01



耳を澄ませると、風の中を横切っているような音が聞こえた。
重い瞼をゆっくり持ち上げると、視界は真っ白だった。

そして、体は地面に着いている感覚はなく、自分が急降下していると気付くには時間がかからなかった。
どうやら空から地上に向かって真っ逆さまに落ちている。

真っ白な風景は、雲の中だった。

『ちょっ!?なんで落ちてるの!?』

夢!?私寝てたよね!?
そして更に、自分の格好に驚いた。

『え!?なんで兵団服!?立体起動装置まで!?』

パジャマだったはずなのに、進撃の巨人に出てくる兵団服を見にまとっていた。
コスプレにしてはしっかりした兵団服、かつ、立体機動装置は作り物ではく本物のようだった。

『つまり私は今、巨人の夢を見てるの…?』

そんな事をぼんやり思っていると、白い視界が薄くなって行き、地上が見えてきた。
目をよく凝らすと、壁で覆われている街が見えてきた。
そして、あちこちから大きな煙がモクモクと湧き上がっていた。

『これってもしかして…大型の巨人が壁を壊したあたり?』

そして横を見ると、無数の集団が壁に向かっているのが見えた。
緑のマントの後ろには、調査兵団の自由の翼の紋章らしき物が見えた。

『エレンが穴を塞ぐ所か?…』

どんどん地上の状況が見えてきた。
花子はガスをふかしながら、到達位置を調整していく。
巨人化したエレンが大きな岩を持っているのが目に入った。

『せめて、塞いだ後に間に合って!』







一方、ウォール・ローゼの壁に向かっている調査兵団の一人が、
花子の存在に気付き、エルヴィン団長へ報告した。

「団長!!空から誰かが落ちて来ています!!!」
「何だ、あれは…」
「鳥か?にしても急降下しすぎだろ」

エルヴィンの隣にいたリヴァイは聞いた。

「鳥ではない。兵団服を着ている」
「あ?そもそも、あんな高さから降りてくる事も不可能だぞ。奴は何者だ」
「とにかく、我々も急ごう。何かが起こっているのは間違いない」
「了解だ、エルヴィン」







「いけぇぇエレン!!」


大きな音を立て、無事穴が塞がれた。

「皆……死んだ甲斐があったな…。人類が今日…初めて…巨人に勝ったよ…」

リコは黄色の煙弾を打ち上げた。
そしてエレンの回収に移るが、体が一体化していて中々取れず苦戦していた。
リコは躊躇なく切ると、その反動でアルミンとエレンは地面に落ちてしまった。
その陰には2体の巨人が迫っていた。


しかし、一瞬でその2体は倒れたのだった。

「ミカサ!?」
「え?」

アルミンはミカサが倒してくれたのだと思ったが、アルミンは目の前の人物を見て、ミカサではない事に気付く。

「あれは…自由の…翼…?」
『ギリギリセーフ…皆無事?』

花子は被っていたフードを外すと4人に声をかけた。

「あ…はい」
「助けて下さってありがとうございます」

ミカサ、アルミンは驚きを隠すも、冷静に答えた。

「お前、見ない顔だな。そもそも何故ここに調査兵団が?」

リコは壁外調査に行っている調査兵団がいるのか疑問に持ち、疑いの目で花子を睨んだ。

『えーっと…実は訳ありで』
「オイ…ガキ共…これは…どういう状況だ?」

スタッと1人の男性が花子の横に降り立った。
そう、愛してやまない推しキャラが目の前に現れ、花子は大きく目を見開いた。

「そして、今の巨人2体同時に倒したのはお前か?」
『えっと……はい』
「調査兵団のマント…見ない顔だな」
『(ヤバイ、どう説明しよう…)』

地上に降りたのはいいものの、どう説明するかまでは考えていなかった。そもそも私もこんな所にいるのかも分からないし。夢だし?
花子は冷や汗をかきながら目を泳がしていると、より鋭い目で睨まれた。

「おい、どこの班のやつだ。答えろ」
『えーっと…』
「リヴァイ!!この状況は?」
「エルヴィン。どうもこうもねぇ。壁が破壊されてこのザマだ」

そこにエルヴィン団長が現れ、この状況をリヴァイが説明していた。
リヴァイが、この巨人2体はコイツがやった、と伝えるとエルヴィンの目は花子の方に向けられた。

「君は?」
『えーっと…訳ありでここにいます』

気不味い雰囲気に、質問を濁すように答えた。

「そうか。とにかく、話は後でだ。今は壁内にいる巨人の対応だ」
「了解だ、エルヴィン」

エルヴィンの指示を聞くと、リヴァイは急いで巨人の討伐に向かった。

「君も戦えるのならば、よろしく頼む」
『…はい!!』


状況が状況だからか、エルヴィンは何も疑う事なく花子にも指示を出した。
まさか、応援を頼まれると思っていなかった花子は驚いた。
しかし、ここまで来た以上、責任持ってやり遂げようと決め、花子も巨人の元へと急いだ。

花子は、目の前の巨人の体にアンカーを放ち、うなじを削ぐ。
何故こんなにも動けるのか、不思議に思いながら討伐していった。
あ、夢だからか。と、自分で納得出来た。

自分が倒した巨人が家に寄りかかるように倒れた拍子に、がれきが散らばった。
その瓦礫が飛んできて、花子の頬をかすり、スーッと血が垂れた。

『え…痛い……』

夢のはずなのに痛い…と、複雑な気分になり、その場を立ち尽くしていた。

そして、その後は調査兵団と駐屯兵団工兵部の活躍により、ウォール・ローゼは再び巨人の進入を阻んだ。


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21.04.08

夢主、好都合過ぎ(笑)
自分は推しキャラに会えたらどうなるんでしょう。
好きって言ってしまうかも(笑)




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