つなぐ日


「眠い」
「移動中で寝とけば良かったのに」
「あんな豪華なとこで寝れるわけないでしょう!初めてですよ自家用ジェットなんて」
「初めてとか珍しいな」
「普通です!!」

ズレている感覚に全力でツッコむ。自家用ジェットなんて乗らない人のが多い。むしろ持ってない。あんなのテレビの世界でしか見たことがなかった。改めてボンゴレカンパニーって凄いところだと思う。
豪華すぎる内装に居心地悪かった三咲は一睡も出来なかった。横で気持ち良さそうに寝息を立てる綱吉を蹴り飛ばそうかとも思ったがさすがに実行せず。
いざ到着すれば安心からか睡魔がやってくる。

「疲れた?」
「…気疲れしました。豪華すぎて」

考えてみれば秘書に戻ってからそんなに経っていないのに、随分状況が変わった。疲れたのはその分も溜まってるのかも、と綱吉は三咲の手を取り歩き始めた。
大きい荷物はこれから住む所に届けさせることになっているから身軽だ。

「眠いからってぼーっとするなよ。ここじゃ日本語通じないんだから」
「このまま手繋いでればオーケー」
「……しょうがないな。放すなよ」
「(にやけてる)」

今は見てるもの全部が新鮮だけどこれからここで長い間過ごすことになる。そう考えると変な気分だ。いつまでかいるかは綱吉にもリボーンにも分かっていない。仕事の成果によるらしいが三咲にはまだまだ分からない。なんでも、住むところは会社が購入しているビルらしい。社長の綱吉さんは当然一番大きい部屋。私もそこで一緒に暮らす。そのビルには他にも住んでいる人がいるらしいが社長と同じ建物で、ということは会社でもかなりの重要人物であるらしい。つまり、沢田綱吉にとって大事な人間だ。
それを聞いてから三咲はそこへ行くのが恐くなってきている。だって、綱吉さんの重要人物ってどんな人!?リボーンさんみたいなのが他にもいたりする!?超怖いんだけど!

「綱吉さん、すぐ向かうんですか?」
「そのつもりだけど。嫌なの?眠いんじゃないの?」
「眠いですけど…もう少しふらふらしてもいいんじゃないかと。ふたりで」
「……別にいいけど。時間あるし」
「(嬉しそうだ)」

扱いやすい綱吉を密かに笑いながら三咲は少しでも時間を稼ごうと彼の手を引っ張った。

「あ、そういえばさっき話しかけねきた男の人ってどうしたんですか?」
「…ああ、別に」
「いきなりペラペラ話されて全く分からなかったんですよー綱吉さん話せるんですね。今まで信じてなかったけどこれからは信じます」
「信じてなかったのかよ!」
「で、道聞かれてたんですよね?」
「口説かれてたんだばかやろう!!!」
「……は?」
「イタリア人なめんなよ」

はあ、と溜息をつきながら綱吉は三咲の頭に手を置いた。こいつ脳天気で馬鹿だからな。雲雀さんのときのようにモノで釣られないか心配だ。
ま、帰れば大丈夫だろうけど。

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