33話を読んだ牡丹
「ちょっとー!! しょうと! みて!」
「ん」

見せられたのは今週のカラーページだった。でかでかと緑谷が描かれている。こいつ作中じゃこんな格好滅多にしないが。

「いずくのぬーど!!」
「は」
「おなかわれてるなー」

何と言っていいかわからない表情で「ははは」と笑いながら緑谷を眺める牡丹。こいつこんな変態属性だったか。

「………」

われてる、と何度も呟く牡丹を見て、考えた。

「俺も割れてるぞ」
「ふぁ!?」

シャツ一枚捲って、自分の腹を牡丹に見せる。それなりに鍛えてるから、それなりの腹筋はあるつもりだが。

「ひゃー…」

咄嗟に牡丹は顔を覆ったが、指の隙間からがっつり見ている。正直だ。

「うわぁ、うわぁ」
「………」

そろそろと近づいてきて、ぺたぺたと触って珍しげに眺める牡丹。

「そんな珍しいもんでもないだろ」
「みていいよってみるのははじめてだ! しっかりみたことない!」
「そうだったか」

風呂は別だし、そんなに見る機会も無かったか。

「すごい、しょうとおとこらしい」

というか、小さい牡丹は随分照れないというか、積極的というか…いや、むしろ小さいからか。

「どこさわってもきんにくだー」
「…ヒーローが鍛えてなかったら話にならねぇ」
「しょうとってかっこいいしたくましいしやさしいし、けってんがないね!」
「牡丹もな」
「へ? わたしが?」
「ああ」

可愛いし客観的に見ても美人だし性格も良いし強いし、特に欠点も見当たらない。

「そっかー…ありがとう!」

わーいと嬉しそうに笑う牡丹の頭を撫でた。

「そろそろおなかがひえるぞ」

牡丹は俺に気を使ったのか、惜しそうにシャツをなおした。そのまま膝に座り、俺を見上げる。

「ちょっとざんねんなのは、しょうとのこせいだとあんまりふくがやぶけたりしないことだな」
「………」
「やおよろずさんみたいなかんじだったらいいのになー」
「お前はよく八百万を出すな」
「なんかな、なんでだろうな?」
「さぁな」
「しょうともじぶんからふくをやぶいて、きんにくをみせていくすたいるで」
「お前頭打ったとこ治ってないんだな」

ぐっと拳を握る牡丹の額を撫で、早く元に戻れと言えば私は正常だと拗ねられた。

「好きな時に見れば良いじゃねぇか、見ようと思えば見れるだろ」
「え! だって!」
「何だ」
「は、はずかしい…じゃないか!」
「見たいって言えば良いだけだろ」
「やだー! ちらっとみえてわぁいまみえちゃった! みたいなのがいい!」
「それで見える事は多分ない」

力説する牡丹に冷静に返した。何処に恥ずかしさを感じるポイントを設定しているのか全くわからない。

「えぇー…ざんねん」
「家だったら好きにしろ」

そう言って、呆れながら牡丹の頭に手を置いた。ぴく、と肩が動いたが意地になっているようで喜びはしないらしい。

「筋肉の何処がいいんだ」
「え! いいじゃないか! かっこいい!」
「それなら断然牡丹見てる方がいいけどな」
「うーん…かちかんのちがい…?」

価値観の違いで済ませていいものか。まあ話し合ったところで何も進まないので別にいいか。

「…おなかへった」
「そうか。なんか作るか」
「ほっとけーき!! あまいのたべたい!」
「ん」
「てつだう!」
「助かる」

牡丹用の小さなエプロンを手渡して、台所へと入った。

20150313















―――
アトガキ

遅くなりましたすみません!
出久のヌードに気を取られていました。嘘です。
なんか全然感想じゃない。いちゃいちゃしてるだけ。

轟のお腹絶対割れてますよね出久が割れてて焦凍が割れてないなんてそんな訳あるか!と思って。

個性って完全に運要素なので心操くんの言うことには色々と考えさせられてしまいました
n番煎じですが、「出久は勝ち取ったもの」「勝己は恵まれたもの」「焦凍は持たされたもの」、というのは本当に的を射ていると思います。というかそのままですね

拍手ありがとうございました
文章の糧にさせて頂きます


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