確かめる日


「は?」
「…愛しい恋人に向かってそんな声出すなよ」
「さぶい」
「悪かったな」

仕事も終わり助席に乗り込む。発車しながらの会話。ちなみにこんな金持ちなのに運転手がいないのは「運転する面倒より他人の運転する車にすんなり乗り込む方が怖い」という綱吉さんの考えのせいである。あれから機嫌が良く、デレ発動な綱吉さんをあしらい聞き返す。

「だから、前にも言っただろ」
「前にも?」
「言ったよ!お前が仕事ないときに…って、ああ。お前ディーノさんとこいたんだもんな」

責めるような目で見られムカっとする。そもそもそれはお前のせいだろ。けど運転中に叩くことも出来ずただ睨み返した。

「だから、……い、一緒に住まないかって」
「…同棲ってことですか?」
「お前がいいなら」
「……」

やっぱりデレ発動中でも恥ずかしいのか面倒臭そうな表情を作り聞いてくる。ちらちらこっちを見ては目逸らし。安全運転しましょう。

「もちろんすぐにとは言わないけど」
「いいですよ」
「……え、」

がばっ、と効果音が付きそうなほど勢い良く私の方を向く綱吉さん。あんぐりと口が開いている。ねえ安全運転して。

「だから、同棲ですよ。してあげてもいいですよ?」
「……そっか」
「はい」
「……それは、もうすぐ正一くんがいなくなっちゃうから?」

真っ直ぐ前を向きながら言う綱吉さん。…そこだけ安全運転は卑怯だと思う。
だから私も、真っ直ぐ前を見て答えた。

「違いますよ」
「…」
「正ちゃんが留学することは分かってました。いつ、とかは知らないけどいつかは行くんだって確信してたし。寂しいけどその時は送りだしてやるって決めてました」
「…」
「正ちゃんは大切な幼馴染だけど、愛しい恋人じゃありませんから」
「……ふううん」

大きい声で頷く綱吉さん。相変わらず真っ直ぐを向いている。ちらりと彼を盗み見れば緩んだ口元。分かりやすっ

「じゃあ、俺が外国行っちゃったら着いてくるんだ」
「話飛びすぎじゃないですか?」
「そういうことだろ」
「……そういうことですよ」
「三咲お前…可愛いな」
「五月蝿い」
「照れ屋」
「だから五月蝿い!」

ほっぺを抓れば「運転中に引っ張んな!」と怒られるが「赤信号だから関係ないでしょ」と反論する。
ニヤニヤ顔が止まらない。デレ発動の綱吉さんはウザい。

「まあ、綱吉さんは私が必要らしいですから一緒にいてあげますよ」
「うわやめろよそれ!何で聞いてんだよ馬鹿三咲!」
「へへーんだ。綱吉さんがディーノさんと話してるのは全部聞きましたし」
「最低だ!プライバシーの侵害だ!人権問題だ!」
「あんたが言うか」


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