跳べない時


*「Dazzling yellow」その後
*帰宅までのお話


黄瀬「門閉まってたから塀飛び越えてきたんだけど」
妃「うわあ、外だと本当に真っ暗だね。気付いてくれてありがと黄瀬くん」
黄瀬「いや、えと…うん」
妃「中も暗かったけど目が慣れてたし」
黄瀬「先に昇って引っ張るから、鞄自分で持って」
妃「うん」

黄瀬「ほら、」
妃「と、どかない」
黄瀬「あのさ。手伸ばすだけじゃなくて跳ぶとかしないわけ?」
妃「その…ちょっと足が」
黄瀬「…痛めた?」
妃「たぶん。歩くのもちょっと響いてたんだけどジャンプの踏み込みは…ちょっと」
黄瀬「はあ!?なんでそういうこと早く言わないかな。言うでしょフツー」
妃「ご、ごめん。来てくれたのにあれこれ言うのはなって思って」
黄瀬「結果二度手間になってるけど」
妃「ごめん」
黄瀬「……別の方法にするか」


妃「ごめんね。塀また降りてもらって」
黄瀬「いいから、脱いで」
妃「え?」
黄瀬「…あー。腫れてたら保健室で湿布とかもらってこないといけないから」
妃「あ、ああ。大丈夫だよ」
黄瀬「いいから」
妃「はい」
黄瀬(いまなんかヘンな風に言っちゃったわ)
妃(一瞬びっくりしちゃった)


黄瀬「乗って」
妃「いいよそんな!大丈夫!」
黄瀬「歩くのも辛いんでしょ」
妃「さっきのは言葉の綾というか」
黄瀬「一周してみて他の門が開いてたらそこから出る。早く帰りたいからはやく乗って」
妃「は、はい…」
黄瀬(なんでこいつこんな状況でも遠慮ばっかなの)
妃(すっごい気使われてる…申し訳ない……)


妃「やっぱりどこも閉まってるね」
黄瀬「まあ、そうっスよね」
妃「やっぱり私ジャンプするよ」
黄瀬「却下」
妃「でもここで時間取られるよりちょっと頑張って外出る方が」
黄瀬「別に。こうして夜の学校歩いてるのも貴重な体験になるしいいんじゃない?」
妃「…うう」


妃「門の鍵ってどこにあるんだろ」
黄瀬「管理人が閉めて持って帰ってるんじゃないスかね」
妃「…だよねえ。ちょっと下ろして」
黄瀬「…はい」
妃「うーん。鍵穴は…って、あれ」
黄瀬「どうした?」
妃「ここのつまみってさ、もしかして」



ガチャ


妃「……」
黄瀬「……」
妃「…空いちゃった」
黄瀬「…内側から簡単に開くタイプたっだんスね…」
妃「あはは…」
黄瀬「なんかもう、脱力」
妃「でもありがとう。嬉しかった」
黄瀬「…妃」
妃「ん?」
黄瀬「なに終わらそうとしてんの」
妃「え?」
黄瀬「こっから駅までどうやって帰るつもりっスか?」
妃「え、ええっとー…いいの?」
黄瀬「つーかそれしかないでしょ。ほら」
妃「…ありがとう。限界きたら言ってね」
黄瀬「確かに。重くて潰れたらどうしよ」
妃「……」
黄瀬「いたっ」

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