焦がれる日
「はぁー」
「…」
「癒やされないなあ」
「…」
「ねえ雲雀さぁ―――ん」
「うるさいよ」
三咲が風邪で会社を休んだ。
秘書が社長に移したらいけない、と仕方なく三咲の仕事を雲雀が受け持った。
だが三咲が休んだせいで綱吉の意欲がいつも以上に落ちているらしい。さっきからあーだこーだと言っていて五月蝿い。
「あああー三咲が恋しい」
「はいはい」
「ちょっと。雲雀さん聞いてる?」
「聞いてるよ」
「あいつって意外とお淑やかなんだよ」
「………」
上機嫌に話す綱吉に雲雀はあからさまに引いた。
どうやらここ何日か会ってないうちに綱吉の脳内で三咲に補正作業が行われたらしい。「お淑やか」なんて一番似合わないワードじゃないか。
「雲雀さん!!!三咲いつになったら来んの?あの馬鹿女!次会ったら覚えてろよ!!!」
「……もしかして、酔ってる?」
支離滅裂(むしろ情緒不安定)な綱吉に流石に不安がよぎる。
机に突っ伏した綱吉に近づくと勢い良く顔を上げた。いきなりでちょっと驚く。
「お茶飲みたい」
「僕に命令するの?」
「社長命令」
「………今日だけだよ」
今日だけの我慢だと上司の横暴な「命令」に従った僕を褒めてあげたい。
今すごく頑張ってるよ、僕。
「出来たよ。お茶」
「お茶ってほんとのお茶じゃなくてコーヒーのこと――――!!!」
「………(ぶちっ)」
我慢の限界がきた雲雀。
実は自分の上司がおかしくなっていたのは高熱のせいだと雲雀が気付くのはそれから一時間後のことだった。
焦がれる日
あとがき―――――
書く前は今回は甘くしようって意気込んでたくせにヒロインさえ出て来ないっていう。←
未来編で思ったけど十年後ツナと雲雀は仲良くやってると思う。