「なまえ」
「ん、なに?」
「今日も一緒にいてくれるんだよね?」
「…そうだよ」

征十郎くんと初めて会ってから三年。成長期だから当たり前だけど会うたびに大きくなってる。
あの日。私と過ごした誕生日のことをとても楽しそうに話してくれたと彼の両親は私に感謝した。笑って「それは良かった」った返したけど気付いて欲しい。征十郎くんが一番過ごしたかったのはあなたたちだよ。それを忘れないで。さすがに面と向かっては言えなかったけど「これから家を空ける時はなまえちゃんに頼もうか」と笑って言われたときは複雑な思いだった。けど征十郎がとても楽しそうだったと言ってくれたのは嬉しい。彼は私に懐いてくれたし、私も楽しかった。あれから本当に彼の両親たちが仕事のときは私が征十郎と一緒に過ごしている。三年目ともなると彼の好きな食べ物。色なんかも把握済みだ。しかし好物が湯豆腐っていうのには笑える。渋すぎ。
今日は彼の九歳の誕生日だ。
そして今日も、赤司家には彼と私の二人だけ。

「そういえば征十郎、今年はサンタさんになにお願いしたの?」
「サンタさんなんていないよ」
「え、」
「もう僕はそんな歳じゃないよ、なまえ。ばかにしないで」
「ええー、なんで。サンタさんはいるってー」
「なまえ…まだ信じてるの?」
「九歳児にそんな質問された私どんまい」

ちょっと思考が大人びてるけどそんな征十郎が私は好きだ。生意気な弟ができたみたい。

「ねえ、プレゼントもう一つ欲しいものがあるんだけど」
「ん?…物によるけど、言ってみな」
「そのなまえのつけてるきらきらしたの」
「ああ、これ?別にいいよ」

征十郎が指差したのはたまたま身につけていた小さくハートがデザインされた指輪。男の子がつけるには少し可愛すぎるけどただ「きらきらしているから」欲しかったらしい。手渡すと嬉しそうに指輪を色んな角度に傾けている。まだも子どもなのは変わってない。

「ありがとう」
「どういたしまして」

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