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以下拍手ありがとう小説です
現パロというか田舎パロな承吉良その7です






舗装されていない道を車が突き進む。
がたがたがたがた、と揺れるのは、タイヤの下でいくつもの小石がぶつかり合っているからだ。獣道とまでは行かなくても少なくとも一般的ではないように思われそうな道の左右には延々と林が広がっており、灯りと呼べるものはほとんどない。だがこの一か月弱、吉良の家が新たな灯りと言ってもいいように思えた。
それは基本的に空条の方が先に帰り家の電気をつけていてくれるからだ。だが、今日は近づいた吉良邸に灯りは灯っていない。何も言わないから、てっきり今日は先に帰っていると思っていたんだけどな、と内心思いながら吉良は暗いなか車を停めた。

「ただいま」

暗い家の中はしんと静まり返っている。まるで、時が止まっているようだと感じた。こんな風に思うなんていつぶりだろうか、と吉良はふと考えてしまう。
二年より少し前に、父が亡くなった。葬式が終わるまでは本家からの者だとか親戚だとか父の古い付き合いだとかがばたばたとしていて逆にうるさいくらいだったが、全てが終わり来賓が全員帰ると、家は酷く静まっていた。
その時と同じなのだ。あいにく、周りとはあまり親交を深めないタイプで、休日にわざわざ会うような者はいないからか誰もいない家と仕事をする為だけの会社を行ったり来たりする毎日はまるでプログラムされた動作を繰り返すだけでしかなかった。
そこまで考え、吉良にとって承太郎が一体自分にとって何なのかわからなくなってきた。
最初は押しかけられ、とんだ変な奴もいるものだなと思ったが気づいたら二人の生活に慣れてしまっていた。毎朝、朝食を承太郎と食べて、それぞれ仕事に向かい、また夜には一緒に夕飯を食べながら今日あった事や仕事の話をする。承太郎の話す事は専門知識がないとよくわからないものも多いが、それを彼が悟ると色々な注釈を付けくわえて話してくれる。それを聞くのは面白かったし、吉良もまた今日は何があったと報告するのは面白かった。

「……空条さん、」

ふと、名前を呼んでみる。暗い家の中からは何も返答はない。普段、彼がいればのっそりとその巨体を覗かせ「どうした吉良さん」と返ってくる。
もしかして、急に用事が出来て帰ってしまったのだろうか。そんな不安がよぎる。
彼がそんな不誠実な事をするわけがないと、わかっているつもりだが。もしかしたらのもしかしたらがあるかもしれない。

「…………空条さ、」

もう一度、口が勝手に動いてしまった。
なぜか目頭が熱くなる。
一体彼は私にとってなんなんだ?ただの押しかけの同居人のはずだ。それに、帰ることも十分ありえる。そもそもなぜ家に上げてしまったんだ。
ぐるぐるぐるぐると吉良の中に答えのない疑問が恐怖を入り混ぜながら満ちていく。

「…どうしたんだ?吉良さん」

突然、その思考は止められた。
声の主に吉良は思わず振り返る。それに驚いた顔の承太郎と目があった。

「くうじょ、さん」




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続きはまたこちらにて…








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