「君は何がしたいんだい?」
「はあ…私にもさっぱり」
隣で盛大に溜息を吐いたリドルを杖で突っつこうとしたのにその前にさらりと避けられた。
リドルの前には見事に変身したモルモットが眠っている。
私の前には羽が生えて嘴があるハムスターのような生き物が変な声で鳴いていた。
因みにどうしてこうなったかは呪文を唱えた私にもさっぱり解らない。
「気持ち悪いんだけど」
「私も思う」
リドルが杖を振ると奇妙な生き物が元のホロホロ鳥に戻った。
気のせいか、何とも言えない瞳でホロホロ鳥が睨んでいる気がする。
隣で馬鹿にするように鼻で笑ったリドルはさっさとモルモットを提出しに行った。
残された私はもう一度ホロホロ鳥に呪文を唱えたけれどやっぱり結果は同じ。
「君はその生き物が好きなのかい?」
「まさか!助けてトムー!」
「トムって呼ぶな」
「すみません」
ギロリと睨まれて慌てて謝るとリドルが原理を説明し始めた。
真剣に聞いていたのにリドルの口から出たのは気持ち悪いという言葉。
これは間違いなく言葉の暴力だと思うのです。
思うだけで決して口には出さない。
「ほら、やってみて」
「はーい」
三度目の呪文でホロホロ鳥は羽根の生えたモルモットになった。
リドルは溜息吐いたけれどまあ良くなったんじゃない?と聞こえたからよしとしよう。
(20121207-20130319)
ホロホロ鳥の憂鬱