看守視点





「牡丹、体操すんぞ」
「はーい!」

カシャンと覗き窓を開けて眺める風景。いつもやっていることなのに、久し振りに感じて感動してしまった。

…くそ、ホースの故障さえ無ければな…あんな目やこんな目に合わなかったのに…!

情けなさ過ぎて俺を見捨てた他の四人の看守を恨む気にもならねぇ。

「はい腕上げてー下げてー」
「いち、にー、さん、しー」
「はい腕振ってー」
「いち、にー、さん、しー」
「ジャンプ」
「いっち、にっ、さんっ、しっ!」

胸が揺れてる。牡丹って小さい割に胸はあるんだよなあ…。

「腰曲げてー上見てー」
「いーちにー、さん、しー」

あーあー胸が。きらきらする瞳が胸を見るのに罪悪感を抱かせるんだなーとかどこか冷静に分析。

まあなんで冷静な自分がいるかというと、視線の合わない雑誌越しでもNo.04からの溢れ出る殺気を感じているからだ。ちょっとでも変なことしてみろ、殺されるぜ、俺。

「かんしゅ、つぎはー?」
「あ、次は体を大きく回すやつな」
「はーいいーちにー、さーんしー」

駄目だ、集中しろ俺。牡丹がいくら可愛いくても、こいつはもう男がいるも同然だ。

てかなにを思ってるんだ俺は。まるで失恋した男子高校生みたいな…

「かんしゅ、つぎ!」

ベシィ!

「いってぇ!!」
「…真面目にやれ」
「わかってるわ!!」

くっそ、ちょっと気を抜いたらこれだ。

…何かと思えばコマネチか。顔赤らめんな。

「次! 深呼吸で終わり!」
「いーちにー「深呼吸に数はいらねぇ」はーい」

すーはーと深呼吸。

「かんしゅ、おみずー」
「おう、お疲れ」

ありがとー、と水を飲み干す牡丹。最近は特に、会話が出来る様になったな。どこから覚えてくるのか知らないが。No.04は大体俺が教えてるものだと思ってるが、俺が教えてないものも多い。

「…なあ、牡丹」
「?」
「お前、誰に言葉教えてもらってんだ? 俺とNo.04以外にいるな?」
「…あれー」

あれ、と牡丹が天井を指した。

…まさかな。

「………」

バキィッ
ドサァ

「…お前には引くわ」
「…クソが」

話を聞いていたNo.04が天井に本を投げれば、板が外れてロウドフが頭から落下した。こいつのロリコン具合には恐れ入る。

「…一応、牡丹が危険な目に合わねぇようにこの部屋にするって話し合いで決めたよな?」

何故か正座のロウドフ。

「…これは誤解だ、俺は牡丹に危害を加えていない」
「合法ロリだとか思ってんじゃねぇよな?」
「思ってない!」
「ろうどふ、ぱしゃぱしゃする」
「うん、やっぱりか」

絶妙なタイミングで牡丹から証言を得た。こいつは教える代わりに写真を撮りためてたんだな。

もうNo.04は限界みたいだし、ここは言葉少なめに。

「…まあ、お前の事はよく伝えておくから」

安心して逝けよ、そう言い終わる前にNo.04の手によってロウドフは逝った。

「牡丹、気を付けろよ。No.04に依存してちゃあその内変な奴にやられんぞ」
「だいじょうぶ!」
「その自信はどっからくるんだ」

ぴょん、とNo.04の隣に座って破顔する牡丹。あーもう、やっぱこいつ可愛いわ。まだ自分が常識人でよかった。

「…じゃあ俺はこれで」

ドアから出て、ロウドフ(だったもの)を引きずってボックスへと帰る。No.04が、

「…カメラを叩き潰せ」

と呟いたのが聞こえたのでカメラも持ち帰る。一応データを見たが酷いもんだった。そんなに牡丹の写真が欲しいか。

「りょーかい」

そう言って、今度こそ本当にドアを閉めた。

20150127















―――
アトガキ

春休みに入ったのと、なぜか文章がよく進むので更新頻度をあげてます

学校始まったら更新遅くなって目指せ月1とか言い出すので今のうちに

新しいタイトルを取り扱い始めたせいか、アクセス数がすごい勢いで増えています
沢山の人に見てもらえるのは嬉しいのですが、きれぷりのヒロインが変わり者すぎて晒されてるのではと心配になったり

そういうのを見かけた方はご報告下さると嬉しいです

杞憂だといいのですが…

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