Who are you?


任務から帰れば、談話室から騒がしい声が聞こえた。ボスが我が儘言って暴れているか…もしくはヒナタとベルがふざけて遊んでいるか。

取り敢えず今は少し休みたい。

自室に戻り、ベッドで横になった。
けれど…どうやら休む暇はなさそうだ。


「マーモンはいるかぁ。」

「何だい、今任務から帰ったんだけど。」

「ヒナタが見当たらねぇ。粘写しろぉ。」

「……はぁ…僕の口座にちゃんと入れといてよ。」


紙を取り出して鼻をかむ。
場所は…


「………」

「…う"おぉぃ!
勿体ぶってねぇでさっさと言え!」

「キャバッローネ」

「あ"ぁ?」

「跳ね馬のところだよ。どうやら誘拐じゃあなさそうだね。」





〜 Who are you? 〜





「う"おぉぉい! 邪魔するぜぇ!」

「スクアーロ!? 何でここに…」


キャバッローネに着いて、部下の案内などを無視して奥へ向かったスクアーロは同級生だったことを逆手にやりたい放題だ。跳ね馬も大変だな。


「何かあったのか?」

「奪い返しに来たんだよ。」

「アルコバレーノ、マーモン…!」


突然の来訪に跳ね馬は吃驚したようだけれど、直ぐに難しい顔へと変わった。無理もない、"奪い返す"なんて穏やかじゃない言葉だしね。


「奪い返しにって…何を…、
…あ、もしかして猫のことか!?」

「……猫?」

「猫なんざどうでもいい! 隠しても無駄だ、さっさとヒナタを出せぇ!!」

「あっ、おい! スクアーロ!」


跳ね馬が止めるのも聞かず、スクアーロは1人奥へと行った。跳ね馬も彼の性格を知っているからか…大して怒りもせずに呆れ果てている。
仕方ない…僕は僕の方で探すとしよう。早く帰ってゆっくりしたいしね。


「君のところにヒナタっているだろう? それを返して欲しいんだ。」

「ヒナタって…それ猫の名前か? 奪い返されるものっつったらソレしか身に覚えがないんだが。」

「…どんな猫か見せて貰えるかい。」


別に猫なんてどうでもいい。ただ気になるのだ。ヴァリアーで猫なんざ飼っていないのに、跳ね馬はそれをヴァリアーから引き取ったと言う。ヒナタと何らかの関係があるとは思えないが…もしかするとヒントを得られるかもしれない。


「いいぜ、まだこの部屋にいる筈だ。」

「……アレかい?」

『!
にゃぁーお! んにゃぁ!』

「おっ やっぱ人懐っこいな。コイツあのスクアーロにも懐いてたんだぜ。」

「この猫…ヴァリアーの何処に?」

「ん? あの談話室のキッチンだが…」

「談話室……」

『にゃああん』


談話室…しかも、人懐っこい?
いくら人懐っこくても、初対面なのにこんなにスリ寄ってくる猫も珍しい気がする。
というか、この猫…


「……ヒナタ?」

『にゃあ!』

「"にゃあ"じゃ分からないな。ヒナタならコッチ、ヒナタじゃないならコッチの手にお手をして。」

『に。』

「…“もしもし、スクアーロかい? ヒナタを見付けたから帰ろう。それじゃ、先に車に戻ってるよ。”
…そんなわけで、跳ね馬。悪いけどこの猫は返してもらうよ。」

「ちえっ
やっぱその猫お前らのだったのかよ」


邪魔したね、と言い残して直ぐに部屋を出た。あまり長居はしたくないし、するべきじゃない。ヒナタのことを深く追及されるような面倒事だけはゴメンだ。


「う"おぉぉい! マーモン、あのカスは何処にいやがるんだぁ!?」

「君がずっと見過ごしていたこの猫だよ。」

「…なっ、どういうことか説明しろぉ。」

「さぁ、それは本人に聞きなよ。」

『にゃご』

「分かるわけねーだろーが!」


まだ正式に雲の幹部になったわけではないけれど、どうやら此度の雲の幹部は"存在しない"だけでなく…猫にもなれるようだ。


  

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