魔法薬学の本をパラパラ捲りながら参考になりそうなページを探す。
スラグホーン先生の好きな魔法薬というテーマのレポート。
魔法薬があまり得意ではない私には悩んでしまう課題。
パラパラとページを行ったり来たり、何度も繰り返していた。


「まだやってたのか」


声とソファが揺れた弾みで本が閉じられる。
隣に座ったその人を見て溜息を吐く。
厨房へ行くと出て行った通り何やら沢山持っていた。
飲む?と聞かれたかぼちゃジュースを受け取って再び本を開く。


「適当にそれっぽいの選べば良いだろ」

「だって好きな理由を書かなきゃいけないのよ。適当に選んだら理由に困るし」


ふぅんと思考を巡らせた様に見える返事。
手はクッキーを運んでいて口はもぐもぐと動いている。
香りからしてコーヒー風味なのだろう。
コーヒーの香りにそそられながらまた数ページ捲る。


「名前」

「ん?」

「明日手伝うからさぁ、少し歩こうぜ」


ニッと笑うシリウスに、確かに課題は進まないしと納得して一度部屋に戻った。
再び談話室に戻り横に並んで廊下へと進んでいく。
話題はやっぱり魔法薬の課題の事で、あれやこれや名前が出てきた。
けれどこれという物が思い付かず、がっくりとしてしまう。
明日は完成させようと意気込んだ時いつの間にか湖に来ていた。
促されるまま座ると、直ぐ横にシリウスが座る。


「なあ、名前、あの…ハッフルパフのやつとは、別れたのか?」

「うん、だいぶ前に」


先程貰ったかぼちゃジュースを一口飲む。
そうか、と小声で聞こえて何と答えて良いか解らなかった。
かなり応援してくれていた為言い出せなかったのは確か。
リリーか誰かに聞いたのだろう。
なんとなく気まずくなってしまってまたかぼちゃジュースを一口。


「今は、そういう相手は居るのか?」

「居ないわ。シリウスみたいにモテないし」

「じゃあ、さ…俺なんかどう?」


思わずシリウスを見てその真剣な瞳に再び驚く。
言葉に驚いたけれど、冗談だなんて言ってくれない。
頭の中でシリウスの言葉がぐるぐると回っている。
考えてくれと言われたような気がした。


道程は静かで、シリウスが合言葉を言った事で談話室に着いた事を知る。
談話室は出た時よりも人が多い。
けれど、賑やかな声も余り耳に入ってこなかった。

「名前、明日魔法薬のレポートな」


シリウスの声だけがはっきり飛び込んでくる。
短く返事をして自分の部屋へと駆け戻った。
ベッドに倒れ込むと何度も何度も湖での声が頭の中で響く。
その度に足をバタバタさせて布団にくるまる。


シリウスに向かって何か叫びたいような、このままこの気持ちのまま眠りたいような複雑な気持ちだった。




(20120119)
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