11-1
あれから1年


僕は進学し、ライトさんとの関係もいろいろ

とはあったが上手くいっている状況だ

僕は2年制の専門学校に進学し薬について学んでいる。

というのは通常のコクーンの人間が使うような通常薬ではなく、

新に考えられているパルス向けの薬の事だ。

期間が2年と短いのはそれだけ急ぎという事なのかも知れないが、

コクーンにはこういう学校も存在する。

人間がパルスに降りてからも魔物や植物が減る訳ではないので、

いろいろな毒に感染する人も沢山出てきた。

パルスにはコクーンの技術が通用しない事もある。

正体不明の感染病が拡大する事もあれば、

それに侵されて命を落としてしまう人だって少なくは無い。

謎の病気が確認され続けているのが現実だ
それを食い止める力になれたら…

なんて夢を持っていたりする。


それに僕は誰よりも毒に関しては経験が多い。

旅の途中で6人がいろいろな毒にかかった。

ルシの力を最大限に引き出したエスナでなんとかなってはいたが、

今になってはその力も使えない。

この経験が生かせるなら…

なんて考えていたりする。

ライトさんはいい夢だ、と応援してくれたし父さんも頑張れ、と背中を押してくれた。

きっと母さんも。


もともと成績は悪く無かった…

ライトさんに追いつきたくって勉強したのが

良かったみたいでハイスクールでの成績は

トップだったから競争率の高い専門学校でも苦労せずに入れた。


あと変わったことといえば…


ライト宅のリビングでくつろぐライトニング

のコミニュケーターが鳴り響く。

着信を知らせる音だ。

「はい。…セラか…体は大丈夫か?」

『うん。母子共に健康♪ 聞いて!カイルがね〜』

セラさんとスノウの間に男の子が一人生まれた事。

『それでスノウったら―…』

「―…そうか。ああ。良かったな。うん。じゃあ」

セラさんの妊娠が分かった時はライトさん、

セラさんと抱き合って喜んでたっけ、

元気に育っているみたいでこうやってセラさんがたまに電話してくる。


「セラさんですか?」

「ああ。カイルがどうのっていういつもの話だったぞ。」

「そうですか。お元気そうで何よりですね」

僕がそう言うとライトさんは安心したような顔をした

「ああ。セラには両親がいなくなってから無理をさせていた。

ルシの件もあってどうなるかと思ったが今はスノウがいて、

子供もいて、幸せに暮らしてる。

小さい頃苦労した分幸せになったんだ」

柔らかい表情からは心からそう言っているのだと読み取れる。

小さい頃苦労していたのはライトさんだって同じだ。

ライトさんにも幸せになって欲しい。

できる事なら僕がライトさんを幸せにしたい。

世界中の誰もがうらやむ程に。
僕は後ろからライトニングを優しく抱しめた

「ホープ?どうした…」

少し顔を赤くして問いかける彼女がどうしようもない程に愛おしい

「なんでもありませんよ。ずっとこのまま…」

あなたと2人で…

「………」

「さて、僕はごはんの支度をしますね。」




Side: Lightning

私がホープから離れられるだろうか…

私は昨日からずっとその事について考えていた。

この1年間で私はホープに大分…いや、かなり依存してしまっている。

そばに居ることが当たり前で離れる事がいやになる。

でも、私情で仕事を断る事が容易に許される立場ではなくなっている。

だから…

ライトニングは唇を噛み締めた

それは昨日の夕方の事。

―…

「おお、お疲れ〜」

「で、何だ?私をここに呼び出した理由は…家に帰りたいんだが…」

「そこなんだよ…俺が今度新しく開発していた

都市に行かなくては行けなくてな、

お前もそのメンバーに組み込まれている。

言いづらいんだがその任務が長引く可能性が大きいんだ。

まだ電波が確立されてないから連絡も取りづらくなる。」

「どの位だ…」

1週間程度の任務ならたまにあるし、問題は無い。

「最低でも3ヶ月。長ければどの位になるか分からないが…いけるか?」

「…ああ。仕事だからな」


仕事とはいえ3ヶ月以上…

もっとかかるかもしれないほど長くホープから離れる事になる。

リグディの話によると、帰って顔を合わせることはおろか声を聞くことすらままならないらしい。

それはリグディとファングにとっても同じ事だ。

仕事、それで割り切るか…

まずこの事をホープに知らせなくてはならないと考えると心が重くなった。


「ライトさん!出来ましたよ。どうぞ」

「すまないな…」

料理を食べながら私はホープの方をちらりと見た。

「……ホープ…」

告げなくてはならないな。

「はひ?」

はい、と言ったつもりだろうが口に食べ物が

入っていて面白いしゃべり方になってしまっている。

「…3ヶ月以上、任務で遠くに行かなくてはならないんだ。」

「え…」

「帰れないし、電話もあまり出来ないらしい。」

「…そうですか…」

ホープは悲しそうな顔をしてうつむいた



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