寒い外から暖かくてふわふわのベッドに入って幸せ、なんて思ってたのに、なんだか寝付けない。
ロビンにお休みと声をかけたのは確か10時頃だったはずだ。
何度も寝返りをうっていたら気づくと時計の針はもう12時を指している。
早く寝なくちゃお肌に悪いし、明日も早いのに、と焦るとますます眠れない。
じゃあいっそ起きててやろうかとも思ったけど、明日からまた天候が荒れそうなのに夜通し起きていて体力が持つ自信もない。
こんな時はそうだ、

「ロビーン…」

お姉さまに甘えてしまえ。
ロビンの布団に潜り込み背中にぴたりとくっつく。
身じろぎをしたロビンは私の方に寝返りを打つと、寝ていたところを起こされたのにも関わらず、不機嫌な様子もなく綺麗な笑顔を向けてくれた。
さすがロビン。
私だったらすごく怒るはずだ。

「どうしたのナミ。また眠れないの?」
「…うん。起こしちゃってごめんね」

甘えるように擦り寄り、背中に腕を回しぎゅっと抱き着く。
ロビンはいいのよ、と笑って言って、頬を包み込むように撫でてくれた。
その心地よさに自然と頬が緩む。

「眠れないなら、少しお喋りでもしましょうか」

ロビンも背に手を添えて、あやすようにぽん、ぽん、と背中を叩いてくれる。
暖かくて、いい匂いがして、こうしてロビンに甘やかされるのが私は好き。

「なにか心配事?」
「うーん…なんだろ…。うちの船の財政難は心配よ?それに…この先どうなるんだろうっていう不安は常にあるけど…なんだろう、理由もよく分からないけど胸がざわざわして目が冴えちゃって…」
「そう…。大きな理由もなく不安になったり、なんだかどきどきして眠れないことはあるわよね」
「ロビンも?」
「もちろん。今はそんなことも少なくなったけど、昔はたくさんあったわ。考え始めると止まらなくなってしまったりね」
「そう!そうよね!寝よう寝ようって思うのに変なことばっかり考えちゃって本当に眠れないんだもん!」

ロビンも同じことがあったんだ。
そう言われると何だか少し安心できる。
未だ眠気は訪れないけれど、一人で眠れない夜を悶々と過ごすより、ロビンが側にいてくれるだけでずっと楽になる。

「はぁ…上手く寝付ける方法、ないかなぁ…」
「眠れないなら別に、眠らなければいいわ。朝になって、それで眠くなったら眠ればいいじゃない」

ため息まじりに呟いたそれに返ってきたのは意外な言葉で、驚いてロビンを見たけど平然としている。
ロビンなら夜更かしは体に悪いから早く寝なさいなんて言うかと思ったのに。

「…明日、天気が荒れそうなのよ?睡眠不足でふらふらのままじゃみんなに指示出せないし…」
「大丈夫よ。なんとかなるものだわ。確かにナミの航海術なしに海を渡るのは危険だけど、そんなものも跳ね飛ばせるくらい、頼もしい仲間たちがいるでしょう?」

私の背中を優しく叩くロビンはにっこり笑うと、こう言った。

「もっと頼っていいのよ、ナミ」

そのまま頭を撫でられると、なんだかロビンがベルメールさんみたいな気がして、涙が出そうになる。
返事は出来なくて、頷くと鼻をすすった。
多分涙目になっているなぁ、と一人思いながらロビンの顔を見つめる。

「なにか、お話して」
「…そうね。それじゃあ、東の海の童話なんてどう?昔、昔…」

暖かい体温と、安心できる声に包まれて、私は、いつの間にか眠りに落ちていった。

無条件の優しさと愛をくれるロビンが、私は好き。





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