▼ Who are you?
任務から帰れば、談話室から騒がしい声が聞こえた。ボスが我が儘言って暴れているか…もしくはヒナタとベルがふざけて遊んでいるか。
取り敢えず今は少し休みたい。
自室に戻り、ベッドで横になった。
けれど…どうやら休む暇はなさそうだ。
「マーモンはいるかぁ。」
「何だい、今任務から帰ったんだけど。」
「ヒナタが見当たらねぇ。粘写しろぉ。」
「……はぁ…僕の口座にちゃんと入れといてよ。」
紙を取り出して鼻をかむ。
場所は…
「………」
「…う"おぉぃ!
勿体ぶってねぇでさっさと言え!」
「キャバッローネ」
「あ"ぁ?」
「跳ね馬のところだよ。どうやら誘拐じゃあなさそうだね。」
〜 Who are you? 〜
「う"おぉぉい! 邪魔するぜぇ!」
「スクアーロ!? 何でここに…」
キャバッローネに着いて、部下の案内などを無視して奥へ向かったスクアーロは同級生だったことを逆手にやりたい放題だ。跳ね馬も大変だな。
「何かあったのか?」
「奪い返しに来たんだよ。」
「アルコバレーノ、マーモン…!」
突然の来訪に跳ね馬は吃驚したようだけれど、直ぐに難しい顔へと変わった。無理もない、"奪い返す"なんて穏やかじゃない言葉だしね。
「奪い返しにって…何を…、
…あ、もしかして猫のことか!?」
「……猫?」
「猫なんざどうでもいい! 隠しても無駄だ、さっさとヒナタを出せぇ!!」
「あっ、おい! スクアーロ!」
跳ね馬が止めるのも聞かず、スクアーロは1人奥へと行った。跳ね馬も彼の性格を知っているからか…大して怒りもせずに呆れ果てている。
仕方ない…僕は僕の方で探すとしよう。早く帰ってゆっくりしたいしね。
「君のところにヒナタっているだろう? それを返して欲しいんだ。」
「ヒナタって…それ猫の名前か? 奪い返されるものっつったらソレしか身に覚えがないんだが。」
「…どんな猫か見せて貰えるかい。」
別に猫なんてどうでもいい。ただ気になるのだ。ヴァリアーで猫なんざ飼っていないのに、跳ね馬はそれをヴァリアーから引き取ったと言う。ヒナタと何らかの関係があるとは思えないが…もしかするとヒントを得られるかもしれない。
「いいぜ、まだこの部屋にいる筈だ。」
「……アレかい?」
『!
にゃぁーお! んにゃぁ!』
「おっ やっぱ人懐っこいな。コイツあのスクアーロにも懐いてたんだぜ。」
「この猫…ヴァリアーの何処に?」
「ん? あの談話室のキッチンだが…」
「談話室……」
『にゃああん』
談話室…しかも、人懐っこい?
いくら人懐っこくても、初対面なのにこんなにスリ寄ってくる猫も珍しい気がする。
というか、この猫…
「……ヒナタ?」
『にゃあ!』
「"にゃあ"じゃ分からないな。ヒナタならコッチ、ヒナタじゃないならコッチの手にお手をして。」
『に。』
「…“もしもし、スクアーロかい? ヒナタを見付けたから帰ろう。それじゃ、先に車に戻ってるよ。”
…そんなわけで、跳ね馬。悪いけどこの猫は返してもらうよ。」
「ちえっ
やっぱその猫お前らのだったのかよ」
邪魔したね、と言い残して直ぐに部屋を出た。あまり長居はしたくないし、するべきじゃない。ヒナタのことを深く追及されるような面倒事だけはゴメンだ。
「う"おぉぉい! マーモン、あのカスは何処にいやがるんだぁ!?」
「君がずっと見過ごしていたこの猫だよ。」
「…なっ、どういうことか説明しろぉ。」
「さぁ、それは本人に聞きなよ。」
『にゃご』
「分かるわけねーだろーが!」
まだ正式に雲の幹部になったわけではないけれど、どうやら此度の雲の幹部は"存在しない"だけでなく…猫にもなれるようだ。
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