勘違い


赤司「やあ、みんな。集まってくれてありがとう」
黄瀬「なんスか?話って」
紫原「てか朱音ちんは〜?来てないの〜?」
黒子「朱音さん絡みですか?」
緑間「赤司が折り入って話がある、なんて壱原の話しかないのだよ」
紫原「察し」
赤司「そろそろ結婚しようと思うんだけど切り出すタイミングが分からない」
黄瀬「えっ」
緑間「やっとか」
紫原「てかもう朱音ちんと同棲してるんでしょ?ぽろっと言えばいいんじゃない?」
青峰「つーかオレら全員呼び出してよくここまでバレずに来れたな。集まるの久しぶりだしバレたら拗ねるぞ、アイツ」
黒子「一週間は話聞いてくれなそうですよね」
黄瀬「まあ、流石にプロポーズの相談に本人呼べないっスからね」
赤司「高校のメンツで集まると伝えてある。今度会った時も話を合わせてくれ」
紫原「ラジャー」



一方その頃

ピンポーン

朱音「はーい」
黛「あ、」
朱音「え」
黛(…え?表札赤司ってなってるよな。年賀状の住所通りに来たよな)
朱音「黛さん…ですよね?」
黛「あ、ああ」
朱音(あれ、洛山のみんなと飲むんじゃなかったっけ。もしかしてハブ!?)
黛(なんか顔青くなった。もしかして赤司とごたごたしてた誠凛の彼女か?)←顔覚えてなかった
朱音「今日に限って征十郎いなくて。会いに来たんですよね?(会いに来た日がハブられてるって可哀想すぎる。いや、でも黛さんが卒業してからのメンツと飲んでて特にハブってるわけじゃない可能性も…)」
黛「いや…引っ越すから荷物処理ってことで昔気が向いたら貸してやるって言った本引き取って貰おうと思って。あんたに渡せばいいか。じゃあ」
朱音「え、上がっていきませんか?」
黛「赤司いないのにそれはまずいだろ」
朱音「車ですか?」
黛「いやバス」
朱音「じゃああと15分は来ません。上がってくださいよ時間つぶしに。お茶出します」
黛「話聞いてた?赤司の奥サン」
朱音「違います同棲です」
黛「あっそ。名前知らないし」
朱音「壱原朱音です。大丈夫ですよ、根武谷先輩に腕相撲で負けたことありません」
黛「…それ加減されてるだけだろ」
朱音「半分半分ってとこですかね。とにかく!入りましょう!せっかく来たんだから」
黛「なんでそんな入れたがるわけ?」
朱音「黒子くんに似てるから!!!」
黛(あ。今の言葉で色々思い出したわ…こいつか…)




赤司「派手に、インパクトのあるものにしたいんだ」
黄瀬「派手っすか」
黒子「赤司くん黄瀬くんの言う派手は目が飛び出るほどお金がかかりそうで恐ろしいです」
青峰「専用花火打つとかビルの電気使ってメッセージとか」
紫原「峰ちんそんなの頑張れば一般人でも出来るじゃん。やっぱあれっしょー。自家用ジェットで迎えに行ってそのままハワイの赤ちん家のホテルで超高級な指輪をプレゼント」
黒子「ふたりともここぞとばかりに楽しんでますね」
赤司「そんなものでいいのか?」
緑間「赤司、こいつらの言うことだぞ!正気になるのだよ!」
青峰「てか自家用ジェットあんのかよ!」
紫原「オレたちも行きたいしー」
赤司「それじゃ意味がないだろ」

黄瀬「そんなプロポーズ引くっスよ。寒いっス」
黒子「赤司くん、ちゃんと考えますから少し落ち着きましょうね」
黄瀬「このままじゃ破局の可能性もあるよ、黒子っち。オレらが止めないと!」
黒子「本当いつまで経ってもこの二人は世話が焼ける…」




一方その頃

朱音「お茶とビールと日本酒とワインどれがいいですか?」
黛「なんで15分のバス待ちに酒出すんだよ。お茶でお願いシマス」
朱音「やっぱりどことなく黒子くんに似てますね。最近会ってなかったからなんかほっこりします」
黛「…ちなみにどの辺が?」
朱音「冷たいところ」
黛(目輝かせて言われた)

朱音「で、その時黒子君に―――」
黛(話広げたせいで延々と聞かされてる。てかこいつ黒子の話しかしねえな)
朱音「おかわりいります?」
黛「…じゃあもう一杯」
朱音「どうぞどうぞ」
黛「あんた赤司の話はしねえのな」
朱音「え?だってそれ惚気になるじゃないですか」
黛「今までの話も全部惚気てたけどな……ごちそうさん。そろそろ行くわ」
朱音「そうですか?せっかく来てくれたのに征十郎と会えなくて残念です」
黛「…まあお茶飲めたし。処分も出来たし良かったよ」
朱音(知らぬが仏だ。飲み会のことは言わないでおこう)
黛(ある意味会わなくてほっとしてるし)

ガチャ

ザアアアアアアアアアアアア


朱音「…」
黛「…」
朱音「いつの間に雨降ってたんだ」
黛「さっきから小雨ではあった。こんな大雨になるとは」
朱音「…やっぱ、征くん戻るまでいましょう!黛さん!」
黛「いや、帰るって」
朱音「あたし今日お笑いDVD見ようと思ってたんですよね。一緒に見ましょう」
黛「話聞かないなこいつ」
朱音「違います。聞かないんじゃなくてゴリ押ししてるんです」
黛「この夫婦嫌いだわ」

結局一緒に見ることに。案外盛り上がる。

黛「この芸人すぐ消えそうだよな」
朱音「一発屋ですよねえ…やっぱり中堅芸人が安定してて面白いです」
黛「ああ、さっきのコントな。あれは良かった」
朱音「あ、面白がってたんですね。笑ったりしないからあたしだけ楽しんでたかと」
黛「声出さずに笑えるんだよ。大学の図書館でも電車でも見れる」
朱音「つよ!!」
黛「その梅ポテチ取って」
朱音「どぞー。…あ、この若手は好きです!これからも残っていってほしい」
黛「あー。分かるかも」




赤司「じゃあ、普通に家で渡すべきなのか」
黒子「家かディナーのあととか。確かに朱音さん華道とか嗜んでますけど本質はド庶民ですから。無難が一番いいと思いますよ」
青峰「自家用ジェットいいと思うんだけどなー」
黒子「赤司くん。ボクと青峰くんどちらを信じますか」
赤司「聞くまでもないだろ」
青峰「ンでだよ!!」
黄瀬「名差ししてないのに黒子っちのことって分かっただけ偉いっすわ。青峰っち」

紫原「なんだったらオレらがそれとなく朱音ちんに聞けばよくないー?」
緑間「飽きるな。一応深刻な問題だぞ」
紫原「ミドちんも一応とか言ってんじゃん」
黄瀬「ふたりが喧嘩すると色々面倒だからやめてほしいっス」
青峰「あーもういいだろ!オレが聞いてやるよ!!」
黄瀬「あっちょっと!…もう電話かけてる」
黒子「仕方ないですね。青峰くんを信じてみましょう」
赤司「全員静かにするように。集まってることは秘密だからな」


黛「ん…電話鳴ってんぞ」
朱音「えー?どこだろ」
黛「そのグミの袋の下。…青峰大輝。男か」
朱音「黛さん出といて!ポテチ触っちゃったから手洗ってくる」
黛「は、おれ話したこともないんだけど」
朱音「少しの間なんでお願いしますー」
黛(ゴリ押しすぎだろ!!)



黛「あー…もしもし」
青峰「…あれ、間違えました」
黛「壱原朱音の携帯ならこれで合ってます」
青峰「……だれだお前」

赤司「どうした」
青峰「なんか男が出た」
黒子「は?」
紫原「なにそれ、番号間違えたんじゃない」
青峰「朱音の携帯なら合ってるだと」
赤司「貸せ、青峰」
青峰「お、おう」

紫原(一気に室温下がった)




赤司「誰だおまえは、朱音はどうした。何をしている」
黛「…ん?おまえ赤司か」
赤司「……黛さん?」
黛「久しぶりだな。いまお前ん家邪魔してるんだけど。嫁がお前が帰るまで帰るなって一緒にお笑い見させられてる。んで、ポテチ食べたからって手洗ってる間電話に出ろと」
赤司「……そうですか。けど黛さんがそんな理不尽に付き合うとは思えないですが」
黛「何回も拒否したって。根武谷に腕相撲で負けたことありませんって脅されちゃしょうがないだろ」
赤司「ああ、……それは失礼しました…朱音のことはいいですからどうぞお帰りください」
黛「おー」(強制的にお笑い見させられてるって言いまわししてもピリピリしてるな。まあ当たり前か)


青峰「んだ、知り合いか?」
赤司「高校時代の先輩だ」
紫原「えっ赤ちんのいない間に会ってるってこと?」
赤司「いらなくなった本を押し付けにきて朱音に捕まったそうだ。ポテチ食べながらお笑いを見て、その手で電話を取れなかったから一旦出ろと」
黄瀬「なんだ、そういうことっスか」
緑間「全く人騒がせなのだよ…」
紫原「でもそれ朱音ちんが懐いてるってことでしょー?いいの?」
黒子「黛さんって確か」
赤司「ああ。黒子と同じ能力を持った先輩だよ」
黄瀬「ああ、どことなく雰囲気も黒子っちに似てるあの」
緑間「…なるほどな」
紫原「そりゃ朱音ちんも警戒心ゼロだわ」
黒子「本当バカで心配です」
青峰「それって頭がバカってことか?それともテツに対してバカになるってことか?」
黒子「両方です」

赤司「今日は帰るよ。すまないね、呼び出しておいて」
黒子「大丈夫です」
紫原「朱音ちんのせいだしねー」
黄瀬「オレらもキリがいいところで帰るっスから」
青峰「なに言ってんだ。お開きだろ」
黄瀬「えっ」
緑間「明日も平日だ。あまり長くいるわけにはいかないのだよ」
紫原「ていうか黄瀬ちんだってそうでしょー」
黄瀬「オレは明日撮影だけだから午後からなんスよ」
青峰「召されよ」
黄瀬「ヒドッ」




朱音「ごめんなさーい。石鹸切れちゃったから詰め替えして時間かかっちゃいました。電話切れちゃいました?」
黛「ああ。最初青峰ってやつが出て…なんか赤司がいたぞ」
朱音「え?」
黛「雨宿りさせてもらってるって言っといた。流石にもう帰るわ」
朱音「あ、ああはい。そうですね」
黛(なんかキセキの世代いたっぽいけど。こいつ置いてきぼりだったのか。ハブられたんだな…赤司以外の奴らがいたことは黙っておくか)
朱音(青峰が電話してくるなんて珍しいし。もしかして洛山メンバーが使ってたお店で青峰と偶然会ったのかな。そんでテンション上がって電話してきた、みたいな。…征十郎のことしか言ってなかったし洛山で飲んでたことはバレてないっぽい?なにも知らないままお帰りいただいたほうが良いな)

黛「じゃあ、世話になったわ」
朱音「こちらこそ楽しかったです。また来てくださいね」
黛「引っ越すって言ったろうが」
朱音「それでもです!」
黛「…なにかあったら相談しろよな。お笑い見るくらいは付き合ってやる」
朱音「あ、ありがとうございます。あたしも…ひとりが辛い時は家来てください。征十郎もいますし。なんなら盛り上げますから」
黛「…おー」



赤司「ただいま」
朱音「お帰りなさーい。黛さんは帰っちゃったよ」
赤司「ああ、申し訳ないことをしたな(本当になにもなかったみたいだな。当たり前だけど)」
朱音「本当だよ。ハブなんて可哀想だよ」
赤司「え、」
朱音「次からちゃんと誘わなきゃだめだよ?」
赤司「あ、ああ…悪かった」


焦る赤司征十郎のお話。
赤司のことだから少ししたら朱音の言ってる意味に気付いてほっとする。

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