絆された日


「え、正一くん留学するの?」

仕事という名のリボーンの嫌がらせを受けていた三咲も夜になれば解放される。タイミングを見計らっていた綱吉は此処ぞとばかりに三咲を無理矢理車へ連れ込んだ。
さっき泣いた理由を聞くために、は確かにそれもあるが一緒に帰る口実だ。だがその泣いた理由には少し驚く。正一くんもああは言っても三咲から離れそうになかったのに。

「三咲のこと好きなんだろうなとも思ってたのに」
「はい?綱吉さんなに言ってるんです?正ちゃんはそんなんじゃないですよ」
「……あれだけ仲良かったら疑わない方がおかしいだろ」
「正ちゃんは同じ学校の子が好きだし。写真を大事にとっておくような可愛い性格なんですから」
「へえ、知らなかった。その子は正一くんみたいに有望なの?」
「さあ、正ちゃん話してくれないし…」

一緒に留学するのかな、となんとなく思ったことを口にすれば寂しそうな顔をする三咲。慌てて訂正する。

「ほら、なに食べる?今日は好きな店行ってやるから」
「あれ、家じゃないんですか?」
「え?」
「だってコーヒーが恋しいって」
「だ、だからそれは…!」

にやりと笑った三咲。遠慮無しにほっぺを抓られる。どうやら完全に聞かれてたらしい。ディーノさん酷くない?今度会ったとき言ってやる。

「今日はいい。行ったら帰りたくなくなるから」
「帰んなきゃいいじゃないですか」
「え、お前、本気で言ってる?」
「モチのロングポテト」
「照れ隠しか分かんないけどそのギャグ凄くつまらない」
「……」

拗ねたのか窓の外から視線を移さなくなった三咲。何だかんだ言ってこいつも寂しかったのかと思うとにやけが止まらない。

「分かった。じゃあ泊まってく」

綱吉は外を見たままの三咲の頭に手を乗せた。

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