感動屋彼氏

「…なにしてるの」
「名前!迎えに来てくれたんスか!」
「だって涼太遅いんだもん。部活っていつもこんな時間までやってるの?」
「いつもこのくらいっスよ。…待たせてごめんね」
「大丈夫。早く着替えて来てよ。早く肉まん食べたい」
「もー、今日くらい肉まんじゃないの奢るっスよ」
「涼太に奢られたらどのくらいの金額になっちゃうか分からないからヤダ」
「ヤダって…なにそれ可愛い!」

一人でテンションあげる黄瀬をど突く。ミニスカートなとこ以外は特に制服をいじってる様子はない黄瀬の彼女、名前さん。
こうして間近で見るのは初めてだ。
あっちもそう思ったのかお辞儀をされ慌てて自分も頭を下げる。誰もが振り返る美人ってほどでもないが黄瀬と並んでても目劣りしない。彼女の雰囲気がそうしてるのかもしれない。

「えと、こんにちは」
「…こんにちは」
「笠松先輩!この子が名前っス!」
「で、こっちが笠松先輩!」
「はじめまして。勝手にここまで入ってすみません」
「いや…誕生日おめでとうございます」
「えっ、あ…ありがとうございます!」

照れたようにはにかむ彼女。それを見てどきりとする。するとすぐに横にいた黄瀬が睨んできた。

「先輩、名前を狙うなら容赦しないっスよ」
「落ち着け。そんなんじゃないから」
「いーや!今のは完全名前に見惚れてた!」

怒る黄瀬に笠松は焦る。本人目の前にしてそんなこと言うな!
慌てていると名前さんが黄瀬を止めに入った。流石、よく出来た彼女だ。ほっと胸を撫で下ろす。
名前は黄瀬の鼻をピンと弾く。

「涼太。先輩を困らせないの。先輩はそんなんじゃないって言ってるじゃない」
「……は、はい」
「それに、私が涼太以外に惚れるとは思えないし」

ナチュラルすぎて流しそうになったが今の発言に固まってしまう。黄瀬はといえば涙目になりながら「名前!好き、大好き」と彼女を抱きしめる。
黄瀬は置いておくとして…彼女も同じ種類の人間だったのか。

自分たちの世界に入った二人を置いて笠松は顔を洗いに向かった。
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