「しょうとーーー!!!」
「?」
ばたばたばた、と走ってくる音。牡丹が今週号のジャンプを抱えて走ってきていた。
…そんなに走ると多分、
「危ない―――」
べちっ!!
「いたいー!!!」
予想通り顔面から転んだ。ばっと顔を上げた牡丹の額は赤くなっている。
「ううぅ…いたすぎる」
「馬鹿。…大丈夫か」
「ば、ばかじゃない…」
牡丹は額を抑えて床に突っ伏した。多分痛いのもあるだろうが、それ以上に恥ずかしいんだろう。
「しょうとぉ…」
「…泣いてもいいぞ」
「…なくもんか」
涙目の牡丹は隣に氷塊を作り、それに額をくっつけた。随分大きなこぶになりそうだ。
「いたい、いたい、すごくいたい」
「痛そうだな」
「いたい」
「あんまり走るなよ」
「…うん…もうおそい…」
はああぁと盛大なため息をつく牡丹。こういうところは子どもと同じように泣き喚かないのが不思議だ。(自称)中身は高校生というだけはある。
「あのな、こんしゅうのをよんだんだ」
「…ああ」
「やおよろずさんつよいなぁ…かなわない」
「………」
「しょうと、かみなりくんが"ウィける"っていってた。たぶんそろそろげんかいだ」
「そうなのか」
「あれからちからをつかいすぎるとうぇーいになる」
「そうか、気をつける」
別に上鳴がアホになった時の物真似はしなくていいんだが。かわいいからそのままにしておく。
「しょうともどうようするときあるんだな。いいだくんのれしぷろばーすと…よくとったな」
「あれは予想外だったな」
「もうしょうとかっこいいよ。らいしゅうがまてない」
「あと6日だ」
「ながいなぁ…」
はあーとため息をついて氷塊に抱きつく牡丹。見てるだけで冷たそうだ。額は順調に腫れてきているな。
「しょうとのおしり」
「は」
聞きなれない単語が聞こえた。
「しょうとのおしりがかみなりくんとやおよろずさんのうでにのっている…」
「その言い方やめろ」
「しょうとのでんぶ」
「そうじゃねぇ」
「?」
「牡丹、チビになって頭がおかしくなったか」
こいつは普段そんなセクハラ発言はしないんだが。
「おかしいのかも…あたまうったし」
「致命傷だったか」
そうと知っていれば何が何でも俺がクッションになるべきだった。
「しょうとかっこいいなぁ」
「前回からそれだな」
「ぜんかいにつづきかっこよかった」
「そうか」
「…しょうと、しっぷかいにいこ」
「?」
「ひざがはれてるんだ」
ほら、と見せられた膝は青あざと共に酷く腫れていた。さっきまで隠してたのか。
「行くぞ」
「ごめんしょうと」
「いい」
牡丹を抱き上げて、部屋の電気を消して鍵を握る。痛みのせいか牡丹のテンションが低い。
「…けがしないで、しょうと」
「…気をつける」
お前が言うか、という言葉は飲み込んで。俯いた牡丹の頭を撫でた。
20150209
―――
アトガキ
ちょっと今回あっさりめです
読みましたカラー焦凍かっこよかったです
完璧轟回でした
レシプロバーストからよく奪ったな…と
轟君の驚きの反射神経でした
裸足も見れたし感無量です
上鳴の「ウィける」で笑いが止まりませんでした
峰田がいつハチマキ盗られたのか気になります
障子君の腕の中にいたのにどうしたら盗られるんだと。
梅雨ちゃん可愛いです
来週が待たれますね、出久はあそこからどうやって繋げるのか気になる…
そういう意味での牡丹の最後のセリフかなーと思います
拍手ありがとうございます
文章の糧にさせて頂きます