「あれ、赤司っち…?」

本人だろうかと戸惑いつつ声をかけた黄瀬。道端で見覚えのある人物を見たからだ。振り向いた彼は黄瀬が呼んだ赤司本人で安心する。が、本人であったため判明した事実に驚く。それは黄瀬同様黒子たち他のメンツも同じようだった。
自分にさえ厳しい帝光バスケ部の主将。その主将が休日に明らかに自分らより年上の女の人と一緒に町を歩いている。年上の女の人といっても、親の年代ではなくどうみても20代。一体どういう関係なのかと疑問に思う。あ、目が合った。

「友達?」
「同じバスケ部だ」
「ああ、通りでみんな背が高いはずだ!…こんにちは、征十郎がお世話になってます」
「赤司くんのお姉さんですか?」
「赤ちん、その人だれー?」
「従姉弟なの」
「恋人だ」

ふたりが同時に答えたワードは噛み合わず。名無しさんは顔が引きつり赤司は眉を顰める。それとほぼ同時に凍る他のキセキたち。恋人…?赤司っちに恋人!?しかもちょー年上の!!

「ちょっと待て。どうして従姉弟なんだ」
「間違ってないじゃん」
「関係性を問われてるなら恋人と答える方が正しい」
「そうかな…」
「ちょ、赤司っち!!」

こそっと赤司の腕を掴みこっそり耳打ちする。他のメンツも気になるのか側に寄ってきた。

「本当に付き合ってるんスか?」
「ああ」
「あの人社会人だよねー?」
「10歳上だ」
「まじで!!お前やるな!」
「青峰、一緒にするな。俺は名無しさん以外の年上に興味はない」

話は終わりだと言うようにキセキたちから離れ、名無しさんの元へ向かう赤司。そりゃ、せっかくの休みに毎日顔を合わせるチームメイトより恋人と会うのを優先するのは当然か。
彼らふたりの間のから、長年一緒だったという空気が伝わってくる。彼女の方はまだ赤司を子ども扱いしてるみたいだが赤司の「恋人」発言に訂正しなかった。つまり、そういうことなのだろう。青峰はまだ興奮気味に赤司に詰め寄り彼女に背を向ける。普段なら肩に腕を回されたら嫌がるだろう赤司も自慢したいのかなんなのか、気にしている様子はない。むしろ笑っている。

「おい、どうしてそんなことになったんだよ」
「お互いの同意だ。まあ、最初は名無しさんが勤めている会社の同僚と付き合っていたが返してもらった」「略奪かよ!?社会人相手に!どんなテク持ってんだよお前!!」

思わず出た大声。もちろん丸聞こえ。赤司は青峰の腹に手刀を入れた。

「そういう話を名無しさんの前でするな。言っただろう。お前と一緒にするなと」
「え、いやー中学生だしね。別にいいよ。…そんなもんだって分かってるから。」

そういう年頃の中学生男子話題ばっかりだって分かっている。別に気にしないよ。征十郎は大人びて見えていたから心配だったがやっぱり中学生なんだなって。
そう名無しさんが言えば赤司はさっと慌た様子で弁解した。

「俺は違う。こいつがただ言っているだけだ」
「いいのよ隠さないで。征十郎もそういう話する友達が…」
「やめてくれ」

そんな様子に一同は唖然とする。あの赤司が子ども扱いだ。彼女は10歳年上なのだから当たり前かもしれないが。

「納得出来た気がします」
「なにがっスか?」
「赤司くんの支配欲です。彼女に子ども扱いされているから部では上に立とうとするのではないでしょうか」
「あー、言われてみれば」
「勝たなきゃ意味がないというのも略奪したのが本当ならそれから来てるのではないでしょうか」
「え…全部そっから?」

確かに赤司の性格に影響しなかったとは言い切れない。好きな人なら尚更。
赤司と彼女を見つめる他のキセキ。幸せそうなのはなによりだがそのせいでこっちに被害が出ている。複雑な思いだ。

「あーそういえば赤ちん、初恋の相手従姉弟って言ってた」
「「「(まさかの純愛…!?)」」」



その結果がこれです
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -