03



掃除をして2時間ほど経っただろうか。
途中、リヴァイは会議があると言って出て行った。
戻って来るまで続けていろとの指示があった。
こんな狭い部屋、2時間もかけて掃除するものなのか…と思いながらも無心で掃除を続け、やっと終わったと一息したところにドアをノックする音が聞こえた。
返事をするとリヴァイが入ってきた。

「終わったか」
『はい、いかがでしょう』

リヴァイは一通りチェックすると「いいだろう」と返事が返って来た。
花子は疲れがドッときて、ベットにストンと座った。

「初めてにしては上出来だな」
『お褒めいただき感謝します…』

そりゃ2時間も掃除すりゃね…と心の中で思いながら苦笑いした。

「早速だが」
『げっ……まだ何か?』

今日はもう疲れた、終わりでよくない?と思い、つい口に出てしまっていた。
リヴァイは「あぁ?」とまた鋭い目で花子をギロリと睨んだ。

『ナンデモナイデス……』
「さっきの会議で俺に特別作戦班というのができる予定だ。決定後、さっき穴を塞いだエレンという奴の監視をするために、旧調査兵団本部へ向かう。お前も同行だ」
『(リヴァイ班の所か…)わかりました』
「明日からビシバシ鍛えてやる。覚悟しておけよ」
『……』

花子が引きつる顔で見上げると「文句あんのか?」と睨んで来た。

『いえ……リヴァイ兵士長直々のご指導光栄デス……』
「明日からのために今日はもう休め。それから…」

まだ何かあるの!?と思った瞬間、勢いよくドアが開く音がした。

「やぁ!!君が異世界から来た花子かい!?」
「……オイ、クソメガネ。ノックぐらいしやがれ」
「リヴァイ、君はいつもそうだろ?そっくりそのままお返しするよ」
「チッ…」

ハンジさんだ…!と感動しているとハンジが再び花子に目を向けた。

「うひょ〜!噂通り可愛いじゃないか!やっぱ東洋人って整ってるんだね。リヴァイ、こんな可愛い補佐官が付いて羨ましいよ!!」
「いちいちうるせぇな……。オイ、花子」
『あ、はい!』
「さっきの話の続きだが、身の回りの事はコイツに頼んである」

同性の方が話しやすいだろ、と付け加え背を向けて歩いていた。

ちょっとした心遣いが、やはり自分の知ってる優しいリヴァイ兵長だった事に、自然と笑みが溢れた。

『リヴァイ兵長!』
「なんだ」
『ありがとうございました!』

リヴァイはフンッと鼻を鳴らし、部屋を出ていった。

「ごめんね〜リヴァイっていつもあんな感じだから気にしないで」
『まぁ、確かに怖いですが、優しいのは知っていますから』
「え、この短時間でリヴァイを理解したの?あ、自己紹介まだだったね。私はハンジ、よろしくね!」
『あ、はい!よろしくお願いしますハンジさん!』

そして本題に入り、兵団服の支給場所、食堂、お風呂について教えてもらった。
今日の夕飯は一緒に食べよう、と言ってくれた。

「じゃ、夕飯時間までゆっくりしてて。また迎えに来るよ!何かあれば、私の部屋は団長室の向こう側にあるから遠慮なく来てね」
『はい!何から何までありがとうございます!』

そしてハンジが静かに部屋を出て行くと、緊張から解放され、ベットにダイブした。

『いった!』

想像していた以上にベットは固く、顔面を強く打ってしまった。

『ていうか、横になったら絶対起きれなくなっちゃう……せめてソファーに座ろう……』

花子はガバッと起き上がると、ソファーに移動した。
しかし、消耗した体ではソファーでも寝れそう……と顔を歪めた。
これではマズイと思い、すぐ立ち上がった。


なんとか眠気と戦い、外を見ると太陽は傾いて、空は綺麗な夕焼けに染まっていた。
夕食の時間になって迎えに来てくれたのかコンコンとドアがなった。
てっきりハンジが来てくれるのだろうと思っていたので、予想外の人物に驚いた。

『!!(ニファ!?)』
「花子さんですよね?初めまして。私、ハンジ分隊長の部下のニファと申します。夕食の時間になったので、お迎えに来ました!」
『はい、初めまして!』
「お食事、ご用意出来てますのでこちらへ」

ニファの後ろを着いて行くと、食堂ではなくどうやらハンジの部屋のようだった。

『ハンジさんの部屋?』
「あ、はい。花子さんはまだ正式に入団していないので、他の兵士からの目もあって食べにくいのではと、分隊長が」
『なるほど』

そしてニファがドアを開けると、もう1人座っているのに気付いた。
そしてハンジが笑顔で迎えてくれた。

「やぁ花子、待ってたよ!」
『なんだか、色々気を使わせてしまって……』
「何を言ってるの!あ、この人は私の班のメンバーなんだ。紹介するね」

ハンジさんの隣に居るの男性、モブリットさんを紹介してくれた。
モブリットさんは爽やかな笑顔で「よろしく」と挨拶してくれたので、私も自然と笑顔で挨拶を返した。

食事をしながら会話をしていると、どうやらモブリットさんとニファは花子が異世界から来たというのは知らないようだった。

「ところで花子さん、来たばかりで生活用品は揃っているのですか?」
『あ……そういえば…』

自分の事なのにすっかり忘れていた。
私服や下着、スキンケア用品すらないのだった。
若いのにニファはしっかりしてるなぁ、と感心している場合ではない。

「ニファ、確か君、明日は非番だったよね?」
「あ、はいそうです。一緒に買ってきましょうか?」
「頼めるかい?」
「はい、予定もなかったのでお安い御用です」
『え、いや、ニファ!せっかくの休みに申し訳ないよ……』

ハンジとニファでどんどん話が進むので、途中で花子が申し訳なさそうに加入した。

「大丈夫ですよ!女性同士の方が行きやすいと思いますし!花子さん、任せてください!」
『この借りはいずれ返すからね!ありがとう!……あ』
「どうしたの、花子?」
『そういえば、明日からリヴァイ兵長と訓練って言われてたんでした……』
「んじゃ私からリヴァイに言っておくから!」

リヴァイに許可を貰わなくていいのだろうか、と思いながらも、お言葉に甘えてお願いした。

「では花子さん。明日朝お迎えに行きますので準備していてくださいね!」
『分かった。明日はよろしくね、ニファ』

夕食の後片付けもやってくれて、明日の着る服まで貸してくれて。こんな出来る子、中々居ないなと思いながら部屋へ戻った。

『は〜〜……疲れた……』

花子は部屋に入ると、ベットに吸い込まれるように真っ直ぐベットへとダイブした。

『いてっ……。やっぱり硬い……』

ベットに伏せた途端、瞼が重くなり、このまま寝れる、と花子は思った。

『(色々約束してしまったけど、寝て起きたらきっと現実世界なんだろうなぁ……)』

少しの時間だったけど、楽しかったなぁ……
最後の最後にリヴァイ兵長に会えばよかったかも、と思うと同時にそこで意識が途切れた。


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21.04.28

あまり進まずすみません……
お風呂の事書こうと思いましたが、面倒くさくてやめました(笑)

ニファ結構好きなので早速登場させました!

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