「黒子くんの手あったかーい」
「…放してもらえますか」
「え?」
「手に頬擦りするのやめてください」

両手でがっちりホールドしている黒子くんの左手。手のひらに頬擦りしているとぐに、と右手でほっぺを引っ張られた。いたい。「分かった分かった!」と降参し左手をはなす。小競り合いをしながらも肩で息をしているのは見て取れ、あたしは彼の肩にかかっていたタオルを取り上げ汗を拭いてあげた。

「色々と疲れるのでやめてください」
「ひどいっ!応援に来てあげたっていうのに!」
「今日試合はないですよ。それに、貴方が見学するべきなのは一軍でしょう」
「へ?なんで?」
「なんでって」

心底呆れた、と一瞥してからドリンクを煽る黒子くん。貴重な休憩時間を無駄にしてはならないとあたしは傍にあるベンチに座り隣をぺしぺし叩いた。きちんと伝わったのか黒子くんは隣に腰を下ろす。

「…赤司くんがいるのは一軍ですよ」
「そうだね」
「いまこのコートにいるのは二軍のメンバーです」
「うん。黒子くんがいるね」
「…」
「黒子くんを応援しに来たんだよ」

ぱちくりと瞬きをする彼に笑う。やっぱり親友の頑張ってる姿見たいじゃない。それなら彼の場合バスケが一番だ。体育の授業でやるくらいの知識しかないけど。あったかい手は体温が上がってる証拠だし肩で息してるのは全力で動いてるからだ。黒子くんのバスケへの熱意が伝わってくる。

「だから今度の練習試合、応援しに行っていい?」

乗り出して聞けば避けるように彼は立ち上がった。そろそろ休憩が終わる。逃げるように小走りで、彼は呟いた。

「一回だけならいいですよ」

デレきた。心の中で呟きながら彼の背中を見送る。頑張るなあ。また走る黒子くんを見てあたしは笑った。




*オマケ

黒子「初めての観戦はどうでしたか」
名無しさん「黒子くん影薄すぎて何処にいるか分からなかった」
黒子「君は実にデリカシーがないですね」


全力で応援します。
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