カメリアの甘味


「赤、司くん…久しぶり」
「…ああ」

体育館へ行ったらまさかの二人きりだった。黒子くん、まさかなにかしたのか!?え、でもバスケ部って凄いたくさん人数いるんだよね?目の前のこの人のせい?

「…おっきくなったね」
「成長期だからな。お前だって背が伸びた」
「うん」

成長した征くんはかなりの美男子になっていた。昔も綺麗な顔してたけど意識してなかったし。しばらく離れてたからか年のせいか。とにかく、近くで顔が見れない。
視線を下げていると征くんが一歩近付いた。

「…まさか帝光に来てるとは思わなかった」
「う、うん。実は入学前にこっちに戻って来てて」
「どうして言わないんだ」
「ご、ごめん!帝光に来てるのは入学式で分かったの。ちょくちょく探してたけど征…赤司くん見つからなくて」
「…わざわざ呼び直さなくても良い。朱音の呼びやすいように呼べ」
「…うん!」

変わってなかった。優しいときは優しい。前と変わらない征くんだ。あたしはやっと顔を上げた。にっこり笑うと征くんは面食らったように視線を逸らした。え、酷い。
そして彼はすたすたと体育館入口に足を運ぶ。え、酷い!

「…なにをやっているんだ」
「見つかっちゃったー」
「おい赤司!テツから聞いたぞ!」
「練習を遅らせてなにをしてるのかと思えば…呆れたのだよ」
「……お前たち、準備はいいか?」

隠れて覗いてたらしい三人の男子。だいぶ大きい。ていうかやっぱり征くんが人除けしたんだ…
その三人の方を向いてるから顔は分からないが彼らの顔色がサッと青ざめているから征くんは怒ったんだろう。みんな、お気の毒に。

こういう時は何を言っても止まらない。優しいときは優しいが怒ると怖いっていうのもやっぱり変わってないんだなあ。なんというか複雑だ。
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