ぐるぐるとマフラーを巻くと暖かさにホッとする。
ニット帽と手袋も忘れず、しっかり防寒をして校庭を歩く。
たっぷりの雪が積もった校庭を進むのは少し難しい。
もう少し人が何人も歩けばまた別なんだろう。
ハグリッドなら一人だけでも良いかもしれない。


すっかり真っ白になったローブを見て楽しくなる。
後ろを振り返ると私が通ってきた跡が残っていた。
他は綺麗なままの、まだ誰も歩いていない証。
また前を向いて、どんどん進む。


好きなだけ跡を付けて少し休憩しようと杖で雪を溶かす。
スコップが無くても雪の無い場所を作れるから魔法は便利だ。


「おはよう。何してるの?」

「あ、おはよう」

「この跡、一人でやったの?」

「うん、そう」


同じようにマフラーをぐるぐる巻いたビルは私の付けた跡を眺める。
マフラーのせいで顔が半分しか見えない。
でも何となく苦笑いを浮かべているんじゃないかと思う。
寒そうに腕を組んでいるのを見て瓶を出現させ炎をその中に入れた。
ビルが腰を下ろしたのを見てそれを二人が暖まれる場所に置く。


「上から見えたから来てみたけど、跡付けて遊んでただけ?」

「うん。だって足跡も何も付いてなかったから」


呆れたように笑ったビルが杖を振るとココアが現れて、持つと手袋をしているのに温かさが伝わる。
私の手が冷えているのがココアが温かすぎるのか。
ゴブレットを両手で包み込んで暫く温かさを堪能する。
一口飲むと甘くて温かくてホッとするのと同時に元気になれる気がした。


「手袋忘れてきたの?」

「ああ……うん。早くしないと、他の人が来そうな気がして」

「えー?寒いし誰も来ないよ」

「そうかもしれないけどね。でも、せっかく二人きりになれるんだから、逃したら後悔する」


ビルの言葉を反芻して、そして場所を移動する。
少しだけあった距離は無くなってピッタリとくっつく。
頭はちょうど良い高さにあるビルの肩に乗せてみる。
すると手袋をしていない手が頭を撫でて、頬を滑り唇に辿り着く。
顔を掬い上げられ、目に入ったビルの顔は何だかキラキラして見えた。
触れるだけのキスをして、再び肩に頭を乗せる。
それだけで暖かくなったような気がするから私は単純だ。




(20141115-20150527)
新雪の魔法
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