【捨駒諸君!2】


※キャラ崩壊
※学パロで変なギャグ





「校内をふたつに分断するのはどうか」

三成が言った。
場所は校内会議室。
参加者は、毛利元就、長曾我部元親、大谷吉継、黒田官兵衛である。

「天下二分、か」

元就が頷いた。

「天下を、二つに分ける。それによって味方か敵か……明確になる。天下が分断すれば争いにならざるを得ない。家康を引きずり降ろす機会も生まれよう」

「いや、天下って、ここ単なる高校だろーが」

元親のツッコミを受け、元就は不機嫌そうな色を映した瞳を彼に向けた。
いつもは整った美しい顔立ちをしているが、こういう時の元就は、鬼以上に恐ろしい。
元就は、床にあった通学用鞄から何かを取り出すと机にバン!と言う音をたてて置いた。
ピンク色の、可愛らしいアルバムである。

「黙れ元親。皆のもの。今日は我の秘蔵アルバム【元親のすべて〜暴かれた姫若子〜】を持参した。とく見るがよ…」

「やめてええええ!頼むからやめてええええ!あっオイ官兵衛!てめぇそれ返せ!」

秘蔵アルバムを死守しようとした元親であったが、それは官兵衛にあっさりと奪われた。
アルバムの中には女の子用の可愛らしい服を着た銀髪の美少女が写っている。今では見る影も無いが、これが元親なのだろう。
隣に写っているやんちゃそうな男の子は元就だろうか。

「…………可愛いじゃねえか姫若子ちゃん……小生、惚れそうだぞ」

傍らからそのアルバムを覗き込んで居た吉継は唇の端を引き上げながら、ヒヒと笑う。

「なんの、かつての三成のほうが愛らしかったわ。われも幼少時の三成アルバムを持っておる。明日持参してやろ」

「……私も刑部のアルバムがある。仕方ないから明日、見せてやらないこともない」

「うっわ……お前らきめえな」

「官兵衛……そこに跪け。秀吉様……官兵衛を惨殺する許可を私に……」

「ちょ、待て、竹刀を持ち出すな!痛……痛あああああ!なんで小生ばかりがこんな目に会うんじゃああああああ!」

追いかけっこをしだした三成と官兵衛を見つめながら、元親は溜息をつく。
天下二分とやらはどうなったと言うのか。これでは単なる親友自慢大会である。

「……で、元就。天下二分って具体的にはどーすんだ」

「生徒会をもうひとつ、作ればよかろう。我が生徒会長、刑部が副会長、石田が会計、黒田は書記、元親、貴様は我の雑用係兼奴隷よ」

「なっんっでっ!雑用係兼奴隷なんだよ!」

「無能な者は雑用よ。我に仕えることが出来るのだ。光栄に思うが良い」

「むしろ生徒会とか天下二分とか関係ねーよ俺!もう帰るからな!俺、帰るわ!」

流石に腹をたてた元親が机を蹴って立ち上がった。
その肩を、元就の細い手が掴む。「あ?」と叫ぶように言うと元親は振り向いた。
見ると、瞳を潤ませた元就が元親の瞳をじっと見据えている。

「待て……!我には貴様が必要なのだ元親よ……!」

いつも冷淡な元就には珍しく、艶めいた声と表情で、そう言う。
顔を真っ赤にして「し、仕方ねえな」と言う元親を見て(これも策のうちよ)と元就は胸中で嘲笑った。
元親は顔を真っ赤にしたまま椅子におずおずと座る。馬鹿は扱いが楽なのだ。

「それよりも毛利よ。相手はあの家康。そう簡単にはいくまい。かの伊達政宗も鶴姫も家康贔屓よ」

「問題ない。元親がこちらにいれば親衛隊は味方につく。石田も貴様も女性人気は悪くない。対等に戦える」

「そもそも学校側に申請はしたのか」

「秀吉校長に許可は取った。信長理事長には"是非もなし!"と言われたので問題なかろう」

「アバウトな高校よな……まあ、よいわ。裏工作はわれに任せよ」

「……期待しておるぞ刑部……越後屋、貴様も悪よの」

「ヒヒ、お代官様ほどでも無いわ」

傍らで聞いていた元親は心中で「時代劇か!」とツッコミをいれつつ溜息をついた。
なんとなく、元就に騙された気がしないでもない。

後方で、官兵衛の悲鳴が聞こえたので振り向く。
官兵衛の上に馬乗りになった三成が竹刀を振り下ろし、それを床に打ち付けている。
どうやら本当に暴力沙汰にする気はないらしい。

(なんだかんだで平和だよなー)

西組と東組の微妙な対立はあるものの、今日も学校は平和である。





END
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