談話室の窓際にある椅子に座って机に上半身を預けた。
今日は珍しく晴れたから、こうして窓の方を向けば青空がよく見える。
見下ろすと太陽の光でキラキラ光る雪景色が広がっているだろう。
寒くさえなければ禁じられた森を散歩したいところだ。
勿論、森の中には入れないからギリギリの所を。


暖かい談話室で更に太陽の暖かさも加わる。
ぽかぽかとしてきてそれだけで幸せな気分だ。
やっぱり太陽っていうのは人間の生活に欠かせない。
晴れていればそれだけで気分が良くなる。
ひなたぼっこを楽しもうと瞼を閉じた時、控え目にコンコンと音がした。


「向かい側、座っても良い?」

「その声はリーマスね。勿論良いわよ」

「有難う」


椅子を引き摺る音、服が擦れる音、そして紙が捲られる音。
どうやら此処に座って読書をするらしい。
それならば、このままひなたぼっこが出来る。


定期的に聞こえる紙を捲る音と他の生徒の話し声。
ぽかぽかとしてボーッとした意識で聞くと全部が良い感じに子守歌に聞こえる。
心地良くて、このまま瞼を閉じていると眠ってしまえるかもしれない。
けれど、突然私の名前を呼んだリーマスに意識が呼び戻された。


「此処で寝ると風邪ひくよ」

「うん。寝ないから、大丈夫」

「声が眠そうだけど」


ふふ、と笑うリーマスの声。
そして髪の毛の間に指が滑り込んでくる。
一房持ち上げては零れるままに落とす、を何度か繰り返す。
今までされるが儘になっていた頭を上げるとリーマスは微笑んでいた。
優しいその笑みはまるで太陽の光みたいだと、ぼんやり思う。
ぽかぽかとして、幸せな気分になる。


「残念、顔上げちゃった」

「私の髪の毛と仲良くしたいなら、私が昼寝してる時を狙うと良いわ」

「そうだね、次はそうするよ。でも今は名前とが良いな」

「本はもう良いの?」

「うん。真剣に読んでた訳じゃないし」


そう言いながら机に置いてある本の表紙を撫でるリーマス。
手を伸ばしてその手に触れるとぎゅっと握られる。
けして痛くはなく、でも離す気は無いようにしっかりと。
指と指が絡み合って、まるで恋人同士のようだなぁ、とぼんやり思う。


「名前の手は小さいね」

「リーマスの手が大きいのよ」

「そうかも」


くすくすと笑うリーマスの声が耳に優しく届く。
気が付けば私の口からもふふふと声が零れていた。




(20140228)
きみはひだまり
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