愛でる日





「(―――もごもご)」
「………」
「(もごもご)」
「……三咲」
「何でしょう社長」
「いきなりキリッとされてもどう対応したらいいか分かんないから。…なに口に入れてんの」
「さっき雲雀さんにもらった飴です」


ちくしょうまた雲雀さんか。
綱吉は持っていたボールペンに力を入れた。シャーペンだったら芯が折れていただろう。
三咲はソファに座り口に含んでいる飴を右左と動かし遊んでいる。


「社長、早く書類書いて下さいよ。それまで私暇なんですから」
「だからって勤務中に飴舐めていいと思ってんの。最近秘書舐めてない?」
「…なんか機嫌悪いですね。どうしたんです?」
「全っ然機嫌なんて悪くないけど?」


うわあ分かりやすい嘘。
三咲は内心呆れた。言葉と表情が一致していない。
考えながら口の中の飴を転がした。


「ただ…最近雲雀さんと仲良いんじゃない?」
「へ?そうです?」


予想外の言葉に三咲は首を傾げる。別に雲雀さんと特に変わったこともないけどな…。
会社で綱吉と雲雀しか会わない三咲にとって雲雀と過ごしている時間が長いことに気付いていない。
といっても綱吉と過ごす時間と同じ時間だが。


「今だって餌付けされてるし」
「餌付け!?ちょ、餌付けなんてされてないですよ!私は猫か!」
「雲雀さんが自分のために飴なんか持ってるわけないだろ!絶対三咲用に買ったって!」
「ああ、それは特訓の宿題がよく出来てたら買ってもらうっていう約束してて」
「……だから。それが仲良いっつってんの」


綱吉は拗ねたように言った。
三咲はソファから綱吉のいるデスクに近づいた。


「社長もいります?まだ3つ持ってるんであげます。ええと、レモンとブドウと今私も舐めて――ふっ………ちょ、ちょっと!」


綱吉は三咲を引き寄せて素早く三咲の口に侵入する。
もう小さくなっている飴を奪い取った。


「………うん。イチゴ美味い」
「なにしてんですか。いや、なにするんですか。今仕事中ですよね?」
「仕事中に飴舐めてる奴に言われたくないね」


してやったり顔をする綱吉。
三咲は本当に溜息を吐きたくなった。「子供かよ」と。


「大体、イチゴなら新しいのあるのに」
「だって我慢出来なかった」
「仕事中イチャイチャすんな」
「じゃあ夜ならいいの」
「…………」


カァッと三咲の顔が赤くなる。
綱吉に抱えられて逃げられないのだができる限り顔を背けた。
一応もうそういう関係はあるのだが。
予想通りの反応に綱吉は満足そうに笑った。



愛でる日

「三咲意外と照れ屋だよね」
「うっさい」


あとがき―――――
基本ヒロイン午前→雲雀、午後→綱吉、帰宅後→入江と過ごしてる。時間の長さは一緒だったりする。
綱吉は帰宅後を知らないので雲雀にばっか嫉妬してます。


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