「踵にまめできたって?」

笑う赤司に来たか…と溜息を吐く。これには暗に「靴を脱げ」と言っている。
だからやんわりと拒絶を示した。

「まめってほどじゃないよ。久しぶりにパンプス履いたら痛かっただけ」
「そんなの履くからだ」
「いーじゃん。久しぶりに部活休みだったんだから出かけたって」
「それで部活に支障が出るとこっちが迷惑だ」
「えー、私別にマネージャーだし支障は出てないよ。仕事きっちりやってるし」

言い合っていると段々彼の視線が鋭くなる。でも私の取り柄は赤司を恐れず行動することだ。だからか黄瀬には尊敬されている。緑間には呆れられてるけど。

「そうだ。ね、緑間どこ?」
「…どうしてここで緑間の話になる」
「さっきテーピング頼まれたんだよね。左手の」
「あんなの自分でやるだろ」

赤司はむっとした顔でドアの前に立ち、部屋から出て行かせないようにする。え、これまめ見せなきゃ進めない感じ?

「ねー、どいてよ」
「…」
「赤司だって油売ってないで練習いきなよ」
「…」
「…えっ、無視!?」

どうやら本気らしい。赤司がこうなったらどうしようもない。私は渋々靴と靴下を脱ぎ、裸足になった。それを見た赤司は「なんだ、たいしたことないじゃないか」と詰まらなそうに鼻をならした。だから!そう言ったのに!

「ほら、もういーでしょ。どいて」
「俺にもテーピング」
「…どこに?」
「左手」
「緑間の真似でもするの?」
「馬鹿か。手首を捻ったんだ」
「え!捻ったんならテーピングの前にまず…」

慌てて赤司の手を取ると嬉しそうに笑う赤司。うわ、はめられた。ジト目で見つつ手を放すと逆にその手を取られた。
なんだと思えばぐいと赤司の口が近付き手の甲にそれが触れる。振り払おうとしても掴まれた手が放してくれない。歯の感触もして尚更この状況はなにと慌てる。

「ちょ…っと、なにして…!」
「ああ、痕残ったね」
「…っ」
「これで緑間のとこ行ったらこれ、見られるんじゃない?」
「な、なんで」
「最初はまめでも潰してやろうと思ったんだけど緑間のこと言うから何かしてやろうと思って」

言ったよね、俺がいる時は俺が最優先だって。けど面白そうだから緑間のとこには後でちゃんと行けよと「後で」を強調される。
この手で行けと。

「…テーピング巻きます」
「なら、俺が巻いてあげる」

私の左手に巻かれるテーピング。
選手でもないのにテーピングしてたら目立ち緑間以外のみんなにもどうしたのかと聞かれるのに最悪なことに全く気付かず。なんでこんなのやりたがるんだろうと笑顔でテーピングする赤司を不思議に思うだけだった。

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