の、訓令兵時代からの友人がいた。
私と同期ってことは、なまえも相当の手練れなのかと思えば、それは大間違い。
討伐数、討伐補佐数ともに新兵に気を持ったくらいしかない彼女は、分隊長という立場まで得た私に対して、未だに一般兵であった。
それでも、長年行って帰ってきて一人前な調査兵団で何だかんだ今まで生き残っている彼女への周りの信頼は厚かった。
まあ、そんな彼女と私だが、私は彼女を親友とさえ呼んでもいい間柄だと信じている。
私たちは、いつだってどこでもずっと一緒にいたわけではないが、休憩中にあって少しおしゃべりをしたり、ご飯を食べたり、何だかんだで共に時間をすごしてきた。
彼女に何をしてもらったわけでもないし、私も彼女に何をしてあげたわけじゃないけれど、要は気が合って、一緒にいると安らぐような、そんな関係だったのだ。
ところで話は変わるけれど、私には恋愛感情といったものがほとんどなかった。
別に、興味がないわけじゃなかった。
誰かが誰かを好きと聞けばからかいにいったりしたけれど、自分自身は、特に誰かを好きになったりは、しなかった。
一応、告白みたいなことはされたことはある。
男からも、女からも。
容姿も、性格も、私はとても中性的だったからか、どっちなのか判断がつかなかったようで。
でも、私は列記とした女で、女の子とは付き合えなかった。
だからといって、男の子とも付き合おうとは思えなかった。
つまり、結局は、恋愛感情が希薄だ、という結論に辿り着くのだった。
なまえも、自身の恋愛に関しては疎いようで、彼女からそういった類いの話は聞かなかった。
だから、いつの間にか、まさか彼女に好きな人、なんてのができる日がくるだなんて、考えたことすらなかったのだ。
…ええと、長くなったのだけれど、こんなことを話して、結局何が言いたかったかというと。
私は今、親友を押し倒している。
長年の親友にいきなり襲われた上に処女(?)を奪われた
「ハン、ジ…?」
私は今、親友に押し倒されている。
ハンジは、私の長年の親友で、彼女とは…いや、今はそんなことはいい。
とにかく、親友だったはずの人に、なぜか私は押し倒されている、それが重要なのだ。
「なまえが、悪いんだよ」
「どういうこと…?
私、ハンジに何かした?」
「ないの、心当たり」
「…ないよ。あったら、先に謝ってるし」
「……一週間前」
「一週間前?」
「一週間くらい前に、なまえが、好きだって」
「…?」
「リヴァイのこと、好きだって」
「!」
言った。
確かに言った。
私は今まで誰も好きにはなれなくて、誰かとお付き合いしたりしたことはなかったけれど、最近、やっとそれができて、それがもうそこそこ長い付き合いの人類最強ことリヴァイだったのだ。
気づいたときはもう恥ずかしくて、だけど冷静になればなるほど、まあ無理だろうな…と思うようになって、だがそれでも、親友のハンジには言いたくて、一週間ほど前に、言った。
…そのときは、至って普通の反応をしてくれた。
「え、マジで?
そっか、そっか〜、ついになまえにも春が来たんだねえ」
…が、今はどうだろう、これは親友に対してする行為として、"普通"だろうか。
「私ね、あのときから今まで、ずっと考えてたんだよ。
君がリヴァイを好きだって言ったあの瞬間から、私はずっと。
このもやもやは何かなって、…ずっと。
最初は、まさか自分もリヴァイのこと好きで、それでなまえに取られて悲しいんじゃないか、なんて考えたけど……正直、彼に恋人ができようが、私にはどうでもよかったんだ。
まあ、あいつが好きになるのってどんなやつだろう、みたいな、別の興味はあるけどね。
つまり、私はなまえに好きな人ができたのが嫌だったんだよ。
好きになったのが、エルヴィンでも、ミケでも、そうだっただろうね。
それで、考えたんだ、何でそれがそんなに嫌なのか。
そしたら、ふっと降ってきたんだ、ああ私ってなまえのことが、好きだったんだって。
だから、リヴァイに取られたくないんだ、って」
「…ハンジ、えっと、ハンジは女の子が好きなの」
「……いや?特にそういうわけじゃないよ。
なまえが、好き。愛してる」
思わず頬がかっと熱くなった。
今までも、愛してるとか、お互い冗談で言い合ったりしたことはあった。
けど、こんなに真剣な目で見つめられて、言われたら…。
その、ハンジは、美人なのだ。
普段は奇行ばかりが目立って、しかも思わず顔芸?といいたくなるほどの多彩な表情を見せるから、少し気付きにくいけれど、彼女は本当に整った顔を、している。
目を合わせていられなくて、私は思わず目をそらした。
「私を見てよ」
ハンジが私の顎を持ち上げてくる。
「ハ、ンジ…」
「…なまえ」
ちゅう、っと。
噛みつくようにキスされる。
「…っ!?」
一瞬、思わず目をつぶってしまった。
唇をこじ開けられて、彼女の熱い舌が入ってきた。
やばい、流される。
私は手やら足やら何でも使ってハンジを引き離そうとする。
けれど、彼女はそれも上手いこと押さえ付けてくる。
私を足を乗っかるように押さえて、手も恋人繋ぎのようにされてから、頭の横に置かれた。
上半身もぎゅうっと私の胸に押し付けられている。
私も、一応兵士で、人一倍訓練もしていると思う。
それでも、やっぱり彼女とは違う。
だって彼女は分隊長という地位にある人で、きっとそもそも基礎が違う。
こういう才能の差、みたいなのを気にするのはもうやめていた、だって仕方のないことだから。
私は私にできることを、精一杯するだけ。
だけど、まさかこんなところでその差を感じることになるなんて。
「ハン…やぅ、ん、ぁ」
「んっ、ふ…」
くちゅくちゅと音を立てながら、ハンジが舌を吸ってくる。
私もだけど、たぶん彼女もキスの経験なんてない。
だからなのかはわからないけど、お互い上手く息ができなくて息づかいが荒いし、唾液も垂れてきた。
けど、ちょっと気持ちいい。
「っ、…はあっ!」
重なっていた唇が離れる。
二人ともはあはあと肩で息をしながら、しばらくぼーっとしていた。
「っ、あああ!!
すっげえ!バカにしてた…!
何これすっげえ気持ちいい…!」
ハンジが顔を真っ赤にして、よだれを垂らしたまま叫ぶ。
私もその声にはっとして、抵抗する力を強める。
「離してよ…!」
「あれ…?気持ちよくなかった?」
恍惚とした顔のまま、少し悲しそうに首を傾げる彼女はあざとい。
思わずほだされそうになるけれど、だめだだめだと自分を叱咤する。
「ふさげないで!離してよ…」
「なまえ」
「っ!」
ぐいっ、と顔を近付けられて、思わず目を閉じる。
あっはっは、と彼女の楽しそうな笑い声が上から降ってきて、ああやってしまったと思って、せめて睨んでやろうと目を開けると、彼女がぐっと唇を私の耳に寄せた。
「期待してるじゃない」
き、す。
自分が耳まで真っ赤になるのがわかった。
それが面白かったのか、ハンジがぺろっと耳を舐めてくる。
思わず「ひゃっ!」と声をあげると、少しかすれた声で彼女が笑うものだがら恥ずかしくてたまらなかった。
「なまえ、私ね」
彼女が私の顔をまっすぐ見つめる。
「な、に」
「私ね、男の代わり、できると思うよ」
「は…?ハンジは女じゃない…」
「まあ、そうなんだけど。
別に、例えば私と君が手を繋いで歩いていて、知らない人は何も疑わないと思うよ。
自分でも、私は中性的だな、と思うし、何ならこれからより男らしく振る舞ってもいい」
「何、言ってるの…」
「それにさ、私結構女心はわかる方だと思うよ。
特定の恋人ができたことはないし、かといって男遊びも女遊びもしたことはないけどさ、ちょっとパーティーで会った貴族の女の子とかエスコートしてあげると、喜んでくれたし」
「……」
「それにさ」
「ひぅっ」
内腿を撫で上げられる。
「気持ちよくさせてあげられると思うよ、男なんかよりさ」
ちまみにここは私の部屋で、もう寝ようと思っていたところだったから、服なんて簡素なものしか着ていない。
それが間違いで、私はあれよあれよという間に身ぐるみ剥がされてしまった。
もちろん、抵抗はした、…けど、力も足りないし、たまにキスしたり、首筋を舐め上げてきたりするから、どうにも力が抜けてしまった。
下着の上から、彼女がやわやわと胸を触ってくる。
妙にその手つきがいやらしくて、変な気分になってくる。
「ちょっと、…ぁっ触んない、で、っん」
ちゅっ、と何だかかわいい音を鳴らして、彼女が唇を合わせてくる。
何回か(不本意ながら)彼女とキスをするなかで、段々一回のキスしている時間が長くなってきている。
一方的にされ続けている私はともかく、ハンジは少なくとも息の仕方を覚えた。
手探りで、といった感じだが、最初とにかく私の舌を追っかけてくるだけだったのが、上顎を舐めようとしてきたり、歯列をなぞろうとしてきたりしている。
何も知らない子供同士のするみたいなキスでも息をあげていた私には、正直もう…たまらなかった。
ぱっ、と唇が離れる。
ちょっと寂しい気分になって、思わず唇をぱくぱくさせてしまう。
ハンジがそれを見てにやっと笑ったのが悔しくて、完全にその気になってしまっている身体をどうにか取り戻そうと、まずは上がった息を整えようとした、のだが。
「ひゃんっ!」
きゅっと胸を摘ままれる。
またちゅーっ、と噛みつくようなキスをされる。
今度は抱擁つき。
両手を背中に回されて、さわさわとまさぐられる。
舌をからめられて、頭がぼーっとしてくる。
すると、ぱちん、と何かが外された音がした。
あ、やばい。
そう思ったが早いか私のブラがすばやくたくしあげられ、ばっと身体ごと唇が離されると、そのままその唇で胸を舐められた。
「ひ、ぁ、やだ、やだやめて、あっ!」
思わず自分の指に噛みついた。
そうしていないと、声が漏れてしまう。
そのまま彼女は私の胸に吸い付いてくる。
空いたもう片方の胸もハンジが片手でやわやわと揉んだり、撫でたり、たまにきゅっと摘ままれたりして、もうおかしくなりそうだった。
もう一方の手だって、さわさわと常にどこかを愛撫されていて、ああもう、正直に言ってこれはすごく気持ちいいのだ。
すごく手が優しくて、私はどんどんほだされそうになる。
いや、もうほだされているのかもしれないけれど。
「ね、なまえ。
気持ちいい?」
「あっ、そんな、んぅ、…ゃ、だっ」
「手、そんなに噛んでたら血出ちゃうよ、それとも、自傷行為で巨人にでもなる?」
「は、ぁんっ、ばか、あっ…そんな、あっあ」
「かーわいい。かわいい、かわいいね。
やっぱり好きだよ。
なまえを誰かにあげたりなんかしない。
絶対、なまえは私のものだ」
また、キスされる。
とても深く、深く口づけられて、苦しくて、息ができなくて、思わず涙目になる。
ぺろっと顔を離すときにハンジが目元を舐めてきて、そのまま首筋に甘く噛みついてきた。
そのままきつく吸われて、痛みが走る。
何回か、鎖骨までかけて噛んだり舐めたり吸ったりされてから、次は胸に噛みついてきた。
「ひゃうん!」
「あは、乳首たってる」
「い、わないで、よっ」
「なんかすっげえいやらしいよ?
真っ赤にさ、もうびんびんに乳首たてて」
「言わない、で!」
「舐めたげる」
「やぅんっ!」
甘噛みされて、舐められて、吸われて。
たまに「愛してる」なんて言われて。
彼女の長い髪が時々身体をくすぐるのさえ気持ちいい。
足をぎゅっと閉じて、目も閉じて、下唇やら手やらをぐっと噛み締めていた。
それに気づいたのか、ハンジがぐっと膝で私の足を割り開く。
「あっ!」
そのまま膝でぐりぐりと押してくる。
「ひ、ぁ、あ、あっん、だめ、だめ、あっ!」
「なんでだめなの?
こんなに感じてるのに?」
「あ、ふぁっん、ゃ!」
「膝でぐりぐりするだけで気持ちいい?
もうちょっと触らなくていい?」
「いや、いや、だめ、あっ、ふっ、やっ」
「……触ってほしい?」
「ふ、ゃん、あ、いや、だめだめ、あ!」
「…あーあ、聞こえてないや。
いいよ、なら私も勝手にするから」
ハンジが私の下着を一気にずり下ろす。
「んぁっ!?だめ、ハンジだめだって!
だめ、それ以上はだめ、だめだってばあ!」
「うわ、すげえ糸引いてるじゃん!
やべえ、テンション上がってきた!
やっぱ感じてたの、なまえ?」
「ちが、ちがう、だめだよ、だめだって!
だめ、だめだよ、恥ずかしいよっ!」
「舐めていい!?」
「だめ!」
「いただきます!」
「ひ、ぁんっ!
ぁ、や、あっ、ふ、はぁっ、ああっんふ、っ!」
勢いよく、でも決してがっつかずに舐められた。
「なまえはさ」
「んぁっはっ、あ」
「クリとナカだったら、どっちがいい?」
「ぇ、あ…わかんなっ…!」
「自分でシたりしない?」
「ぁっ、あっ!」
「んー、また聞こえなくなってきちゃったかな。
まあいいや」
ちゅーっとクリトリスを吸われる。
「ゃ、あっんあ、あ、あっ!
ひ、ぁ、何、それ、あっ!」
「これは、気持ちいい?」
「ゃ、あ、だめ、なのなんか、変、ぃや」
「え、イキそう?マジで!?」
「あ、ちが、イかな、ぃ…んああっ!?」
だめ、だめだめ。
だめなの、それ以上しないで。
これ以上そこ舐められたら、私。
「イッちゃう…っ!」
「…いいよ、イッても」
じゅる、っと愛液を啜るように吸われる。
「んぁっあああ!」
「あはは、イッちゃった!」
はあはあと、息を整えようと努める。
ああやってしまった、と頭だけが冷静になってくる。
まさかハンジに、イかさせてしまうなんて…!
「なまえ」
「へっ…?」
「これで終わりじゃないよ」
「は…っ?や、やめてよ、もう、やめて…」
「だめ」
「何でえ…」
「私ね、挿れたいんだ、なまえのナカに」
「えっ…?」
「でも、あいにく私は女だからね、男のようにはいかない。
だから、指を、挿れたい。
ナカに突っ込んで、ぐっちゃぐちゃに掻き回してさ、なまえのことすっげえよがり狂わせてやりたい。
そりゃ太さとか長さとかは敵わないかもしれないけど、まあそれは大丈夫。
私も女だから、どこをどうされたらいいのか、よくわかってるよ。
ちゃんと気持ちよくさせてあげるから。
だからさ、いいよね」
言うが早いか、一気にハンジの指がナカに入ってくる。
「ぅあっいった、ぃ!」
もちろん、他人にそんなことをされるのは初めてで、そもそも私は自分でするときは、ほとんどナカはいじらなかったから、この変な感覚に、すごく戸惑う。
「なまえ」
指を入れたまま、ハンジが私に覆い被さってくる。
空いた手で内腿から脇腹まで撫で上げられて変な声が出る。
「入った、入っちゃったよ。
指、ずっぽり。
ねえ、なまえってさ、自分で指入れたことあるの、ココに」
答えられるわけがない。
そんなの恥ずかしすぎる。
そもそも、友達からでも、彼氏からでも、こんなこと聞かせて「うん、あるよ」と答えられる人が、この世にいるだろうか。
いたとしても、ごく少数だろう、私はその他大多数だ。
「答えられない?
じゃあ、入れたことないなら、首を振って。
あるなら…そのままでいいよ」
動けなかった。
ずるい、もし入れてないなら動かないで、といわれたらきっと私を嘘をつけたのに。
「そう、入れたことあるんだ」
ちゅっ、と唇を合わせるだけのキスをされる。
「もし、ここになまえを含めた誰も、触れたことがないなら、それで私が"初めて"ってことにしても、いいのかもしれないけど」
ぐっ、とより深くに指を埋め込んでくる。
「やっ…ぬいて、抜いてよっん、あっ」
「ねえ、じゃあさ、こうしようか。
今から私、三本まで指を増やすよ」
「はっ…ぇ、む、り…っ!
こ、れ以上は、やぁっ」
「それで、なまえのことイかせてあげるから」
「うっ…ふぁ」
「そしたらなまえの初めては、私のものだよ」
んなわけあるか。
そうは思ったが、処女喪失なんて、何を定義にそう言えばいいのかはわからない。
そもそも、性交位をしたことがあればそうなのか、処女膜が破ければそうなのか、到底わからなかった。
けど、実際に女性同士のセックスとか、オーラルセックスとかは存在して、それをそれは本物のセックスじゃない!なんて言えるわけでもない。
ああ、でもどうしよう、私はずっとハンジにされるがままになっているだけだし、私は同意していないから、一応強姦かもしれないけど、でも、これは、ただ触られてるだけとか、ただふざけてじゃれてるだけ、とかじゃない。
たぶん今、私はハンジと、セックスしてる、……んだと思う。
「ぁ、ねっ、ハン、ジ、やっあ!」
「…ここ?」
くいくいとナカで指を押される。
「あっんあ、ひ、んん!」
「おおおー、すげえ!
なんかめっちゃ濡れてきた!
そっか、ここか、ここね、うんうん」
「や、ひぅん!あっ」
ぐちゃぐちゃと、これでもかってほどイイとこ突かれて、こんなにナカで感じたことなんて、ないかもしれない。
まるで頭の中までかき回されているような木持になる。
器用に親指でクリトリスを押されて、一際大きな声をあげる。
どうしよう、どうしよう、私おかしくなってくる、おかしくなってる。
だってだって、こんなの体験したことがない。
どうしよう、すっごく…
「気持ちい…っ!」
目の前のハンジの顔が真っ赤になって、きょとんとしている。
たぶん、そう…「巨人の話をして」といったら、彼女はきっとこんな顔になる。
「あっはは!
いい?気持ちいいの?私の指気持ちいい?
ちゃんと私、気持ちよくさせてあげられてる?」
こくこくと必死で頷く。
理性がぶっとんだ、たぶんさっき気持ちいいと言ってしまったときが、理性がぶっとんだ瞬間だ。
「気持ち、いい…のっね、え、もっと、もっ…んぅっ!」
「愛してる!」
ものすごい勢いで唇を押し付けられる。
この短時間で随分キスの上手くなったハンジの舌が、今まで以上に口の中を蹂躙してくる。
もちろん、それだけでも十分に気持ちいいのだけれど、もっと気持ちよくなりたくて、自分も舌をさしいれてみた。
一瞬、びっくりしたように彼女の動きが止まったけれど、すぐに舌を絡めてくる。
お互いの唾液がいつも以上に垂れて気持ち悪かったけれど、そんなことも気にならないくらい気持ちがいい。
私、ハンジに舌を絡められて、それに少し応えるくらいしかできなかったけど、積極的に0の距離をより縮めて、舌を入れたり、舐めたりしようとすれば、彼女もそれに応えてくれるから、ものすごく気持ちよくなる。
「はっ…」
舌が抜かれて、二人の混じりあった唾液が糸を引く。
二人とも、窒息する寸前まで唇を合わせていたから、ものすごく息が荒いし、顔は真っ赤だし、少し涙目だ。
「ぁ、何これ…すっげえ気持ちいいじゃん…!」
涙目っていうより、ハンジは泣きそうだったかもしれない。
口をぱくぱくさせている、信じられない、といった様子だった、指も止まっている。
「あっ、ハンジぃ…っ」
ナカで指が動かないのがもどかしくて、腰をくねらせる。
それを見てはっ、したように、彼女がまたナカを刺激し始めた。
「さっきより濡れやすくなってない?
なんかもうすっげえ溢れてきたし、もう一本指、挿れちゃおっかなあ」
ふふ、なんて嬉しそうに笑って、彼女がもう一本指を差し込もうとしてくる。
「あっあっ、やだ、怖いっ、んぁっ!」
「大丈夫、私の首に腕を回して、怖かったらしがみついてていいよ。
キスしててあげるから、他のこと何も考えないで、私のことだけ考えて、ただ感じて」
すぐにハンジが唇を重ねて舌を絡めてくる。
ハンジの空いているもう片方の手が私を撫でてくれていた。
ずずっ、ともう一本、彼女の細くて長い指がナカに入ってくる。
二本なんて入れたことなかったから、怖くて、言われた通り彼女にぎゅう、っとしがみつく。
すると嬉しそうにより強く唇を押し付けられて、なんとなく私もそれに応える。
「ん…っ!」
「…入った。
……あんま締め付けないでよ、もう」
「や、あっ、ごめ、んぁっ!」
「別に責めてるわけじゃないよ。
ただ、すごいぎゅうぎゅう締め付けられてるとさ、なんか…めちゃくちゃ気持ちいい」
「はぅっ…、あ、ふ、んああっ」
ゆっくりゆっくり指を動かされる。
最初は少し痛かったけれど、ハンジは私が慣れるまで絶対に無理に動かしたりしなかったし、段々気持ちいいところを擦ったり、指をばらばらに動かしてナカをかき回されたり、私がしてほしいことが全部伝わっているみたいな動きだった。
「あ、そこ、そこなの、ぁ気持ちい、いっの、あっやだ、うぁっん!」
「ここ?だよね、ここ擦るとすっごいイイ声出すもんね」
「ん、あっ!」
「ねえ、なまえキスしよう」
さっき指を入れられたときに彼女の首に回していた腕をそのままに、ぎゅうっとしがみついてキスをした。
舌を吸われたり、噛まれたり、なんだかもう唇から溶けちゃいそうなくらい気持ちいい。
段々、ナカも激しく犯されるようになってきて、キスしている唇から声が漏れる。
激しく、といっても、私が最大限気持ちいいだろう、最適な強さで押されたり、かき回されたり。
胸を揉まれたり、摘ままれたりもしながら、こんな気持ちのいいキスまでされて、段々自分が絶頂に近付いてくるのがわかった。
「ん、ぁ、イく、イっちゃう、やだ、あっ!」
「…ちょっと待って、もう一本指入れるから」
そういうと、ナカに入ってた指が動きを止めてしまう。
「あっ、やだやだ、やだよ、イキたい、イかせて、やだあ…っ!」
「泣かないで、なまえ。
泣いてるなまえもかわいいけど、私なまえの初めて欲しいからさ」
三本目の指が宛がわれる。
思わずぎゅっと再度しがみつくと、安心させるように頭を撫でられ激しくキスをされる。
「愛してるよ、なまえ。
だから、私のものになって」
ずずっ、と、三本目が入ってくる。
今まで感じたことない重量感に涙が出てくる。
これで苦しいんじゃ、私は一生、男の人とはできないかもしれない。
「もうすぐ、全部入るから」
「やん、あっ…!」
「そしたら、イかせてあげる」
舌と舌が絡み合う。
狭い私のナカが押し広げられて、ハンジの指が入ってくる。
たぶん、もうすぐ全部、入っちゃう。
それで、じゅぶじゅぶ泡立てるみたいにかき回され、突かれて、そうしたら私、どうなってしまうだろう。
「入った、全部入ったよ」
「ひ、ゃあ…ん、ん」
「もうすぐ、もうすぐでイかせてあげるからね」
「んっあ!」
さっきと同じように慣れるまではゆっくりと、段々ナカで指を動かされるようになって、一瞬おさまってしまった絶頂感がまた甦ってくる。
「あっ、んぁ、やだ、あ、あっ、ふぁ、イく、イくイくイっちゃう、んぁあんっ!」
「うん、イかせてあげる…。
イって、私のものになって」
ずりっと指が一気に引き抜かれる。
「やぁっ!?」
それから一気に奥まで挿れられて、
「愛してる!」
「あ、ひゃああんっ!」
びくびくと身体を痙攣させながら、イッた。
ナカから指がゆっくり引き抜かれて、思わず声をあげる。
「ね、見て。
私の指、なまえのですっごい濡れてんの」
「やだ、見せないで…っ」
ハンジがその引き抜いた指を目の前に出してきて、舐めてくる。
それが恥ずかしくて、目をそらした。
「なまえ、大好きだよ。
絶対、私が守るから、ずっと一緒にいよう」
キスをされる。
激しいキスっていうより、すごくゆったりした、とろけちゃいそうなキス。
お互い抱き合ったまま、しばらくずっと、そんなキスをしていた。
朝目が覚めると、隣にハンジはいなかった。
だから、一瞬昨日のことが夢のように思えたが、私は何も纏わずに毛布だけかけて寝ているし、シーツはぐちゃぐちゃでところどころ濡れた跡があるし…。
バッと勢いよく起き上がって、鏡で自分の首を見る。
するとやっぱりキスマークがいくつも残っていて、ああ夢じゃなかった!と一気に色々思い出した。
それにしても何で傍に彼女はいないのか…、何となくヤリ逃げされた気分になって、悔しくなる。
と、同時に、私は彼女にとってそんなものだったのか、とか、こんなことで崩れてしまう程度の友情だったのか、と、悲しくもなった。
仕方なく、もやもやした気持ちのまま下着を着けて、シャツを着ていると、そのもやもやは当人によって一気に壊された。
「なまえ、起きたー!?」
「きゃあっ!」
ハンジが勢いよく私の部屋に入ってくる。
ちなみに今さらだが、私は一般兵でありながら、一部屋丸々、一人で使っている。
…というのも、同室だった子達が全員、壁外調査で命を落としてしまったからなのだけれど。
それを知っているから、ハンジも気兼ねなく私の部屋に入ってくるし、私も迎え入れていた。
「昨日、無理させちゃったからさ。
朝ごはん持ってきたよ。
あと、みんなにはなまえの調子が悪そうだ、って言っておいたから、今日は休みたければ休んじゃっていいよ。
もちろん、行きたいなら治ったことにして言ってもいい」
「う、うん…」
ぐいぐいと朝食を押し付けられ、勢いに負けてそれを受けとる。
それから朝食をとりあえず机におくと、まだシャツも着かけで、ズボンすら履いていなかったから、さっさと身支度をする。
他は後でいいや、と朝食を食べようと、手をつける。
にこにことこちらを見てくるハンジの目線は気になったけれど、腹が減っては戦はできぬ、ハンジは休んでもいいといったけど、私は訓練に出る気満々だ、そして訓練は私にとって戦争である。
がつがつと朝食を食べ続け、あとパンを一口、というところで、ハンジがおかわりの紅茶を出してくれる。
「あ、ありがとう…」
「ねえ、なまえ」
「何…?」
「首、隠してないのは、わざと?」
すぐにハイネックを探した。
その後、結局訓練に出た私だけれど、みんなが心配してくるのはまあ、いいとして、何が嫌って、いつも以上にスキンシップの激しいハンジだった。
私としては、昨日のことは忘れたいし、ハンジとも元の関係に戻りたい。
だから、私はハンジを避けるとか、縁を切るとかは、したくなかった。
もちろん、避けられるのも、縁を切られるのも、嫌だ。
けれど、思わず昨日のことを思い出すような……唇を頬や首に寄せたり、抱き寄せたりしてくるのも嫌で、要は私のわがままなのだが、それも顔を真っ赤にして拒否していた。
それを、不思議そうに、もっというと何か察したようにみんなが見てくるのが、恥ずかしくてしょうがなかった。
それでも、ハンジはもう決定的なことをしようとはしてこなかったし、言ってこなかったから、きっとこのまま何もしなければ、また元の親友同士に戻れる。
そう思っていた。
「なまえー!」
「げ、ハンジ…」
「今日もかわいいねー!」
「や、ちょっと、いきなり抱きつかないでよっ」
「…エルヴィン」
「なんだ、リヴァイ」
「女同士っていったら、何を突っ込むんだろうな」
「……は?」