眩う日


いつでも唐突だった。会社に来るなと言われたときも。正ちゃんが留学することも。同棲しないかと誘われたときも、両親に挨拶に行くぞと言われたときも。
もうこれ以上はないと思ってた。もう許可もとったし、することはない。少しは落ち着いて来るのかな、と思ってたのに。

「結局泊まらせてもらっちゃったな」
「綱吉さんお酒飲んだからですよ」
「車なんでって遠慮したのに注がれるから、」
「あんなに有名な会社の社長なのに運転手とかいないんだなって笑ってました。私もはじめ意外に思ったけど」
「…つーか、なんでお前付き合ってること言ってなかったの」

多分今までずっと聞きたかったんだろう。少し緊張した声音になる。
言ったら怒られる、と思いつつ本当のことを口に出す。

「実家に電話するのは愚痴りたいときだけなんで」
「ほう、だから最初の俺の印象が最悪だったわけだ」
「…あははー」

誤魔化すように笑うが既に遅かった。ハンドル片手、もう片方の手で頭にチョップを食らう。なんかデジャヴ!

「…寝ていいですか」
「あ?お前俺が運転してる間寝るの?」
「昨日綱吉さんが寝てる間ずっと抱き枕にされてたおかげで寝れなかったんですよ」
「緊張して?」
「重くて」
「……」

機嫌悪そうな顔だったが悪いとは思ったのか見逃してくれるらしい。眠りにつこうと目を閉じる。一分…十分経った頃だろうか。うとうとして眠りにつく寸前、綱吉さんが呟いた。

「来週引っ越すぞ」
「…」

突然だな。ぼやけてきた思考だったがツッコミはきちんと返した。でも仕方ない。この人はいつも突然だ。もう慣れるしかない。どちらの部屋で住むことになるのだろう。もしかしたら新しく引っ越すのかも。だとしたら部屋はもう決めてるんだろうな。俺様はこういう時自分の良い物件じゃないと首を縦に振らないから私が妥協するはめになるんだろう。綱吉さんが好みそうな物件。綺麗なところだろうから別に良い。どうせ高級マンションの最上階とかそんなだろう。

「パスポートは預かってあるから」
「……」

……ん、パスポート?
目を開ければもう高速に乗っていた。綱吉さんの方へ首だけ向き慌てて聞き返す。

「いまパスポートって言いました?」
「言った」
「…なんでパスポート?」

嫌な予感が纏う。けど、もう気づいている。でも信じたくない。にやりと微笑っている綱吉さんとは逆に顔が引きつった。さっきの突然はまだ耐えた。けどそこまでは予想してない。来週とかどう頑張っても荷造り無理じゃね?やっぱり私の嫌な予感は間違いか。そうであってほしい…!

「来月から俺たち、海外で働くことになるから」

にっこりと言われた衝撃発言。外れなかった嫌な予感に流石に眠気が吹っ飛んだ。

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