真面目彼女

「先輩、帰り俺早く抜けて良いっスか?」
「はあ?」
「今日名前の誕生日なんスよ!付き合って初めての誕生日だから早く祝いたくて」
「駄目だ。ちゃんと部活終わりに祝え」
「笠松先輩、そこをなんとかー!」

拝むように手を合わせられるが聞く耳は持たない。彼女の誕生日だからって先に帰らせるような甘い部じゃない。頭を下げている黄瀬にチョップした。

「お前はバスケと彼女どっちが大切なんだ。言っておくが俺の立場上彼女っつったらまたチョップ食らわせる」
「え、ちょっ待ってください!…名前と言いたいっスけどそう言ったらきっと名前も怒るし…バスケっス」
「怒る?」
「名前はバスケに理解あるからサボってデート行こうって言うと怒るんス。ね、優しい彼女でしょ?」
「ほう…」
「優しいだけじゃなくて名前は頭良いし綺麗だし強い子なんスよ!」

初めて聞いた。黄瀬はなにかと彼女をバスケ部に関わらせたくないような態度を取っていたからバスケに嫌な印象を持ってるのかとばかり思っていた。
笠松は名前への認識を訂正した。こいつの彼女にしちゃ確かに出来た彼女だ。つーか…

「お前は部活サボってデートに行こうとしてたってことか」

小さく呟けばえ、と顔色を変える黄瀬。例え話っスよそんな本気でデート行こうと思ってたわけじゃ…と笑って誤魔化す。周りの部員はまたか、と黙々と練習に励んでいる。もうこの場面に慣れたのかもしれない。笠松はそんな部員たちに心の中で謝りながら黄瀬を思いっきり蹴り上げた。
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