どこまで知ってる?


「ねえ、黄瀬くんと付き合ってるの?」

ほらきた。本から顔をあげれば私の席を囲むように立っている4人のクラスメイトたち。見下されてるかのように私を見る。
付き合ってるとも付き合ってないとも私からは言えないのが辛い。私が答えるまで問い詰める気だもん。他のクラスメイトたちはただならぬ空気を感じてるのか近付こうとしない。が、やっぱり私たちを見ている。

「…そう見えた?」
「付き合ってないの?」
「目、怖いよ。中谷さん」
「なに、そんなこと聞いてないじゃん。こっちの質問に答えてよ」
「私と涼太が付き合ってたら、皆になにか問題でも?」

笑顔のオプション付き。言うなりガツッと机を蹴られる。手で掴んでたから本が落ちることはなかった。他の3人から「うわ、工藤さんってそう言う子だったんだ」とか「口悪い」とかブツブツ言われる。言いたきゃガッツリ言えばいいのに。そうやってブツブツ言われるのが一番嫌い。

「工藤さん、目怖いよー」

言ってやったと言うように、にまりと笑う中谷さん。そりゃそうだ。睨んでるんだもん。黄瀬くんの頼みを聞いてから人との関わりが増えたけどこれなら一人で過ごす方がマシだったなと思う。嘆かわしい高校生活だ。

「中谷さんは黄瀬くんのファンなの?それとも好きなの?」
「え?」
「どっち?」
「…す、好きで、ファンなの。悪い?」

多分黄瀬くんの思惑はこういう面倒な女の子たちを彼にではなく私に押し付けることが目的なんだろうな。
彼女の答えに溜息を吐く。成る程、確かにこんな人たちを相手にしてたら身代わりを頼みたくなるのも分かる。私だったら絶対頼まないけど。
私の反応が気に食わなかったらしい。中谷さんは「なに!良い気になってんじゃないわよ!」と大声を出した。

「おーい、もうホームルーム始まんぞー」
「せ、せんせい…」
「…お前ら、なにやってんだ」
「なんでもないです!」

担任が来るなり態度を変える。もう一時間目が始まる頃だっていうのに時間にルーズな先生だ。けど、ナイスタイミング。
そそくさと自分の席に戻る4人。ああ、もう友達出来ないんだろうな、なんてぼんやり思った。
そんな中、ブブブ、とマナーモードにしていた携帯が振動する。

『またよろしく』これは何のことまでを含めた言葉なんだろう。このタイミングで送られてくるなんて。彼の一言だけのメールに私は項垂れた。
やるって決めたことはやりますよ、ええ。
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