キリ番32000リクエストの「ハンジさんが笑顔で嫉妬する」です。
うまく嫉妬が表現できていない気もしますが、この際細かいことは気にせずお願いします。

※学パロ、女子校






「ねえ、ハンジ」

「んー?」

「何か怒ってない?」

「あれ?気づいた?」

「…笑顔が、怖いんだけど」

「え?うーん、率直に言うと、すごい嫉妬したんだよね」

「……」







全員女だけど修羅場った







「私、何かした?」

手を繋ぎ、歩く帰り道。

「私、なまえの親友でいいんだよね」

「え、う、うん…。じゃないと、彼氏でもない女の子と、毎日一緒に帰ったりしないよ」

ハンジとは一年のときに同じクラスになって以来、大親友。

毎朝同じ電車に乗って、駅から学校までの長い道のりを手を繋いで歩き、帰りもそうだ。

お互いの部活が終わるのを待って、今日みたいに一緒に歩く。

まるで恋人のような距離感。

大親友とべったりなことの弊害として、あまりお互い友達はできなかったが、別に常に二人一緒じゃなきゃだめ、とかではないし、そこそこに交遊関係も広いし、まあ、でもまだ普通の女子校生の枠に収まると信じている。

「おかしいんだ、私。
なまえのなかで、私は親友って特別な地位を占めているのは事実だけど…ありがたいことにね。
でもそれって、恋人でもなし、君を束縛する理由にはならないだろ?
なのに、私は君が今日、部活終わりに私を待たせて後輩とずっと話し込んでいたのを見て、ものすごく気分を害している」

「…つまり、怒ってるの?
今日、ハンジを待たせちゃったこと…」

笑顔で、いつもみたいな口調で、でも節々に自分の不機嫌さを訴えてくるハンジに、どう対応していいのか困惑する。

「待たせたことじゃなくて、待たせた理由が問題なんだよ」

「後輩と話してたこと?」

「そう、そのこと。
なまえは悪くないよ、でも私はすこぶる嫌だった」

「…えっと、ごめん」

「だから、なまえは悪くないよ?」

「でも、ハンジを不快にさせるのは、私も嫌だから…あの、ごめん」

「いいよ、本当になまえは悪くないんだから。
…ねえ、なまえ。
その後輩と何を話していたのか、教えてくれない?」

「…えっと」

「もちろん、話せる範囲で構わないから」

「うーん…」

悩む。

だって、やましいことは何もないけど、後輩の彼女のことを思うと、話せない。

彼女のプライバシーというか、そういうものに関わる。

ハンジと繋ぐ手が、じんわりと汗をかく。

「言えない…」

「私に話せないような話、してたってこと?」

ぎゅっと手を握り返される。

ちらっと彼女を見ると、ん?と首をかしげて笑う彼女が少し怖い。

「そうじゃなくて…ハンジだって、私に何でも話せるわけじゃないでしょ?」

「そうだけど、君が聞きたがっているのに話せないときは、きちんとその理由を、君が納得するように、私は説明してるけど?いつだって」

「そうなんだけど、今回は話せない理由そのものが理由っていうか…」

「…ふーん」

「だから、ごめん…」

「じゃあ、当てようか?」

「え?」

「なまえがあの子に何言われてたのか、当ててあげる」

心臓がどきどきする。駅が遠い。

「告白されてたでしょ」

「、聞いてたの…!?」

「いいや?でも顔真っ赤にして、涙目で、上目遣いで、一生懸命絞り出す言葉なんて、好きです、くらいでしょ」

「……」

そう、私は、告白された。

人生で初めて告白してくれた子が女の子って…とは思ったが、まあそんなことはどうでもいい。

ただ驚いた。

女子校だし、女にモテる女の例はすぐ間近で見てきたし、正直私も自分の親友にどきっとしてしまうこともあったから、同性を好きになることにはすでに何の珍しさも感じなくはなっていたものの、まさか自分が女の子に告白される日がくるとは、思わなかったのだ。

だって私はハンジみたいに優しくてかっこいいわけじゃない、あくまで普通で、普通じゃないことと言えば、ハンジっていう凄まじい変人が親友だってことだけなんだから。

「告白されたことくらい、教えてくれたっていいじゃない。
そりゃ自分から言い出す気にはならないだろうけど、他でもない私が聞いているんだから」

「…でも、あの子が嫌がったから」

「そう。…で、まさか断ったんでしょ」

「うん…、なんだけど、ちょっとしつこくて。
いい子なんだけど、先輩が頷くまで諦めませんって」

「そりゃしつこい、私から言おうか?」

「だめ、そしたらハンジに話したことバレちゃうじゃん」

「ごまかすよ」

「そういう問題じゃないっていうか…。
…なんかあの子、すごくハンジのこと敵視してる」

「…ああ」

「私も、結構よくハンジのこと好きな女の子に恨まれたりするから、そういうことなのかな」

「そうだろうね…私になまえをとられるって思ったんだろう」

「…なんかね、」

「何?」

「あの子、勘違いしてたみたい」

「何を?」

「…ハンジと私が付き合ってるって」

「……」

ハンジが黙りこむ。

長い道のりを歩きながら、少し気まずくなる。

言わなきゃ、よかったかな。

「…それだ」

「え?」

足を止め、ハンジがはっとした顔でこちらを見る。

「私が気分悪かった理由、それだよ」

「…えっと」

「好きなんだ」

「えっ?」

「私、なまえのことが、好きだったんだよ」

「…えっ!?」

思わずびっくりして後ずさる。

「行かないで」

「…っ」

繋いだ手をぎゅっと握り返されて、ひっぱられる。

「ハンジ、今まで女の子好きになったことない、って…言ってたじゃん…」

「うん、でも今生まれて初めて好きになった」

「…急展開すぎて、私着いていけない」

「ごめん、でも気づいた以上、言わなきゃって思ったんだ。
そうだよ、なまえが誰かと話してたり、告白されたりして嫌だったのは、君が好きだからだったんだ」

「私だって、嫌だよ、ハンジが告白されるの…」

「…なまえ?」

「いつだって、嫌だった。
ハンジの隣は、私のものなのにって」

「…ねえなまえ、このタイミングでそういうこと言うと、勘違いするよ」

「……でも、本音だもん」

「…なまえ、今付き合ってって言ったら、付き合ってくれるの?」

「……試しに、言ってみたら?」

「付き合って」

「いいよ」

「やった!」

「…ふふ」

手をお互いに握り直す。

指と指を絡めて、恋人繋ぎ。

「その後輩さ、なんて子?」

「何する気?」

「私の恋人に手出さないで、って言ってやる」

「あはは、じゃあ私は何人にそれを言わなきゃになるだろう」

「モテる恋人を持つと大変だね?」

「それ、自分で言う?」

「あはは」




次の日、私の部活についてきた彼女が、その後輩にはっきり交際宣言したことで、瞬く間に私の関係は学内に広まってしまった。

心ないことを言う人もいれば、逆にハンジが好きで私に嫉妬してひどいこと言ってくる人もいたが、ハンジが守ってくれるし、何だかんだで私たちは幸せだ。

ところで問題といえば、私が誰かと話すたび、笑顔なんだけど心の奥底ではめちゃくちゃ嫉妬してるんだろうなあ…ってハンジが見れてしまうこと。

とはいえ、私だってハンジが女の子と話していればやきもち妬くし、たまには喧嘩にもなるけど、お互いがお互いを好きすぎることが根底になるなら、これも一つの愛の形なんだろう。…たぶん。




段々嫉妬関係なくなっていきましたが、とにもかくにも素敵なリクエストありがとうございました。

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