「ボス…ボスってば!」
「うーん、あと5分……」
「ばか。それでもう20分オーバーしてるんだから!早く起きて!」
 
体をゆさぶればゆるゆると起き上がる綱吉。まだ完全に覚醒してないのかぼーっとしている。目を擦りながら時計を見てふと、固まる。ようやく現状を理解したらしい。慌てて立ち上がった。
 
「やばい、今日雲雀さんも来るんだよ。遅刻したら殺される」
「恭弥なら眠いから今日は行かないって」
「え、」
「けどボスはダメですよ。10代目なんですから」
「……はい」
 
あーあ、という顔をしながら綱吉にスーツに着替える。その間に彼の朝食のサンドウィッチを皿に乗せ準備をする。ちなみに私はボスの部屋に行く前から仕度はすんでいた。
準備が終わりボスを見ればまだ着替えていた。寝ぼけすぎだと思ったが昨日の夜も遅くまでデスクワークをこなしていたらしいから仕方ないと言える。時計を見て時間を確認する。…車で飛ばせばギリギリなんとかなるだろう。
 
「ボス、ボタンかけ違えてます」
「……ん」

ボスの前で跪きシャツのボタンをかけ直していく。こんなことも初めてではない。お互い慣れたものだと顔には出さず思った。そんな私をじっと見ていたボスは思い立ったというように口を開いた。
 
「ねえ」
「なんですか?」
「そろそろ承諾してくれても良いんじゃない?」
「なにをですか」
「結婚。してよ」
「……私はただの部下です」
「でもキミは俺のことが好きでしょ?」
 
にっこりと笑いかけられ言葉をつぐむ。超直感って厄介だ。
そんなことより早く仕度を終えてください、私は貴方が好きじゃありません、どれを言うべきなのか考えるがこの人の前では無意味だと気付く。
最後の一番上のボタンを止める。ふと視線を合わせればぐい、と肩を抱き寄せられ唇を奪われた。
 
…会議は間に合わないかもしれない。

/驕児
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