ぽかん

今の紫原の反応を言葉で表すならこれだろう。
赤司に名無しさんが見当たらないから教室を見てきてくれと言われ彼女のクラスに行った。赤司の予想は当たり、名無しさんは教室にいた。たくさんイスがあるにも関わらずなぜか床に座りこんでいた。
黒子を後ろから抱きしめた状態で。

「なにしてんの?」
「……」
「ちょうど良いところに。紫原くんこの子を引っぺがしてください」
「させるか」
「どういう状況?」

首をかしげる紫原。これは一体なんなんだろうか。赤司が見たら大変なことになることに気付かないのだろうか。関係ない俺たちにまで火の粉が飛ぶというのに。いや、黒子は気付いてる。というか嫌がってるようにも見える。しかし名無しさんにがっちりとホールドされ動けないのだ。

「喧嘩したそうです」
「またぁ?名無しさんちゃんなにしたの」
「トランプタワーを作ってる途中で赤司くんに話しかけられ崩れたそうです」
「……」
「なんだその目は!謝らないんだから!ぜーったい!」

征くんが悪い!と黒子のせなかに顔をうずめ訴える名無しさん。あーあ。くだらない。

「名無しさんさん分かりましたから離してもらえますか」
「はなさぬ」
「怒りますよ」
「…新記録だったのに。なにかしてやらなきゃ気がおさまらない。そうでしょう黒子くん、紫原くん」
「え、俺も入ってんの?」
「…紫原くんがやってくれますから離してください」
「え、ほんと!」

ぱっと顔を上げた名無しさんはその言葉を待ってましたと言わんばかりに紫原を嬉々として見つめた。ようやく黒子が解放される。

「計画は僕、実行が紫原くんということで。赤司くんの前で今僕にしたことでもすれば赤司くんもこたえますよ」
「はあ?」
「ごめんなさい紫原くん。君を売ります」
「ちょ、それ俺が被害食らうじゃん!そういう時の赤ちん凄い怖いし」
「よく分からんけど黒子くんが言うから間違いないわね。それでいこう!」

よし、戻ろうか二人とも!
親指をぐっと立てウィンクをかますと廊下に出て走り出す名無しさん。向かった方向は体育館。すぐに実行する気満々だ。

「名無しさんちゃんアホの子なの!?」
「そうですよ」

即答する黒子。クラスも同じでその分一緒にいる時間が長い。随分と振り回されているのだろう。「ああいう人ですから面倒は他の人に押し付けるのが得策ですよ」と対応まで教えてくれる。

「てゆーか赤ちんが連れて戻れって言うから来たのに」
「忙しいですね」

戻りながら愚痴をこぼす。赤ちんの好きな子だから頭が良くて静かめな子だと思ってたのに。真逆じゃないか。想像よりは話しやすい子だ。静かな子より元気な方が話せそうだし。けど俺の好みじゃないなぁ。あんな子が彼女だったら…ヤダ。

「あ、来たわね。紫原くん」
「名無しさんちん、その役はミドちんがやってくれるって」

早速「押し付ける」を実行する。やる気モード全開な名無しさんはすぐに緑間を探しに行った。今の時間だと休憩しているはずだ。トモダチとしては見てて面白いなぁ。

「流石ですね。緑間くんなら、赤司くんが見ても比較的短時間で怒りがおさまりそうな相手です」
「冷静に分析する黒ちんも怖い」




こうしてあーだこーだ言いながら夢子を助ける組が誕生



おまけ

名無しさん「征くん!」
赤司「名無しさん、戻ったのか」
名無しさん「いくよ緑間くん(ぼそり)」
緑間「なにをだ?」
名無しさん「ぎゅー」
赤司「!」
緑間「!?」

名無しさん「ぎゅー」
赤司「……なにが狙いだ」
名無しさん「謝罪」
緑間「どういうことだ」
赤司「驚かせてすまなかった。今度から状況を考える。名無しさんのことも考えるよ」
名無しさん「…そ、それなら許す」←すぐ謝られて逆に動揺
緑間「おい分かるように話すのだよ!」

紫原「謝るの早っ」
黒子「よっぽど他の人に抱きつくの嫌だったんですね」



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