「征十郎、ビンの蓋開かない」
「貸してみろ」
「ん、」
「…ほら、あいた」

練習中にも関わらず蓋を開けてもらいに体育館までやって来た名字。今は個人個人でシュート練だからそれ程でもないがたまに今来るか!?ってとこで来るから困る。
蓋とビンを手渡す赤司とそれを受け取る彼女の様子を呆れつつ見つめるキセキたち。幼馴染の彼らは青峰と桃井の二人とは少し違う。赤司が名字を構いすぎ、それを名字が疑問に思っていないところだ。恐らく昔からそうだから疑問に思わないんだろうが。
そんな中ふいに名字が振り返った。

「…ねえ、夜ご飯カレーで良い?今ならシチューに変更もできるけど」
「俺はどっちでもいい」
「任せるのだよ」
「どっちでもいいが一番困るんだけど」
「じゃあ、この前の合宿はカレーだったから今回はシチューがいいっス」
「いや、カレーだ」
「赤ちんが言うなら俺もカレー」
「ええ!」

黄瀬の台詞に割り込む様に話す赤司。それを面白がって青峰も「俺もカレー」と参戦した。

「みんなヒドいっス」
「いーだろ。俺はカレー好きなんだよ」
「お、俺もカレー好きっスけど!」
「名前、そういう訳だ。今日はカレーだ」
「わ、分かった。じゃあご飯炊いてくる。黄瀬、多数決だからカレーね」
「…はあい」

ぱたぱたとスリッパの音を弾ませ調理場へ駆け出す名字。それを見送ると赤司はさっきの調子で練習を再開させた。

「赤司っちってカレー好きなんスか?」
「別に好物ってわけではない。けど、シチューは名前が好きじゃないんだ」

真面目に答える赤司に「…ああ、成る程」と黄瀬は半目になる。どこまで過保護なんだろうか。

「じゃあ赤司っちはシチューでもいいんスね」

少しでも仲間を増やそうとそう言う。だが赤司はボールを手にしながら不思議そうな顔をして黄瀬を見た。

「なに言ってるんだ?名前の料理なら全部美味いだろ」
「……」

惚気られた!
固まる黄瀬。周りから聞こえるクスクスという笑い声(多分青峰っち)。それらを無視しシュートを決める赤司。流石にイラッとした。だが赤司に逆らえるわけもなく黄瀬は静かにそこを離れた。リア充め…!

「黄瀬くん、赤司くんになにを言っても無駄ですよ」
「…そうっスね」

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