あの日、私たちは恋人になって、予想外の出来事に、一番驚いていたのは多分私。
想いが通じあった後、手を握り合って、それだけ。
もう夜も更けていたから、女部屋の前まで送ってくれたゾロは、おやすみ、そう言って額に触れるだけのキスをくれた。
これ以上は我慢できなくなっちまうから、そう、掠れた声で言われて、お腹の奥がずくんと熱くなったのは内緒だ。
顔を真っ赤にして女部屋に駆け込んできた私を見て一頻り笑ったロビンは、私見張りに行ってもいいわよ、なんて言っていたけどそれを丁重にお断りしてベッドに潜り込んだ。
想いが伝わって嬉しくて、そうすると今度は妙に目が冴えてしまってなかなか眠気は訪れない。
なんだか眠れない、そう呟くとうつ伏せに本を読んでいたロビンが顔を上げて、それはあれね、明日の遠足を喜ぶ子どもみたいに、わくわくしてるんじゃない、そう言った。
そうかな、そうなのかな、そんな風に返事をして、その後も何やら話していたと思うのたけど、いつの間にか私の意識は途切れていて、夢の中に落ちていってしまった。


翌朝、ダイニングで紅茶を飲みながらいつも通り新聞を読む。
みんながパラパラとやって来ておはようが飛び交う中、ゾロの声が聞こえた。
おはよう、そう言われて、ポンと頭を撫でられたら昨夜のことが思い出されて、一気に顔に熱が集まる。
そんな私の様子を見てクスクス笑うロビンと、え?!お前らまさか!と騒ぐウソップと、泣きながら祝福してくるサンジ君とで、朝食の席はいつも以上に大混乱だった。
ルフィの、お前らやっとかー、ゾロ!ナミを泣かせんなよ!なんて言葉に驚いて、(だってルフィに気づかれているとは思わなかった)目を丸くする。
いつにもまして騒がしいなか朝食は終わった。
お茶を飲んで一息ついた時、チョッパーが口を開く。
なぁゾロ、ナミ、まだ子どもとか考えてねェなら、避妊はちゃんとしなくちゃダメだぞ?
それに危うくお茶を吹き出しそうになったら次の爆弾がすぐに投げ込まれる。
そっかー。ゾロとナミはセックスすんのか!いいなー。おれも混ぜてくれよ!
なんて、ルフィの声。
サンジ君の怒号、あまり免疫のないウソップはそっぽを向いて、大人組は余裕の表情で笑ってる。
ルフィになぁなぁと袖を引かれ、どうしたものかと視線を巡らせると、呆れ顔のゾロと目が合った。
苦笑いを返されると、またお腹の奥が熱く感じて、それと同時に、無意識に、私は口を開いていた。

「あのね、ただたださわりたくて、キスしたくて、抱きたくて、少しでも近くに行きたくてたまらなくて、一方的にでもなんでも、涙がでるほどしたくて、今すぐ、ゾロとだけ、ゾロじゃなければ嫌だ。それが恋なの。私、恋してる人としか、できないわ」

自分でもびっくりする程すんなり出た言葉は、すとんと自分の胸に落ちてきた。
そうだ、ゾロだけ。
これが、恋、うん、そう。
ルフィは私の言葉に、そっかーじゃあしょうがねぇなーと笑う。
お熱いわね、なんて笑われて冷やかされて、どうやらかなり恥ずかしいことを言ってしまったらしいと我に返ったけどまぁいい。
またゾロは、あの時みたいに顔を赤くしてそれを手で隠すように覆っていた。
ため息を吐いたゾロは、私の手を取り言う。
お前そういうことは、2人っきりの時に言えよな。
2人っきりで何をするんだか、ウソップが呆れ顔でそう言って、だから私も、もうどうにでもなれと、とびっきりの笑顔で返した。

とってもとっても、素敵なことよ?




本当はただたださわりたくて、キスしたくて、抱きたくて、少しでも近くに行きたくてたまらなくて一方的にでもなんでも、涙がでるほどしたくて、今すぐ、その人とだけ、その人じゃなければ嫌だ。それが恋だった。思い出した。












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