「おい、なにしてる」
「眠いんですー寝かせてください赤司くん」
「睫毛むしり取るぞ」
「なんでそういうこと言うかな!あんたが言うとシャレになんない!」
「シャレじゃないからな」

当然だろ、と声音で発している赤司くんに慌てて起き上がる。良い感じにうとうとしてきたのに。上半身を起こし座ったままぼーっとしていると赤司くんが持っていたバインダーで叩かれた。

今は帝光バスケ部の合宿中なのである。

今日は合宿二日目。練習疲れで早寝をした部員達。今日は早起きしてまた練習らしい。今は外にランニングに出ている。(赤司くんは先生と相談があるとかで残った)
マネージャーの私たちはみんなの練習が終わった後に服の洗濯や道具の片付け、ご飯のメニュー作りやら買い足しやらで寝たのはほぼ明け方。ランニングに行ってる間なら、と一番風通しの良いレギュラー達の使ってる部屋で眠ろうとしたら赤司くんに見つかったのだ。

「寝かせてよ。仕事ないの今だけなんだし」
「だったら自分の部屋で寝ればいいだろ。勝手に俺達の部屋に入るな」
「ここが涼しいんですー」

赤司くんを放ってごろん、と寝っ転がる。ていうかもう先生と話終わったの?聞けば予想以上に早く終わったらしい。これからランニングに行くとか流石主将だ。

「着替えるんだから出てけ」
「もうあんたらが目の前で着替えてたって何も思わないよ。いつも上半身裸のくせに」
「…それは青峰だけだ」
「ま、だから気にしないで。そんで早く練習行っちゃって」

目を瞑ってた話していたため赤司が近付いて来たことに気付かなかった。ずっと黙っている赤司にどうしたんだろうかと目を開ければ至近距離にある赤司の顔。

「うわ!…な、なに。どうしたの」

慌てて起き上がろうとすると左右に腕を置かれ身動きが取れなくなる。
じっと見つめられ逸らしたくなるが逸らした瞬間何をされるか分からない。負けじと見つめ返す。しばらくそうしていると彼は急にニヤリと笑みを浮かべた。

「さて、今名前がすべき行動は次のうちどれでしょう」
「え、」
「1、速やかに自分の部屋に戻る2、このままじっとしてる3、俺に頭突きしてこの状況から逃げ出す」
「えっと……3?」
「はは、殺す」
「ごめんなさい冗談です3じゃないです!」

やべーこの至近距離で赤司様を怒らせるわけにはいかない。考えてるうちに冷や汗が出てくる。

「1番でしょうか…?」
「……」

そう言うと彼の顔が離れていった。ほっと溜息に似た息を吐く。危なかった…!
赤司様が私から離れようと動いたとき。

「そうだ、最後に」

何か思い立ったのか私の顔に手を伸ばす。なんだろうと思えば顎を掴まれ上を向かされた。

「あ、赤司…くん」
「動くな」

さっきのように顔を近付かせる。彼は顎から手を放しその手で


その手で、睫毛を思いっきり引っ張られた。


「ぎゃあああ、なにする…っ」
「ああ、つい」

にっこり笑った赤司くん。まさかほんとにむしろうと!?流石に取れはしなかったけど瞼に激痛が走る。引っ張った彼の手に気を取られて目を逸らしてしまったことに気付かなかった。赤司くんに腕を引っ張られる。彼は体制が崩れた私に強引にキスをした。

「正解は2でした」


/ストロベリー夫人はご機嫌斜め

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