人気の無い湖の側は今陽が当たっていて暖かい。
目当ての人物を探しに来たら案の定此処に居た。
寝転がっている為ローブに芝生が付いている。
寝ているのを起こさないように隣に静かに座った。


暫く眺めていたけれど、なんとなく手を伸ばして頬に触れる。
柔らかくてとても触り心地が良い。
何度触っても飽きない触り心地。
軽く摘むと閉じていた瞼がパチと開いた。
そしてニコッと笑った顔はとても寝起きだとは思えない。


「女の子の寝込みを襲うなんて、シリウスのケダモノー」

「お前、寝てたんじゃ…って俺は襲ってねえよ!」


騙されたような気分で拗ねたように返す。
名前はくすくすと可笑しそうに笑って俺の足を叩く。
叩かれた足を胡座にすると名前の頭が乗る。
その頭を撫でてやると気持ち良さそうに笑う。
可愛くて可愛くて仕方がない。


「シリウスの夢を見てたの」

「俺?」

「あ、内容は秘密よ?目が覚めてしまったからもう一度見れないかと思って目を閉じてたんだけど」


そこにシリウスが来たの、とまたニコッと笑う。
という事は俺が此処に来た時から起きていたという事。
気付かないフリをしていた名前に少しムッとして頬を摘む。
さっきよりも少しだけ力を込めて。
その手をパシッと軽く叩かれて名前がくすくす笑った。


「エバンズが探してたぞ」

「え?何かしら」

「さあな」

「ジェームズの事かしら」


うーん、と言いながら俺の膝の上でゴロゴロし出す。
思い描いた親友の姿に苦笑いしてそれを打ち消した。
エバンズに迫って追い返されているに違いない。
部屋に戻ればきっと事細かに聞かされる。
多分名前も同じなのだろう。


「あの二人って、お似合いだと思うの」

「そうか?」


またくすくすと笑いながら起き上がった名前はスカートを叩く。
その動作を眺めてから立ち上がってローブを叩いてやる。
パラパラと落ちていく草は芝生に紛れて消えていった。


「リリーも大事だけど、なるべくゆっくり戻りましょうか」


俺の腕を抱いて名前はグリフィンドール塔への遠回りを始める。
満足そうな笑みは俺もしっかりと満足させていく。




(20120329)
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