生まれた日




「明日は仕事の後どこか行くのかい?」
「え?予定ありませんけど」
「……綱吉とどこか行かないの?」
「行きませんよ?仕事で散々一緒だし。あ、社長といえば最近変じゃないですか?溜息吐いたと思ったらそわそわしたり」
「…明日でしょ?綱吉の生まれた日」
「…………!!!」
「(忘れてたのか)」


そうか、金曜日……10月14日。綱吉さんの誕生日だ。
雲雀さんに白い目で見られる中私は冷や汗をかいた。もちろん目の前の雲雀さんに、ではなく社長にだ。
ここのとこ変だったのはそのせいか。私が何も言わないからそわそわしてたのか。流石に自分から言えないよね。誕生日関係は。


「そういえば恋人になってから名前覚えたんだっけ?」
「うっ」
「別に君たちが上手くいってるかなんてどうでも良いけど、機嫌が悪くなった綱吉の面倒を見るのは僕なんだよ」
「お、恐れ入ります」
「じゃないでしょ」
「………今すぐ予定を入れてきます」
「うん、行ってらっしゃい」


走り去った三咲を目で送る。自分が誰かに助言をすることがあるなんて夢にも思わなかった。成長した、と言うべきなのか。雲雀は複雑な心境のままソファに身を預けた。


「し、失礼します」
「……三咲。今は雲雀さんと特訓じゃないの?なに、何か用?」


社長室に入った途端質問攻め。
分かりやすい!!!
今もそわそわとボールペンをカチカチとしている。あんたそんな安いペン普段使わないだろ。どっから出した。


「別に。ただの忘れものですよ」
「あ……そう。」
「(面白い)」


見るからに落ち込んだ様子の綱吉。三咲は綱吉に近づく。


「あ、」
「…社長」
「…なに?」
「明日は風さんとの打ち合わせがあります」
「………うん。そーだねー」
「(拗ねた…!)…その後は△△会社に視察です。視察といっても明日のは形だけですが」


続けるとさっきより冷たく「知ってるよ。その後帰宅だろ」と返って来た。


「…意外と寂しがりやなんですか?」
「は?」
「明日に限って忙しいじゃないですか」


ちゃんとしたお祝い出来ないですね、と苦笑いするとぱっと綱吉の顔が見るからに輝いた。


生まれた日
「俺三咲のことだから絶対忘れてると思った」
「そ、そんなワケないじゃないですかー…」



綱吉くん誕生日おめでとう!


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